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カテゴリ:シンセワールド( 224 )

 令和元年(2019年)5月9日、コルグはデスクトップモジュールタイプのアナログシンセKORG minilogue xd moduleを発表しました。既に取扱説明書も公開されています。

 鍵盤が無い事以外はKORG minilogue xdと同じ仕様で、フロントパネル左端手前にジョイスティックもあります。

 鍵盤は無いものの、キーボードスイッチを奥へ倒すと、画面に鍵盤のアイコンが表示され、16個の自照式ボタンが鍵盤になります。点灯したボタンが白鍵、消灯したボタンが黒鍵です。

 minilogue xd、あるいはもう1台のminilogue xd moduleと組み合わせたポリチェイン機能で、同時発声数を8にする事ができます。

 minilogue xd module、そのうちに出るだろう、あるいは、ポリチェイン機能で発声数を増やす事が出来るようになるのではと予想していた向きは多いと思います。

 また、minilogue xd moduleには、propellerhead Reason Lite、iZotope OZONE ELEMENTS等、様々なソフトウェアがバンドルされています。

 KORG minilogue xd module、発売日令和元年6月中旬予定、価格はわかりません。

 EGがADSRのシンセに関して、一応税別5万円を上限と考えている私としては、その条件に合致してくれると嬉しいのですけどね。


KORG minilogue xd module
https://www.korg.com/products/synthesizers/minilogue_xd_module/


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 implant4さんで、KORG DW-6000を試奏させていただきました。入ってきたばかりで状態のチェックが済んでいないとの事でした。同店ウェブサイトの在庫リストにアップされるまで若干時間が必要になるかもしれません。
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 ハイブリッドシンセサイザーKORG DW-6000は、昭和59年(1984年)秋、発売されました。

 大阪の天満橋OMMビルでDW-6000の発表会があり、高校2年生だった私も参観しました。ちなみにこの頃、私はMIDIを「エムアイディーアイ」と読んでいたのですが、この発表会でコルグさんの関係者が「ミディ」と言われているのを聞いて、MIDIの一般的な読みを知りました。

 前年昭和58年(1983年)春に登場したFM音源シンセYAMAHA DX7は、それまで高価だったデジタルシンセが民生機として広まっていく端緒になる…はずだったのですが、他社がすぐにはそれに続く気配が感じられないまま、MIDI元年でもある衝撃的な昭和58年が暮れていきました。

 ちなみに昭和58年に登場したシンセは、DX7のほか、KORG POLY-800Roland JUPITER-6、JX-3P、SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-600、prophet-T8等でした。

 また、DW-6000と同じ昭和59年に登場したシンセとして、Roland JUNO-106、SUPER JUPITER MKS-80があります。

 DX7の登場にシンセサイザーが楽器として進化していく道筋を感じたものの、やはり楽器店の店先でちょこちょこ触れただけでは音色作りを会得する事ができず、
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 当時の西ドイツのPPG wave 2.2のような、オシレータ→フィルター→アンプという、アナログシンセのディファクトスタンダードともいうべき流れで音色を作るタイプの民生機が出てこないものかと思っていました。

 KORG DW-6000は、そのオシレータ→フィルター→アンプという流れで音色を作るアナログシンセの流れを継承しています。
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 フロントパネルを見ていきます。
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 「KORG DW-6000 PROGRAMMABLE DIGITAL WAVEFORM SYNTHESIZER」のロゴ。
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 ボリュームスライダー、マスターチューン。

 DW-6000はデジタルアクセスコントロールタイプのシンセながら、マスターチューンが専用スライダーという形で実体を持って露出しているので、他のアコースティック楽器等との急な調子合わせがしやすいと思います。
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 キーアサインボタン。POLY1、POLY2、ユニゾンがあります。

 POLY1は同じ鍵盤を押鍵しても6つのシンセトーンの内の異なるトーンが発声されるのですが、POLY2は同じトーンがリトリガーされて発声します。POLY2はポルタメントをかける時、特に有効だと思います。

 ユニゾン時の6つのシンセトーンのディチューンの深度は規定値です。奏者やマニピュレータが設定する事はできません。
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 音色選択及び設定操作子群。

 プログラムボタンを押すと音色選択、パラメーターを押すとエディットモードに入ります。

 1〜8ボタン2つの64通りの組み合わせ、つまり11〜88で音色やパラメーターを選びます。

 音色設定はバリュースライダーとディクリーメント/インクリメントボタンで行います。DX7と同じです。1~8ボタンで音色設定の数値を入力することはできません。
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 パラメーターリスト。

 実に簡便です。ワークステーション機のパラメーター群の1セクション分くらいしかありません。
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 8つのオシレータ波形群。

 各波形に名称は付いていないのですが、取扱説明書に“次のような音作りに適しています”として、各波形がどんな楽器のシミュレーションに適しているかが記されています。

 DWGS(DIGITAL WAVEFORM GENERATOT SYSTEM)とは、倍音加算合成方式で作った波形を記憶させたデジタル音源です。

 DWGS波形はDW-6000の翌年に登場したDW-8000/EX-8000、昭和61年(1986年)に登場したサンプラーKORG DSS-1のみならず、その後のワークステーション機KORG M1から現行廉価機のKROSS2KROME EXに至るまで、オシレータ波形のカテゴリーSingle Waveという形で継承されています。カテゴリーSingle Waveは、鋸歯状波や矩形波、パルス波といった波形も含めてDWGSです。

 VCFはローパスフィルターのみ。専用のEGがあります。

 レゾナンスを上げると自己発振します。

 キーボードトラックは、オフ/ハーフ/フルから選択する形です。マイナス値、つまり低域へ行くほどカットオフが開いていくという設定はできません。

 VCFを自己発振させてキーボードトラックをフルに設定した場合、きちんとした平均律、いわゆるドレミ…が弾けるようになるのか否かのチェックをし忘れました。

 ポラリティスイッチでVCF EGのかかりの正逆を選択する事ができます。

 アナログシンセ及びデジタルシンセ現行機の場合、カットオフフリケンシーをつまみやスライダーでリアルタイムコントロールする向きは多いと思うのですけど、DW-6000の場合、エディットモードに入ってカットオフを選択し、バリュースライダーを動かしても、カットオフは階段状に変化してしまいます。

 EGはPOLY-800のADBSSR方式を継承しています。

 VCAには変調に関するパラメーターは無く、トレモロを設定する事はできません。EGはVCFと同じADBSSR方式です。

 MG(LFO)は、レイトとディレイタイム、ビブラート(オシレータ)及びグロウル効果(VCF)の深度を設定します。波形は三角波のみ。フェイドインタイムはありません。先に記した通り、VCAにはかかりません。

 かつてアナログポリフォニックシンセが発声数分のLFOを搭載していなかった事を、アナログポリシンセのLFOをつぶやくに記したのですが、DW-6000もそうなのか否かを調査し忘れました。

 ポルタメントのカーブはデジタル的なリニア変化だったような気がします。
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 ポルタメントのオン/オフを、フットスイッチKORG PS-1で行う事ができます。
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 鍵盤。ベロシティ、アフタータッチはありません。

 YAMAHA DX21と似た形状と感触の鍵盤だと思いました。同じものかもしれません。
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 ジョイスティック。

 KORG POLY-61、POLY-800のジョイスティックを継承しています。

 ピッチベンドレンジはダウン/アップとも最大1オクターブ。ワークステーション機やアナログモデリングシンセ、アナログシンセに至るまでコルグの現行機に継承されています。

