「長城」(アルバム「絲綢之路」より)

 通常、万里の長城と聞いて想起するのは、北京市郊外の起伏の激しい山々の尾根づたいに構築された石造りのもの(明代)ですが、NHK特集「シルクロード」に登場したのは真っ平らなゴビの荒野に土を突き固めて建設された漢代のものでした。

 漢代に対匈奴(きょうど)用に築かれた軍事都市(武威、張掖、酒泉)を結ぶ河西回廊と呼ばれた地域を東西に走る、つまり南北を分つ長城です。

 私はアルバム「絲綢之路」で、

小学6年生にして「新十八史略」、へディンやスタインの探検記、井上靖の小説「楼蘭」「敦煌」「蒼き狼」等を、辞典を引きつつ読みふけるようになっていました。「シルクロード」放映開始までに、私にはこんなプロローグがあったわけです

と書きました。したがって軍事施設である長城に苛烈な歴史を感じるのですが、喜多郎さんの「長城」にも、ある種の緊迫感を感じました。土地を耕し私有する民族と、家畜を逐(お)って移動する民族の興亡の潮目である長城を、どちらかがどちらかへ越える度、国家や民族の運命は変わりました。私が「長城」に感じた緊迫感とは、曲想とそういった歴史的事実とを絡めてのものです。

 しかしながら、この曲には「長城」というタイトルこそついているものの、NHK特集「シルクロード」ではもっぱら敦煌莫高窟の千仏洞の飛天や曼荼羅の映像のバックで多用されていました。

 また番組中、リポーターを担当した小説「敦煌」の作者井上靖が、敦煌文物研究所の所長から聞いた夢の話に関する石坂浩二さんのナレーションのバックにも使われていました。

 手弾きの琴(アコースティックかシンセで作ったのかは判然としません)と、デジタルシーケンサーRoland CSQ-600とminimoogかRoland SH-5と思われるアナログシンセサイザーの組み合わせによる打ち込みオスティナートに、KORG 800DVの手弾きのブラストーンリードのメロディが絡んでいくというのが、この曲のおおまかな構成です。

 この曲はカットアウトの編集になっているのですが、私の友人を含め当初これをレコード盤の不良ととる人がいたようです。再発LPやCDのジャケットには、この曲がカットアウト編集されたものであるとの断り書きがされています。NHK特集「シルクロード」内で使われたものはカットアウトではなく、曲の最後にKORG PE-2000と思われるストリングス風の音が入っていました。


KORG 800DV
http://www.korg.co.jp/SoundMakeup/Museum/800DV/

KORG PE-2000
http://www.korg.co.jp/SoundMakeup/Museum/PE-1000/

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by manewyemong | 2006-09-08 22:23 | 音楽 | Comments(0)