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Roland Fantom G試奏記

 昨日発売されたワークステーション機Roland Fantom Gに、その夕刻、20分程度ですが触れて来ました。以下、雑感を記します。記事中に誤りがある可能性を念頭に置いてください。あくまで、参考までに…。

 61鍵機G6、76鍵機G7の鍵盤は、ローランドのカタログによると新開発されたものだそうですが、私が触れたFantom G7とその上に段違い平行で置かれていたRoland V-Synth GT(Roland V-Synth GT試奏記参照)を弾き比べてみて、もちろん約1年間楽器店の店頭に置かれているV-Synth GTの鍵盤の疲労による差異はあるものの、特段の感触の違いは感じられませんでした。私がこだわる鍵盤の静粛性に関して、若干Fantom G7の鍵盤の方が静かな気がしました。もちろんこれもV-Synth GTの鍵盤の疲労による差異の可能性もあります。

 Fantom G6/7の鍵盤は、アフタータッチの押し込み具合を繊細に感知してくれます。しかもどれだけ押し込まれているかを、画面右下に0〜127の数字とつまみの画像(KORG OASYS、R3等のつまみのようにライトがつまみの旋回に同期する)が表示されます。私の少々意地の悪い細やかな押し込み具合に対して、音も数値もつまみ画像もきっちりと追従してくれました。

 ただ、88鍵機Fantom G8の鍵盤は、感触はいいのですがお世辞にも静粛性に優れているとは言えず、カタカタという音が騒々しい楽器店の店頭でも聞こえました。それとアフタータッチはちょっと力を入れるとすぐに127まで行き、また緩めると0になってしまいます。アフタータッチを駆使するのには不向きな鍵盤だと思いました。

 液晶画面はこれまでよりも大型化していて、エディット画面の各ページが画面内に収まっています。ローランドのワークステーションの廉価機JUNO-Gは1ページが画面からはみ出ていて上下にスクロールする必要があります。

 ベンダーレバーのそばにTRINITY(KORG TRINITY plus導入記1KORG TRINITY plus導入記2参照)以降のコルグのワークステーション機やV-Synth GTのような二つのアサイナブルボタンが付きました。何度も書きますが私は演奏中これを頻繁に使います。

 Fantom-S以降のFantomシリーズの、機能はもちろんルックスをも特徴づけている16個の自照型ダイナミックパッドは、Fantom Gではテンキーにもなります。たしかこの機能、なぜか前モデルFantom Xの下位機Fantom Xaには付いていた記憶があります。ニューメリックボタンを押すと数字1〜10までのパッドが点灯します。数字10のパッドがテンキーの0に相当します。そしてテンキーが打たれるとROLL及びHOLDが点滅します。ROLLはキャンセル、HOLDがエンターです。V-Synth GTとは違い、パッチの呼び出しだけでなく各パラメーターの入力にも使えます。

 ただ、パソコンやコルグのワークステーション機のテンキーのような“押した”という感覚が指に伝わって来るものと違い、パッドの本来の役目である“叩く”という感じで打たないと数値が入らないように思えました。それと、やはりパソコンやコルグのワークステーション機のテンキーより大きいので手指の動作距離は大きくなります。

 V-Synth GTと同型のカーソルキーに囲われた形のダイヤルが採用されています。V-Synth GTを見た時に気に入った操作子だったので、今回のFantom G同様、JUNO-Gクラスの廉価機にも載せてほしいと思います。

 シンセサイザーエンジン部分は、オシレータ波形の増装以外に特に変化は無いようです。この膨大なオシレータ波形群、どうもFantom Xのものに加えてXV/Fantom旧シリーズ用のエクスパンションボードSRXのものを、半ば無造作に詰め合わせた感があります。本来一つのカテゴリーでまとまって並んでいるはずの波形が飛び石的に並んでいます。

 また、今まで同様コルグのワークステーション機のオシレータ波形のようなカテゴリー分けは為されていないので、一から音を作る場合、パッドのテンキー入力で最大4桁の波形番号を打ち込むか、ダイヤルやDEC/INCボタンでひたすら送っていくかして選択します。

 今まではオプションボードSR-JV-80-04及びSRX-07でのみ供給され、シンセサイザー本体に載ることのなかった波形VP-330ChoirA、VP-330ChoirB、VP-330ChoirCがFantom Gのオシレータにあり、 “VP-330 Chr”というプリセット音もありました。これらの波形はボコーダーRoland VP-330のヒューマンボイス部の音(うねりを帯びた男声風パッド音参照)をサンプリングしたものだと思うのですが、今回初めて聴いてみて、TRITON Extreme、microX、M3M50等のオシレータやTRITONシリーズ/KARMA用のオプションボードEXB-PCM05 Vintage Archiveに入っているVocorder-VPの方が、VP-330のヒューマンボイス部の音に近い感じがしました。

 Fantom Gは、全体的に何かしらの新発想を内包しているというよりは、既存の機能を力技で増大させた、といった印象を受けました。このモデルの影響を受けた廉価機(名称はやはり“Fantom Ga”か?)の登場に期待します。


Roland Fantom G6
http://www.roland.co.jp/products/fantom-g6/

Roland Fantom G7
http://www.roland.co.jp/products/fantom-g7/

Roland Fantom G8
http://www.roland.co.jp/products/fantom-g8/

Roland Fantom Xa
http://www.roland.co.jp/products/mi/
Fantom-Xa.html

by manewyemong | 2008-03-29 06:57 | シンセワールド | Comments(0)