 VCFのカットオフの開きに関して、レンジは規定値でオン/オフのみなのと、ジョイスティックの傾斜で効果の深度をコントロールするのではなく、モーメンタリーボタンとしてのオン/オフ機能しかありません。
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 リアパネル。

 MIDI THRU/OUT/IN、外部記憶カセットテープインターフェイス、フットスイッチ、音声出力(ステレオ)等の端子群。

 アナログシンセのディファクトスタンダードともいうべきオシレータ→フィルター→アンプという流れは、結局その後のデジタルシンセ時代になってもディファクトスタンダードであり続け、今日に至っています。
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 VCF、VCAは、Roland D-50、KORG M1といった本格的なデジタルシンセの登場でデジタルフィルター、アンプとなり、パラメーター構成はより充実していき、もはや来る所まで来た感があります。
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 KORG DW-6000は、日本のデジタルシンセ作りにおけるその流れの、小さな1歩だったのではないでしょうか。

 そして、完全なデジタルシンセがソフトウェアに呑み込まれつつある中、アナログシンセ、あるいは、フィルターやアンプに、VCF、VCAを採るハイブリッドシンセが内外のメーカーから登場している現状も、遠くDW-6000にその先鞭があるといえなくもないと思います。

 前々日のKORG minilogue xd、volca modular、volca drum、前日のKROME EXに続いて、平成31(2019)年1月17日、KORG KROSS2-61のカラーバリエーション機KORG KROSS Special Editionが発表されました。

 KROSS SE GO(グレーオレンジ)、KROSS SE GB(グレーブルー)、KROSS SE GR(グレーレッド)、KROSS SE GG(グレーグリーン)のネオンカラー(蛍光色)4色。

 このうち、KROSS SE GO、KROSS SE GB、KROSS SE GGのカラーリングに、かつてのApple iBookのクラムシェル型モデルのタンジェリン、ブルーベリー、キーライムを思い出してしまいます。

 拡張PCMメモリに増装された波形を使った音色が追加されています。追加された音色プログラム、ドラムパターン、アルペジオパターン、オシレータ波形(マルチサンプル、ドラムサンプル)、ドラムキットのリストが、SE Extra Voice Name ListとしてPDF形式で公開されています。

 過去のカラーバリエーション機と異なり、KROSS Special Editionが限定生産機という記述がコルグのウェブサイトに無く、かつてFM音源シンセKORG 707が、黒、白、青、ピンクの4色とも量産機として出たのと同様、量産機であるとも考えられます。

 発売日は来る3月3日、桃の節句。税込価格86,400円。


平成31(2019)年2月18日追記。

 KORG KROSS Special Editionの発売日が、来る3月3日から24日に変わったようです。税込価格は86,400円。ソフトケース付きの価格です。

 また、KROSS Special Edition各色機の名称は、KROSS SE GO(グレーオレンジ)はKROSS2-61-GO、KROSS SE GB(グレーブルー)はKROSS2-61-GB、KROSS SE GR(グレーレッド)はKROSS2-61-GR、KROSS SE GG(グレーグリーン)はKROSS2-61-GGとなるようです。


令和元年(2019年)5月5日追記。

 アメリカ村の三木楽器djs+さんで、KORG KROSS Special Editionの1色、KROSS2-61-GR(グレーレッド)が展示されていました。
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KORG KROSS Special Edition
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/kross2/#se

SE Extra Voice Name List

 前日のKORG minilogue xd、volca modular、volca drumに続いて、平成31(2019)年1月16日、ワークステーション機KORG KROME EXが発表されました。

 KORG KROMEから変わった点は、筐体のカラーリングがスペースグレイ?になった、オシレータ波形が増装された、音色の記憶数が増えた、です。

 取扱説明書のオペレーションガイドとパラメーターガイドは、KROMEのものがそのまま流用されています。

 KROMEにはパソコンベースのエディタ/ライブラリアンがあるのですが、KROME EXには対応せず、KROME EX専用のエディタ/ライブラリアンも用意されません。エディタ/ライブラリアンが用意されないのは、平成19(2007)年のKORG M3 https://manewyemon.exblog.jp/17134533/ 以降の同社ワークステーション機としては初めてと思われます。ライブラリアンも用意されないので、外部記憶装置はSDカードドライブのみという事になります。

 平成29(2017)年9月24日に発売された同社ワークステーション廉価機KROSS2には、パソコンベースのエディタ/ライブラリアンがあります。

 KROME EXのUSBはMIDIのみの対応で、パソコンとオーディオデータのやり取りはできません。KROSS2のUSBはMIDIにもオーディオにも対応しています。まあ、私はフットボリュームを、エクスプレッションペダルではなく、オーディオケーブルにかませたい主義なので、シンセサイザーのUSBはMIDI専門なのですけどね。

 リアパネル側の社号ロゴ、KROSS2は「KORG」の文字そのものが仄白く光るようになりましたが、KROME EXは旧機同様、「R」の文字の中の空白の部分に仕込まれたランプが灯る形です。ここだけは変更がなくて良かったなと思います。このランプにも必要性は感じませんけど、社号がでかでかと光るよりは品があると思います。

 私としては、シンセサイザーの歴史上、私が最も気に入ったマン/マシンインターフェイスを持つKROMEの寿命が、当分延びたという事は喜ばしいのですが、しかし、その事以外に特段の感慨は湧きません。

 Roland FAがPCM以外にSuperNATURALアコースティックトーン/シンセトーンを載せている事、YAMAHA MODXがAWM2(PCM)以外にFM音源を載せている事を考えると、EDS-X(PCM)だけのKROME EXは、それらより価格を下げないと厳しいかもしれないですね。KROMEの後継機にはEDS-Xに加えて、AL-1、MOD-7あたりを併せて載せてくるかと思ったのですけど…。
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 KORG KROME EX、発売日は来る2月24日、税込価格はKROME EX-61が116,640円、KROME EX-73が133,920円、KROME EX-88が168,480円。


KORG KROME EX
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/krome_ex/


KORG KROME(製造終了)
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/krome/

 平成31(2019)年1月15日、プログラマブルポリフォニックアナログシンセサイザー、KORG minilogue xdが発表されました。

 私が海外でのminilogue xd、volca modular、volca drumに関するリークを見つけたのは元日だったのですが、かつて信じ難かったKingKORGKORG MS-20 miniが、その後、実際に発売されたという先例もあり、あるいはNAMM 2019で発表になるかもしれないと思っていました。

 minilogue xdの、プログラマブル、4声ポリフォニック、スリム鍵盤37鍵、操作子のレイアウトや形状、基本的なパラメーター構成等は、KORG minilogueを踏襲しているのですが、本稿では同機との相違点を中心に、フロントパネルを見渡す形で記したいと思います。

 筐体の色はminilogueのカラーバリエーション機minilogue PG(ポリッシュドグレー)に似ている感じがするのですが、ポリッシュド処理が施されていない、アルミの質感をそのまま残しているかもしれません。

 つまみやトグルスイッチの形状はminilogue由来のものなのですが、つまみにはどこを指しているかを示す線が入っています。KORG prologueは白線でしたが、minilogue xdはグレー。変に目立たない、しかし視認しやすい配色だと思います。

 ポルタメントタイムを設定する専用の操作子が設けられています。オン/オフのボタンは無く、設定値にもオフは無く0〜最大値です。試奏するまでわかりませんが、ポルタメントのカーブが非リニア変化である事を願っています。

 minilogueがポルタメントの設定値オフ/0で行っていたモノフォニック演奏時のトリガーモードのマルチ/シングルの設定は、エディットモード中のEGレガートという専用のパラメーターで行います。

 ボイスモードの操作子群がフロントパネル左端に移っています。minilogueにあったボイスモードのモノは、コードモードの選択肢の中にあります。

 オシレータに関して、二つのVCOに加え、prologueのようなマルチエンジンがあります。ノイズジェネレータ(4タイプ)、VPMオシレータ(16タイプ)、ユーザーオシレータがあります。

 VPMオシレータタイプの中にノイズ波形をモジュレータに使うものがあり、私としてはこれは使ってみたいなと思っています。

 minilogueの場合、アサイナブルEGをVCO2のピッチのソースにする時に、オシレータセクションにEGデプスがあったのですが、アサイナブルEGセクションでディスティネーションの選択と効果の深さを設定するように変わっています。

 フィルターは2ポール/4ポールの選択操作子はなく、2ポールのみです。またEGデプスは無くなっています。minilogueはアサイナブルEGをフィルターに使ったまま、設定値をVCO2のピッチとも共用できたのですが、minilogue xdはできません。

 カットオフフリケンシーのつまみのサイズが、他と同じになっています。私はこの方が好きです。

 アンプEGはADSRで、これまで同様、フィルター等、他のセクションと共用する事はできません。

 アサイナブルEGはADSRではなく、アタックタイムとディケイタイムのみに簡素化されています。ピッチ(VCO1、2、マルチエンジン全て/VCO2のみ)にかけるか、フィルターにかけるか、いずれにしても、ディスティネーションを一つだけ選ぶ形で、インテンシティ(最低値〜0〜最高値)もここで設定します。minilogue、prologue同様、オシレータ波形にかける事はできません。

 LFOのインテンシティは、最小値〜0〜最大値のいわゆるバイポーラではなく、0〜最大値(511)か、シフトキーを押しながら設定する事による0〜最小値(-511)のどちらかを選ぶ形になります。+値/-値を設定できるので、LFOの鋸歯状波を正逆とも選択できます。

 LFOには1ショットというモードがあり、本来周期変化のソースであるLFOを、径時変化に充てる事ができます。ディスティネーションを、ピッチ、オシレータ波形、フィルターの開きから一つを選ぶ事はminilogueと同じです。prologue同様、LFOにEG MODが無いので、フレキシブルEGをモジュレーションの径時変化に充てる事はできません。

 内蔵エフェクターは変調系、反響、残響系と三つに増えています。これらを同時に使う事ができます。各々にprologueのようなユーザースロットがあります。

 変調系はコーラス、アンサンブル、フェイズシフター、フランジャーがあり、さらに各々複数のタイプがあります。私としては特にアンサンブルが加わってくれた事がありがたい。

 ディレイ、リバーブ、つまり異なる空間系エフェクターを二つ同時使えるのは、コルグのアナログシンセの内蔵エフェクターとしては初めてではないでしょうか。そしてこれらにも、各々14、10のタイプがあります。

 コントローラーが斜めに配されたスライダーから、コルグの伝統ともいうべきジョイスティックになっています。ピッチベンドとモジュレーションを一つの操作子でコントロールできます。

 このジョイスティックのX+/X-(水平方向)はピッチベンドのみのソースでしかありません。ピッチベンドレンジはアップ/ダウン個別に設定できます。

 ジョイスティックのY+(上)とY-(下)とで異なるディスティネーションを割り振る事ができ、インテンシティを個別に設定する事ができます。インテンシティの設定値は最小値〜0〜最大値です。

 このジョイスティックのY+/Y-に充てられるパラメーターは結構多岐にわたっていて、本来のジョイスティックとは異なるユニークな使い方が考えられます。単につまみをひねるのではなく、指を離すと勝手にニュートラル位置へ帰ってくれるジョイスティックの特性を活かした演奏ができると思います。

 例えば、Y-にオートベンドのソースにしたEGインテンシティをアサインした場合、ジョイスティックを手前に引く行為をオートベンドのモーメンタリースイッチとして使う事ができます。喜多郎mini KORG 700Sリードのシミュレーション時、有効だと思います。

 minilogueのスライダーにLFOインテンシティを充てると、スライダーを左端に引き切らない限り効果が0にならなかったのですが、このジョイスティックはニュートラル位置で0になってくれます。

 鍵盤はMS-20 miniから続くスリム鍵盤。ベロシティがあります。フィルターのEGインテンシティと音量のみコントロールします。

 16ステップのシーケンサーの為の、16個の自照型ボタンが横一列に並んでいます。おそらく実行中のステップのボタンが点灯すると思われます。

 かつてのKORG PS-3300、3200のテンパーメントアジャストのような、マイクロチューニング機能が加わっています。23のプリセットに加え、6つのユーザースケール、6つのユーザーオクターブを記憶させる事ができます。

 リアパネルのピンカド材は、minilogue PGのようなシースルーブラックに塗装されているのではなく、minilogue量産型機と同じ処理と思われます。

 音声出力は内蔵エフェクターの効果を活かすためかステレオになっています。

 ダンパー端子が加わっています。残念ながらアサイナブルではなく、単にサスティンペダルを挿す為のもののようです。フットスイッチによるポルタメントのオン/オフ等に使えたらと思うのですけど…。

 CV IN端子が二つあります。ジョイスティックのY+/Y-に充てられるパラメーターを、ここを介して外部からコントロールする事もできます。シーケンサーやシステムシンセのモジュールの信号を受けるといった事が考えられると思います。このセクションもminilogue xdのマニピュレーションを面白くしてくれる要素だと思います。

 システムシンセサイザーやモジュールに関する事柄に疎いので、事実誤認の可能性があるのですが、例えば、MIDI INのあるKORG MS-20 miniやmoog MOTHER-32とminilogue xdのMIDI OUTをつなぐと、minilogue xdの押鍵をトリガーにする形で実行されるMS-20 miniやMOTHER-32のEGの信号をCV INを介して、minilogue xdのパラメーターに径時変化を与える事ができるとしたら、ありがたい事だなと思います。ただ、この信号はいわば4声ポリフォニックではなくパラフォニックの効果になると思います。

 ポルタメントの操作子が設けられ、コントローラーがジョイスティックに変更といった事によって、演奏中の操作性が増した事や、オシレータにマルチエンジンが加わった事、エフェクターの増装等で、単に安価で簡便なプログラマブルアナログポリフォニックシンセから抜け出た感があります。
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 KORG minilogue xd、来る2月23日発売予定、税込価格は59,940円。


平成31(2019)年3月2日追記。

 KORG minilogue xdに触れる機会がありました。

 ポルタメントのカーブは、ありがたい事に非リニア変化でした。

 ジョイスティックに関して、コルグのワークステーション機のものより、小さく、ゆるいので、効果の深さを繊細にコントロールする事には慣れが必要かもしれません。今回、ピッチベンドだけがしたい場合でも、横だけでなく前に傾けてしまう事が多かった。しかしながら、小さくゆるい故に、効果のオン/オフのモーメンタリースイッチとしては、ワークステーション機のジョイスティックよりも適しているといえるかもしれません。


令和元年(2019)年5月9日追記。

 同日、デスクトップモジュールタイプのアナログシンセKORG minilogue xd moduleが発表されました。


KORG minilogue xd
https://www.korg.com/jp/products/synthesizers/minilogue_xd/

 平成30(2018)年9月1日(現地時間8月31日)、Dave Smith INSTRUMENTS(デイブスミスインストゥルメント)が同社ウェブサイトで、社号を「SEQUENTIAL」(シーケンシャル)と改めた事を告知しました。旧に復した、といっていいかもしれません。

 現時点で「Dave Smith INSTRUMENTS」 となっているPRO 2OB-6、PROPHET REV2といった現行機のリアパネル等の表記も、今後はSEQUENTIAL prophet-6、PROPHET X同様「SEQUENTIAL」と記されるようになるのか否かわかりません。

 また、シーケンシャル社のウェブサイトで、SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5が、発売40周年を迎えた事をアナウンスしています。


DSI is Now Sequential!(英文)
https://www.sequential.com/2018/08/dsi-now-sequential/

Prophet-5 40th Anniversary!(英文)
https://www.sequential.com/2018/08/sequential-celebrates-prophet-5-40th-anniversary/


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 implant4さんでオルガン/ストリングスキーボード、Roland RS-09を試奏させていただきました。

 RS-09にはボタンの形状やロゴの色が異なる前期型/後期型とあるのですが、implant4さんには平成30(2018)年8月18日現在、両方の在庫がありました。今回試奏させていただいたのは前期型です。

 アナログポリフォニックシンセが一般化する以前、複合キーボードと呼ばれる製品が各社から出ていました。

 複合キーボードとは、キーアサイナー方式以前の独立発信方式のアナログポリシンセ、ストリングス、オルガン等の音源を、1台のキーボードに搭載したものです。

 内外のメーカーの主なモデルを挙げると、KORG DELTA(アナログポリシンセ/ブラス/ストリングス)、TRIDENT(アナログポリシンセ/ブラス/ストリングス)、moog OPUS 3(ストリングス、オルガン、ブラス)、YAMAHA SKシリーズ(アナログモノ/ポリシンセ/ストリングス/オルガン)等です。

 ローランドの場合、ストリングスキーボードRoland RS-505(ストリングス、ポリシンセ)、ボコーダーVP-330 Vocoder Plus(ボコーダー/ヒューマンボイス/ストリングス)がこれに当たります。
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 Organ/Strings RS-09は、同社Saturn SA-09(オルガン/ピアノ)とならんで、1979年の発売当初から店頭価格が10万円を切った複合キーボードでした。これらとアナログモノフォニックシンセSH-09とを併せて、ローランドの型番09シリーズは、10万円以下でも本格的な性能を持つラインナップでした。

 シンセサイザーに興味を持って初めて楽器店へ行った時、小学6年生だった私にとって比較的現実的な価格であり、操作が分かりやすそうなRoland SH-2、SH-09、そしてこのRS-09に触れた事を覚えています。

 同価格帯のシンセサイザーがいずれもモノフォニックである中で、RS-09の鍵盤「ソドミ」を押すと、本当に「ザー」という合奏音が「ソドミ」で出てきて感動しました。

 冨田勲さんのアルバム「ダフニスとクロエ」に、ストリングスキーボードRoland RS-202がクレジットされていた事も、RS-09に興味を持った理由の一つです。ちなみに冨田勲さんのRS-202は、次作「大峡谷」からはRoland SYSTEM-100M(2VCOモジュール112が18台組まれている)にとって替わられました。

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 RS-09は、独立発振方式によるポリフォニックでも、polymoog、KORG PS-3300等のような、シンセサイザー1式を鍵盤数分搭載しているのではなく、KORG DELTAのようなオシレータにあたる部分のみ鍵盤数分搭載し、以降を1系統に簡略化した、いわゆるパラフォニックとよばれる方式と思われます。

 トリガーは先着優先。アナログポリシンセのLFOをつぶやくで、後着優先のキーアサイナー方式のアナログポリシンセに、発声数分ではなく1系統のLFO故に、押鍵を加える度に発声中の音全てのLFOにリトリガーがかかってしまう事を記しましたが、独立発信方式で先着優先のRS-09では、逆に最初の押鍵のLFOやENVの径時変化の状態を、その離鍵が無い限り継承し続けてしまいます。ともに、ポリフォニックはともかく、ホモフォニック演奏には問題無いと思います。


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 RS-09には前期型と後期型があります。

 内部の事は分からないのですが、視認できる範囲で記すと、

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ボタンの形状が異なり、前期型が傾斜の向きでオン/オフを設定する、
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後期型はRoland JUPITER-8(画像は2016楽器フェアで展示された冨田勲さんの遺品)や、
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TR-808等と共通の形状で、オンでランプが点灯する、
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フロントパネル上の「Organ/Strings 09」「ORGAN」「STRINGS」のロゴの色が、前期型は白、
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後期型はオレンジ、といったところです。

 前期型と後期型でボタンの形状が異なるのは、VP-330でも同じです。
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 フロントパネルを見ていきます。
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 トーンはスライダーを上げるほど音色が明るくなります。アナログシンセサイザーのVCFのカットオフフリケンシーと異なり、下げ切っても音が聴こえなくなる事はありません。

 ビブラートは、オルガンとストリングスのビブラートのレイトとデプス、押鍵から設定したデプスに至るまでのフェイドインタイムを設定します。

 “ディレイタイム”となっていますが、試奏した結果、この時代の多くのアナログシンセがそうであるように、押鍵から効果がかかり始めるまでの時間ではなく、押鍵時から効果が設定値に達するまでの時間、つまりフェイドインタイムのようでした。

 Roland JP-8000からAIRA SYSTEM-8に至るローランドのアナログモデリングシンセのLFOに、ディレイタイムが無くフェイドインタイムだけなのは、この事を継承しているのかもしれません。私としては、アナログモデリングシンセはデジタルシンセなのだから、ディレイタイム/フェイドインタイムを併せて設定したいのですけどね。

 トリガーが先着優先のため、押鍵中、別の鍵盤を押鍵してもリトリガーがかかりません。


 トランスポーズは手前に倒すと1オクターブ下がります。
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 オルガンセクション。

 オルガンセクションを使用する場合、オルガンボタンを手前側に傾けます。

 4つのフィートスライダーで音色を作ります。どうも私にはドローバーオルガンよりもアナログシンセ臭のする音のように感じました。否定的な意味ではありません。ピアノやオルガンが好きではない私には、むしろ使える感じがします。

 トーンI、トーンIIは、前者はこもった音、後者はブライトな感じだったのですが、後期モデルの場合、ここがトグルスイッチではなく2つのボタンになっていて、両方をオンにすると トーンI/トーンIIを併せて発声することができました。前期モデルはトグルスイッチなのですが、 トーンI/トーンIIを同時に鳴らせるか否かチェックするのを忘れてしまいました。

 オルガンセクションにアンサンブルエフェクトをかけるか否かのトグルスイッチがあります。
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 ストリングスセクション。

 オクターブ違いの2つのストリングスのボタンがあり、両方を併せて発声させる事ができます。オルガンボタン同様、手前側に傾けるとオンになるのですが、右横のアンサンブルエフェクトのオン/オフのトグルスイッチは逆に手前に倒すとオフになります。

 ストリングスセクションにのみENVのアタックタイムがあります。

 トリガーが先着優先のため、ビブラート同様、押鍵中、別の鍵盤を押鍵してもリトリガーがかかりません。
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 オルガンとストリングスの両方に、リリースタイムを設定する事ができます。

 アンサンブルモードのトグルスイッチで、アンサンブルエフェクトの効果の大(I)/小(II)を設定します。

 チューニングつまみはいわゆるファインチューンで、これをひねってピッチベンドをしようとしてもレンジが狭すぎました。もちろん元々あくまでチューニングのための操作子です。
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 鍵盤。

 Roland SH-1SH-2といった、同時期の同社シンセと同じものと思われます。

 この個体の鍵盤に関して、発売40年近く経つにもかかわらず、状態はすこぶる良いと思います。
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 リアパネル側。
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 「RRoland」のロゴ。
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 端子群。

 音声出力はアンサンブルエフェクトを活かすためにステレオ出力です。

 RS-09が現行機だった頃、楽器店で設置されていた環境はスピーカー1つのモノラルだったのですが、今回試奏にあたって、implant4さんがステレオで鳴らせるようにしてくれました。RS-09の内蔵アンサンブルの効果を、製造が終わって数十年越しに確かめることができました。

 RS-09は簡素な構成であり、奏者やマニピュレータの音に対する発想力を汲んでくれるといった性質の電子楽器ではありませんが、やはりアナログらしい圧(お)してくる感じが音にありました。フットボリュームとリバーブ等の空間系エフェクターは必需だと思います。

 アマチュア向けのポリシンセが無い時代に、まがりなりにも和音が出せたRS-09やSA-09は、ほんの短い期間、時代の隙間を埋める役割を果たしたのではないでしょうか。短い期間ながら、特にアマチュアの作品のクオリティを上げる事に寄与した気がします。

 複合キーボードは、安価なキーアサイナー方式のアナログポリシンセ(Roland JUNO-6等)、さらにそのプログラマブル化(KORG Polysix、Roland JUNO-60等)、そしてデジタルシンセの一般化で廃れました。

 YAMAHA DX7が店頭に並んだ頃、まだRS-09やSA-09等の複合キーボードは同じフロアに置かれていた記憶があるのですが、その後、いつの間にか我々の前から消えていきました。

 しかしながら、Roland V-Comboシリーズ、nord stage/electroシリーズは、現代の複合キーボードといえるかもしれません。

 平成28(2016)年、minimoog model Dが、かつてオリジナル機を製造したモーグ社自身によって数量限定で復刻され、その後、あっという間にその製造を終えた事は記憶に新しいのですが、平成30(2018)年7月6日、今度はminimoog model D walnutが発表されました。既に日本語のサイト及び取扱説明書(minimoog model D復刻機と同じ)が公開されています。

 minimoog model D walnutは、筐体が茶褐色のウォルナット材である事以外は、
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minimoog model D復刻機と同じのようです。

 以下、
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minimoog旧機と、minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutとの相違点について記したいと思います。

 鍵盤に関して、minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutには、イタリアFATAR社製の鍵盤が使われています。同社の鍵盤を採っているモデルには、Roland FA07、studiologic sledge等があります。ちなみに、かつてコルグはFATAR社製MIDIマスターキーボードの輸入代理店でもありました。

 minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutの鍵盤には、ベロシティ、アフタータッチがあります。

 minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutは、モジュレーションソースを、VCO3かフィルターEGか、ノイズかLFOかを選択するスイッチがあり、モジュレーションミックスで両者の混ざり具合を設定してディスティネーションへ送る形になっています。

 SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5にも、モジュレーションミックスと似たソースミックスという機能があるのですが、SEQUENTIAL prophet-6には継承されませんでした。

 宇宙戦艦ヤマト第1作から宇宙戦艦ヤマト2202に至るまで使われている、柏原満さんの手によるminimoogを使った効果音(「宇宙戦艦ヤマト復活篇」の音「宇宙戦艦ヤマト復活篇ディレクターズカット」の音参照)の中に、LFO(VCO3)とノイズを混ぜてディスティネーションへ送るモジュレーションミックス機能を活かした効果音がいくつかあります。

 また、喜多郎さんもこの機能を活かした効果音を使っています。実はよく聴くと、宇宙戦艦ヤマトの主砲の弾道(陽電子ビーム)が砲門から放たれる音と喜多郎さんのこの効果音とが似ていたりします。

 ヤマトの主砲の「ブズズズズズズズ」も、喜多郎さんの「プールルルルルルルルルッ」も、LFO(VCO3)の上昇型鋸歯状波とホワイトノイズをモジュレーションミックスで混ぜ、自己発振させたVCFに送っているのですが、上昇型鋸歯状波故にピッチが上がるのとカットオフが開く事でノイズの割合が増していく効果を利用しています。

 ただ、LFO(VCO3)は周期変化のパラメーターなので、繰り返しの間隔を毎度毎度奏者やマニピュレータが決める事はできませんでした。かつて私が持っていたminimoogは、喜多郎さんのよりもLFO(VCO3)のフリケンシーを最遅にしても速過ぎるので、繰り返しの間隔がせま過ぎました。

 この点、minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutは、モジュレーションミックスのソースにVCF EGとノイズを充てられるので、鍵盤を押すと1回だけ「ブズズズズズズズ」「プールルルルルルルルルッ」を発声させるという事ができます。押鍵やシーケンサーの設定で間隔をその都度決める事ができます。

 minimoog model D復刻機/minimoog model D walnutのLFOは、ホイール付近にあるレイトつまみを引っ張り上げるか否かで三角波か矩形波を選びます。

 三つのVCOは波形の種類やVCO3がLFOになるといったminimoogの仕様を継承しています。ランプ(Ramp:傾斜)波があるので、喜多郎さんの「MYSTERIOUS ENCOUNTER」の出だしの音のシミュレーションに使えます。

 三つのVCO、ノイズ、外部入力のレベルやホワイト/ピンクのノイズの種別の選択を行うミキサー部も、minimoogと同じです。

 トリガーモードに関して、minimoog旧機はシングル固定でしたが、復刻機はコードD(D3、F#3、A3)を押健しながら電源を入れるとマルチに、Dm(D3、F3、A3)を押健しながら電源を入れるとシングルになります。

 minimoog model D復刻機を買い損ねた人にとって、minimoog model D walnutという形で、再び新品のminimoogを手にする機会が与えられた事の意義は小さくないと思います。

 minimoog model D walnut、7月28日発売。価格422,280円(税込)。
 

minimoog model D walnut
http://www.korg-kid.com/moog/product-details/minimoog-model-d-walnut/

 平成30(2018)年1月18日、コルグはプログラマブルアナログポリフォニックシンセサイザーKORG prologue(プロローグ)を発表しました。既に取扱説明書も公開されています。

 KORG prologueは、基本的なパラメーター構成やその配置、そしてオシロスコープにminilogueを感じるのですが、標準サイズの鍵盤やオーク材の化粧板等、より上級機らしい姿をしています。

 prologueには2モデルあり、49鍵機prologue-8の発声数は8、61鍵機prologue-16は16。鍵盤はともに日本製ナチュラルタッチ鍵盤で、ベロシティを採る事ができます。ベロシティを充てられるディスティネーションは、フィルターEGデプスと音量だけです。

 アフタータッチはありません。8声、16声のシンセの鍵盤にモノフォニックアフタータッチ機能を持たせるくらいなら、このprologueのように用途を割り振れるエクスプレッションペダルを挿せるようにしてくれた方がいい。ポリフォニックシンセの場合、アフタータッチもポリフォニックでなければ意味が無いと思います。

 prologue-8、prologue-16両機の違いは、prologue-16にのみ内臓エフェクターにアナログコンプレッサーがあります。フロントパネル右端に見えます。また、ティンバーやボイススプレッドの設定に関して、prologue-16には専用の操作子があるのですが、prologue-8はエディットモードに入ります。

 つまみやトグルスイッチの形状はminilogue由来のものなのですが、つまみにはどこを指しているかを視認しやすい白い線が入っています。

 鍵盤の左側ではなくフロントパネル上にあるコントローラーは、ピッチ/モジュレーションの二つのホイール。コルグのアナログシンセで二つのホイールを持つのは、昭和56(1981)年のKORG Mono/Poly以来です。続くPOLY-61、POLY-800はジョイスティックでした。

 ピッチホイールは文字どおりピッチのコントロールのみで、他の機能をアサインする事はできません。ピッチベンドレンジをダウン/アップ個別に設定できます。モジュレーションホイールはアサイナブルです。

 私はホイールよりコルグのジョイスティックやローランドのベンダーレバーの方がうまく使えるのですが、LFOにディレイタイムやフェイドタイムといった径時変化に関するパラメーターが無く、EGを充てる事もできないprologueのようなシンセの場合、手指を離すと勝手にニュートラル位置へ帰ってしまうジョイスティック/ベンダーレバーよりも、動かしたその位置へ留まるホイールの方が良いと思います。変調の径時変化にバーチャルパッチを介してEGを充てられるとはいえ、コントローラーがジョイスティックのKingKORGを試奏していてこの事を痛感しました。

 オン/オフのトグルスイッチは無いものの、minilogueと異なり、ポルタメントタイムのつまみがあります。ポルタメントはオフ、0〜127と変化します。オフと0を分けてくれています。minilogueのポルタメントのカーブはデジタルシンセ的なリニア変化でした。試奏するまで判らないものの、prologueのそれが非リニア変化である事に期待しています。

 minilogueのフロントパネルでは右端にあったボイスモードの効果のつまみが、prologueでは独立して左端に移っています。

 オシレータに関して、二つのVCO、そして、第3のデジタルオシレータとしてマルチエンジンがあります。

 VCOは、鋸歯状波、三角波、矩形波(非対称矩形波:PWを含む)があります。いずれもシェイプというパラメーターで波形を変調する事ができます。さらにLFOを充てる事で変化に周期変化を加える事ができます。

 ピッチにEGを充てる場合、minilogueがVCO2に対してのみだったものが、三つのオシレータ全て、VCO1と2のみ、VCO2のみを選ぶ事ができます。シンクロやリングモジュレータ、クロスモジュレーションの効果を複雑化する事やオートベンドに使えます。ピッチEGデプスはプラス値/マイナス値を設定できます。

 マルチエンジンは、ノイズジェネレータ、VPM、ユーザーの三つから一つを選びます。

 特にVPMはVCOと併せて使うと面白い効果を生んでくれると思います。

 ユーザーとは、ユーザーが書いたプログラムをアップロードする事ができるのだそうです。私が使う機会は無さそうです。

 奏者やマニピュレータが音色作りで最も独自性を発揮しやすいセクションは、このマルチエンジンではないでしょうか。

 オシレータミキサーにノイズジェネレータは無く、VCO1、VCO2、マルチエンジンのレベルを設定します。

 VCFはローパスフィルターなのですが、ローカットスイッチという簡便な形でですが低域をカットできます。

 現時点で断定はできないのですが、minilogueでは可能だったことや、オシレータミキサーが三つのオシレータの割合ではなくオシレータ各々のレベルを設定できるタイプであることから、VCFは自己発振すると思われます。

 EGデプスは、ポラリティスイッチでの切り替えではなくマイナス値の設定で、EGの効果をリバース曲線にする事ができます。

 minilogue同様、VCF EGをオートベンド(ピッチEG)にのみ充て、代わりにカットオフフリケンシーにアンプEGを充てる、つまり、フィルターとアンプでアンプEGを共用する事はできません。

 minilogueのEG MODスイッチに相当するパラメーターがprologueには無く、ビブラートやグロウル効果等のモジュレーションの径時変化のソースにEGを充てる事ができません。LFOのインテンシティを割り振ったモジュレーションホイールかエクスプレッションペダル、あるいはインテンシティつまみそのものを手操作するしかありません。

 LFOの波形はminilogue同様、矩形波、三角波、鋸歯状波のみ。ランダムやノイズはありません。

 効果のインテンシティに関して、シフトボタンを押しながら設定するとマイナス値になります。したがって、LFOの鋸歯状波は正逆とも使えます。

 EGの所でも触れましたが、LFOの効果の深さの径時変化に関するパラメータはありません。

 LFOのディスティネーションは、カットオフ(グロウル効果)、PWM等オシレータ波形の変調、ピッチ(ビブラート)のみです。そして、これらのうちのどれか一つのみを選ばなければなりません。

 内蔵エフェクターは、変調系(コーラス、アンサンブル、フェイズシフター、フランジャー)及び空間系(ディレイ、リバーブ)があり、各々さらにサブタイプという複数種のエフェクターがあります。同時使用数は変調系空間系とも1つです。

 コルグのアナログシンセサイザーにアンサンブルが載るのは、KORG PS-3200、Polysix以来ではないでしょうか。LFOによるオシレータ波形変調とアンサンブルを併せて使ってみたいと思います。

 その他、冒頭でも記しましたがprologue-16にはアナログコンプレッサーがあります。

 二つのティンバーは、KORG MS2000以来のアナログモデリングシンセ同様、レイヤーやクロスフェイド、スプリットはあるのですが、二つのティンバーのどちらか一つのみを鳴らすというモードが相変わらずありません。私としては、二つのティンバーの切り替えを、コルグのワークステーション機のアサイナブルボタンのオン/オフのイメージで使いたいのですけどね。

 ちなみにRoland JP-8000GAIA SH-01AIRA SYSTEM-8等、ローランドのアナログモデリングシンセの場合、ロワー/アッパー各々の発声する/しないを選ぶ(切り替える)事が出来ます。

 プログラムソートという機能があります。1〜8の八つのボタンに各々音色ソートの条件が割り振られていて、プログラム番号、カテゴリー、名称、使用回数、EGの設定、ランダムなどがあります。

 アルペジエータは、アップ、ダウン、アップダウン、ランダム、そして押鍵順が反映されるモードがあります。喜多郎さんがRoland JUPITER-4のアルペジエータで行っていたフライングジュピターをシミュレーションできます。

 足回りに関して、エクスプレッションペダルとダンパーペダルの端子があります。エクスプレッションペダルには様々なパラメーターを充てる事ができるのですが、ダンパーペダルは文字どおりサスティンだけです。ポルタメントのオン/オフ等、この端子に挿したフットスイッチを使ってやりたい事はたくさんあるのですけどね。

 KORG prologueは、ARTURIA MATRIXBRUTE、Dave Smith INSTRUMENTS PROPHET REV2、moog SUB 37のような、音色の径時変化のシナリオを緻密に組めるといったアナログシンセサイザーではありません。この点に関してminilogueから退化した点すらあるのは上で記した通りです。

 意地悪な見方かもしれませんが、音色作りの可能性はともかくprologueの発声数が8、16と比較的多い事に関して、
SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5より音色を作り込む事はできないが発声数は一つ多い
と強調するかのように、
“ Polysix ” “ JUNO-6
という名を日本のシンセメーカーが冠したアナログシンセ時代を思い出しました。21世紀の日本のアナログシンセメーカーの立ち位置は、20世紀と変わらないのかもしれません。

 しかしながらこれまで、単に安価で簡便なもの、復刻機、そして、何だか要領を得ない抱き合わせモデルばかりの日本の21世紀アナログシンセサイザーにあって、多少なりとも楽器に近づいたと思えるモデルが登場した感があります。

 私はアナログシンセサイザーの鍵盤数は、キーボードトラックを緻密に設定できない故に、49鍵が上限だと思っているので、導入するとしたらprologue-8という事になると思うのですけど、できれば右手用/左手用に1台づつ手にしたい気がします。


平成30(2018)年2月14日追記。

 KORG prologueの発売日平成30(2018)年2月24日(土)、税込価格prologue-8:162,000円、prologue-16:216,000円。


平成30(2018)年2月25日追記。

 昨日発売されたKORG prologue-16に触れてきました。ほんの数分だったのですが、チェックした事柄について列挙します。

 鍵盤はおそらくKORG M3の鍵盤部M3 KYBD アセンブリ-61、73、KORG KRONOS 61、KRONOS 2 61と同じものと思われます。コツコツ当たる感じが無い、私好みの鍵盤でした。

 操作子に関して、minilogueよりも間隔に余裕を持って配されているので操作しやすかった事や感触も良かったです。また、minilogueと異なり、最低値〜0〜最大値と変化するものに関して、「0」の位置にクリック感があります。minilogueは「0」を画面で視認する必要がありましたが、prologueは感触が伝えてくれます。

 ポルタメントのカーブはminilogueと異なり、本来のアナログシンセ的な非リニア変化でした。喜多郎さんがmini KORG 700S800DVで1オクターブ上へレガートしながらかける間延びした感じのポルタメントを違和感無くシミュレーションできました。

 ちなみに、喜多郎mini KORG 700Sリードシミュレーションのコツは、オシレータを一つのみ使いパルスウィズ33%(シェイプを330)にする事、フレキシブルEGをオートベンドに充てる、ディレイフェイドインビブラートはホイールにLFOのインテンシティを割り振り手操作で行う、です。

 モジュレーションホイールにLFOのインテンシティを充てた場合、モジュレーションホイールの効果はモジュレーションホイールレンジでの設定が、そして、LFOインテンシティの設定はそれとは独立して発声に反映されます。つまり、ホイールを手前に引ききっていても、モジュレーションはかかるという事です。

 prologueの内蔵エフェクターにアンサンブルがあるのですが、それを使って姫神せんせいしょんがKORG Polysixを使って出していたアンサンブル感のある笛の音をまねてみたところ、涼しげなあの感じを出す事ができました。PCMやアナログモデリングシンセでやるとどうしても輪郭に明瞭度が出すぎるきらいがあります。

 径時変化に関するパラメーターがminilogueよりも少なく、2本しかない腕を2本とも鍵盤に置くと、じっとした音色しか出せない。エクスプレッションペダルはあるものの、私の場合、片手は常時ホイールかつまみに添える事なり、したがってprologueを導入するとしたら、やはり61鍵機prologue-16ではなく、49鍵機prologue-8の方か…ただ、腕2本を鍵盤演奏に充てられないという事で、上の方で書いた
右手用/左手用に1台づつ手にしたい
は消えました。

 prologueに触れてみて思ったのは、コルグは“アナログシンセを指向する人はマニピュレーションに凝らない”と踏んでいるのだろうなという事でした。無論、コルグという企業には、音色を緻密に作り込める欧米のアナログシンセの輸入代理店であるという側面があり、あえてかち合う事を避けた、と見る事もできるのかもしれませんが…。

 私としては、ちょこちょこっと音色を作る事は、このprologue、minilogue等〜logueやvolcaといったアナログシンセサイザーに引き受けてもらって、今後のコルグのアナログモデリングシンセサイザーには、よりマニピュレーションに凝る方向へ舵を切ってくれればと思います。

 マニピュレーションで誰かの個性を汲む、反映させるといった指向で設計されたわけではなさそうなprologue。そういえば、かつてそんなシンセがあったなと記憶をたどったところ、ワークステーション機KORG M1に行き着きました。全く異なるエンジンを持つprologueは、1988年春発売のKORG M1の、影の30年記念モデルなのかもしれません。


KORG prologue
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/prologue/index.php

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 implant4さんで、Roland JD-XAを試奏させていただきました。

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 JD-XAの中古機に関して、発売からしばらく経って頒布されたフロントパネルのオーバーレイシートが被せられていないものが多いのですが、今回試奏させていただいた個体にはありました。早晩impalnt4さんのウェブサイトの在庫リストに載るはずです。

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 ハイブリッドシンセサイザーRoland JD-XAは、楽器見本市NAMM 2015で発表され、平成27(2015)年7月18日発売されました。

 NAMM 2015の第1報のおり、このシンセサイザーにアナログとデジタルの2つのシンセサイザーが載っている事と、BKカラーの筐体上を、赤くライトアップされた操作子群が覆っているという、ある種異様な姿に驚かされました。

 オールデジタルのシンセがソフトウェアにのみ込まれそうな中で、エンジン部分や操作にアナログシンセの要素を取り込む、あるいは完全にアナログシンセに立ち返るという試みは既にあったのですが、ローランドは他とは少し異なる形でその流れに乗った感があります。

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 Roland JD-XAをセクション毎に見ていきます。

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 鍵盤。

 SEQUENTIAL prophet-6Dave Smith INSTRUMENTS OB-6と同じ49鍵。SEQUENTIAL prophet-6が出ますで書きましたが、フィルターやアンプのキーボードフォローが傾斜しか設定できないアナログ/アナログモデリングシンセの鍵盤数は、この辺りが限度ではないでしょうか。これ以上になると、コルグのワークステーション機のキーボードトラックみたいに山や谷を設定できるのでなければ、高い方か低い方で使えない部分が出てきてしまうと思います。

 ベロシティ及びアフタータッチがあります。日本のメーカーのアフタータッチを載せたシンセサイザーで、JD-XAは今、最も安価なモデルです。

 今回もアフタータッチを試すのを忘れてしまいました。基本的に私がアフタータッチを使わないからだと思います。したがってJD-XAのアフタータッチがオン/オフのみなのか、押鍵の深度によって効果をコントロールできるのかわかりません。

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 鍵盤の裏におもりは貼られていないのですが、それでも好感触でした。しかしながらそれ以上に驚かされたのは、ローランドの鍵盤としてはけっこう静かであるという事です。

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 ホイール1、2。

 20世紀、ローランドのMIDIマスターキーボードRoland A-80、90、70で、ベンダーレバーとホイールの両方が載っていたのですが、JD-XAで久方ぶりに復活しました。

 ピッチベンドやモジュレーションだけでなく、プログラムエディットのアサインやトーンエディットでのマトリックスコントロールで、様々なディスティネーションを充てる事ができます。

 例えば、喜多郎mini KORG 700Sリードのシミュレーションに関して、ホイール1にピッチENVのデプスを充てる事により、オートベンドのモーメンタリースイッチとして使う事ができます。本来マニュアルピッチベンドの操作子たるホイールを、オートベンドに使うわけです。ただ、今回の試奏で実際に試したわけではないので、この方法が成功するか確信は持てないのですけど…。

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 ベンダーレバーその他コントローラー群。

 ローランドの伝統的なベンダーレバー、オクターブダウン/アップ、キートランスポーズ、アルペジエータのオン/オフ、そしてポルタメントタイムの設定子とオン/オフボタン。

 私はポルタメントのオン/オフはフットスイッチで行う事が多いのですが、それでも関連する操作子がベンダーレバーのそばに集約されている事は大変ありがたい。

 アナログシンセトーンのポルタメントのカーブは非リニア変化です。もちろんレガートの時だけかけるモードもあります。

 ピッチベンドレンジは、ダウン/アップ個別に設定できます。ローランドのアナログシンセでこれができるのは、本機とRoland JD-Xiだけです。私はこうでないと姫神風ピッチベンドができません。

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 パートセレクトボタン群。

 JD-XAのアナログシンセトーンは、4台のモノフォニックシンセをキーアサイナーを使って4声ポリフォニックシンセにしているわけですが、これ、例えばSEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5が5台の、KORG PolysixRoland JUPITER-6が6台の、prophet-T8が8台のモノフォニックシンセが載っている事と共通しています。ただ、JD-XAは4台各々個別の音色を設定できて、ポリにしたり、ユニゾンにしたり、発声させるものとさせないものを切り替えるといった事ができます。

 喜多郎mini KORG 700Sリードのシミュレーション時、オートベンドの有る無し2つの音色を作り、この4つのアナログトーンセレクトボタンの内の2つを、オートベンドのオン/オフのトグルスイッチのように使うようにしてみました。ただ、JD-XAに載っている4台のアナログモノシンセに個体差があるが故に、セレクトボタンを2つオンにして2つの音色を同時にエディットする形では、これらに差異が出る事がわかりました。オシレータの所で記します。

 画像を上手く撮る事ができなかったので省略しますが、パートセレクトボタン群の下にマスターボリュームつまみ、その右に音色名やパラメーターを表示するディスプレイ、パラメーターを選択するカーソルボタン、パラメーターを1づつ増減できるマイナス(ディクリーメント)/プラス(インクリメント)ボタンがあります。

 フロントパネル上の操作子が動かされるとその現在値が表示され、次の操作があるまで持続されます。

 スライダーやつまみだけでなく、ディクリーメント/インクリメントボタンで設定値を仕上げる事ができるのは、神経質な私にとって大変ありがたい事です。

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 LFO。

 2つのLFOで一つの操作子群を共有していて、設定する側のLFOをセレクトボタンで選びます。

 ディスティネーション側の変調の深度もここで設定するのですが、PWM(パルスウィズモジュレーション)に関しては、パルスウィズディスティネーションでオシレータを選択すると、オシレータ側のPWMスライダーでデプスを設定できるようになります。パルスウィズディスティネーションはデジタルアクセスコントロールでのみの設定です。

 ここにフェイドタイムだけでなく、ディレイタイムもあればと思っています。ちなみにRoland JD-Xiの場合、ビブラートディレイというパラメーターがあります。

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 2つのオシレータ。

 ピッチは、例えばオシレータ1に対して2をディチューンするというのではなく、コース、ファインとも各々に独立して存在しています。アナログシンセながら、演奏中にピッチがおかしくなるという心配が無さそうな安定度でした。

 波形は一般的な鋸歯状波、矩形波、パルス波、三角波、サイン波です。

 昨今のアナログシンセの中には、アナログモデリングシンセのように波形を変調できるモデルが出てきているのですが、JD-XAはパルス波だけです。

 JD-XAの矩形波は、私が知っている矩形波とは大きく趣きが異なっています。むしろパルス波を選択してパルスウィズを10あたりにすると、私がよく使ってきた矩形波になりました。姫神がRoland SH-2で出す笛風の音は、こちらの波形の方がはるかに似ます。パルスウィズを0にすると矩形波選択時と同じ矩形波になります。私がJD-XAのアナログシンセトーンの矩形波を使う事はありません。

 パルスウィズもPWM(パルスウィズモジュレーション)も2つのオシレータで独立して設定できます。PWMのソースはLFOだけです。

 オシレータのサイン波はフィルターを自己発振させたものとは異なる、温かみのあるものです。歌の伴奏のイントロや間奏のリード音でよく使われるあの音です。

 恒例の喜多郎mini KORG 700Sリードのシミュレーションのヒントは、パルスウィズ37から53あたりで探す、です。その理由は、パートセレクトボタン群の所で記しましたが、JD-XAに載っている4台のアナログモノシンセには個体差があり、例えば仮にパルスウィズを「42」と設定しても、はっきり聴感的に感知できる4通りの異なる音色になります。

 JD-XAのSuperNATURALシンセトーンには、文字通りmini KORG 700、700Sの三角波から採ったと思われる三角波Bがあり、こちらを使う事をお勧めします。しかしながらこの場合、ポルタメントのカーブはリニア変化になります。

 PCMシンセRoland JUNO-DSのオシレータには三角波Bと同じものが、700トライアングルとして入っています。ワークステーション機FA06、07、08のオシレータには無く、Axialでも提供されていません。

 話をJD-XAに戻します。

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 ピッチENV及びオシレータミキサー。

 Roland JP-8000以来継承され続けている簡便なENV。オートベンドのソースとしては充分なのですが、ここにディレイタイムが加わってくれればと思っています。

 オシレータミキサーが2つのレベルの割合ではなく、各々のレベルを設定できるという事、言い換えればオシレータを使わないという設定も可能だという事です。

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 フィルター。大変不鮮明な画像で載せる事をためらったのですが…。

 3種のローパスフィルターとハイパス、バンドパスフィルターが使えます。カットオフフリケンシーのつまみのトップは赤く塗られています。

 オシレータミキサーでオシレータを無効化できる事からも分かるのですが、フィルターは自己発振します。

 私がRoland SH-101を所有していた頃、カットオフとレゾナンスを微妙に操作して、VCFが自己発振したりしなかったりするポイントを使って水滴や焚火のような音を作っていたのですが、JD-XAのフィルターの自己発振するしないの分水嶺ははっきりしていました。ただ、LFOの波形をサンプル&ホールドにしたところ、なかなかいい水滴の音を作る事ができました。

 キーボードフォローはマイナス値も設定できます。変化の傾斜を右肩上がり/下がりにできるという事です。

 ベロシティでのフィルターENVのかかり具合の設定は、デジタルアクセスコントロールで行います。

 またキーボードフォローを微調整するキーボードファインも同じくデジタルアクセスコントロールです。フィルターを自己発振させた音色で音階を弾く場合、重要になってくると思います。

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 アンプ部。

 トーンのレベル、音量の径時変化用のENVの操作子群。

 ベロシティで音量をコントロールできるのですが、その設定はデジタルアクセスコントロールです。

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 内蔵エフェクター操作子。

 トータル/マスターエフェクターのトータルコントロールやオン/オフ、言い換えればボタン操作で効果のカットイン/アウトができます。

 特に空間系はいつもながらローランドらしい内蔵エフェクター離れした質感だと思います。

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 リアパネル側の「R Roland」「JD-XA」 のロゴ。立体的なプレートが貼り付けられた形です。光が当たると銀色に反射します。社号をLEDで仄白く光らせるKORG KROSS2より品があると思います。

 このRoland JD-XAを試奏した日、別の楽器店さんで、ARTURIA MATRIXBRUTE、そして、既に製造終了がアナウンスされたmoog SUB 37 tribute editionに、ほんの少しですが触れる事ができました。

 両機とも、ただのアナログシンセサイザーです。しかしながら、マニピュレーションの広大かつ緻密な可能性や、平易な操作感を実現しています。そして、価格もかつてのようなものではなく、手が届きそうな所まで下りてきています。

 JD-XAはクロスオーバーなシンセなのだそうですが、アナログシンセトーンとSuperNATURALシンセトーンの抱き合わせは、 fusion(フュージョン:融合)というより、confusion(コンフュージョン:混乱)を招いているような気がします。

 日本のシンセサイザーメーカーからも、ただのアナログシンセサイザー、しかし、音色の径時変化のシナリオを緻密に組む者、要するに私のような人間が、思わず乗りたくなるようなモデルが出てくれればと思います。

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 以下の4枚の画像は、平成29年5月2日、NU茶屋町5Fのイシバシ楽器梅田店さんが、同ビル2Fでシンセや電子ドラムの特別展示をされたおり、撮らせていただいた画像です。フロントパネルにオーバーレイシートは載っていません。

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Roland JD-XA
https://www.roland.com/jp/products/jd-xa/