平成29(2017)年9月1日、コルグはワークステーション廉価機KROSSの後継機、KROSS 2を発表しました。

 KORG KROSS 2には、通常色機KROSS 2-61-MB(スーパーマットブラック)、限定生産機KROSS 2-61-RM(レッドマーブル)、そして、NH鍵盤88鍵機KROSS 2-88(ダークブルー)があります。

 なお、国によっては、KROSS 2-61の量産型機のカラーリングがスーパーマットブラックではなく、KROSS 2-88と同じ、つまりKROSS 2-61-DB(ダークブルー)です。日本、欧州、北米、オーストラリアはKROSS 2-61-MB、それ以外はKROSS 2-61-DBのようです。理由はわかりません。

 KROSS 2発表と同時に、コルグのウェブサイトからKORG KROSS旧機の記事へのリンクが消えました。本稿執筆時点で、まだウェブサイトそのものは存在しているのですが、そこで製造終了が告知されています。

 本稿はKORG KROSS旧機との相違点を中心に書きたいと思います。

 KROSSでは内蔵MIDIシーケンサーの操作子のそばにあったアルペジエータやドラムトラックのオン/オフボタンが、フロントパネルの左端に来ています。私の場合、コードを左手で押さえる事が多いので、これらは旧機の位置にある方がありがたいのですけどね。

 KROSSには無かった、スイッチ、ノブ1、ノブ2の3つの演奏操作子があり、セレクトボタンによって役割を選択する事ができます。ただ、奏者やマニピュレータが演奏中に操作したいパラメーターを、自在にアサインできるわけではなく、役割を3つで1セットになった6セットから選びます。また、これら3つの操作子は、オルタネートモジュレーションソースリストには含まれていません。

 KROSSの場合、カテゴリーダイヤルの右にあったプログラム選択ダイヤルが、KROSS 2では無くなっています。カテゴリーを選択した後、プログラムを指定するのはバリューダイヤルで行います。

 KROSSでもプログラム指定にバリューダイヤルを使う事はできました。エンターキーで選択する音色を確定させると、バリューダイヤルで再び音色を変えてもカテゴリー内リストが表示されず音色名だけが変わるのですが、再びエンターキーを押すとリストが表示されます。リスト表示状態でエンターキーで音色を確定させないまま、メニューボタンを押してエディットモードの入ろうとすると、音色が確定した状態のメイン画面が表示されます。もう1度メニューボタンを押すと、エディットモードに入ります。

 カテゴリーダイヤルやバリューダイヤルに関して、KROSSの場合、パラメーターを微細に変える折のつまむ、大きくに変える折の指を乗せて速く回す、のどちらの動き(動かし)にも絶妙に追従してくれる、シンセサイザーの歴史上最も素晴らしい形状と感度だと思っているのですが、KROSS 2は、つまむ、の方向へ寄った形状をしていると思います。

 DEC(ディクリーメント)/INC(インクリメント)ボタンが無いKROSS、KROSS 2は、それ故にバリューダイヤルの繊細な追従性が求められるのですが、先に記した通りKROSSはその点満足がいくものでした。KROSS 2のバリューダイヤルがそれを踏襲している事に期待しています。

 カーソルキーが4つのボタンだったものが、押さえる位置によって方向を指定する1つの操作子へ変わっています。バリューダイヤルとの位置関係が、KROSSの場合真横だったものが、KROSS 2では斜め横になっています。バリューダイヤルがつまみに近い形状である事と併せて、試奏時に使い勝手をチェックしたいと思っています。

 液晶画面はフロントパネルと平行ではなく、より急な角度がついて筐体内部に凹んでいます。

 KROSS 2のルックスに興趣を添えている要素の一つともいうべき、16個の自照型パッドが2段に分かれて並んでいます。ステップシーケンサーの操作子やフェイバリットボタンである事は、KROSSのフロントパネル横1列に並んだ自照型ボタンと同じなのですが、KROSS 2はさらにサンプラーやオーディオプレイ機能のパッドにもなります。

 KROSS 2のシンセサイザーエンジンはEDS-iで、パラメーター構成もKROSSと同じです。最大同時発声数は120と大幅に増えています。

 オシレータ波形は、KROSSの約111MB、マルチサンプル421個、ドラムサンプル890個に対し、KROSS 2は約128MB、マルチサンプル496個、ドラムサンプル1014個に増装されています。

 私は基本的にはPCMシンセのオシレータ波形の数や精度にさほど関心が無いのですが、KROSS 2で増装されたオシレータ波形群の中には、「侘び寂びセット」「虚無僧セット」「フジヤマ(富士山)セット」「雅楽セット」等と読めるものがあります。民族楽器というか和楽器風の音を、多少なりとも生々しく出してみたいと思ってきた身には、ちょっと聴いてみたい波形群です。

 また、KROSS 2は、128MBの拡張PCMメモリにダウンロードという形で、オシレータ波形を増装できます。これが有償なのか、Roland Axialのような無償なのか等、詳らかな事はまだわかりません。

 内蔵マルチエフェクターに関して、残念ながらKROSS同様、空間系エフェクターはマスター2でのみの使用です。つまり、同時に2つ以上の空間系エフェクターを使えません。私としては、フットボリュームより前で空間系エフェクターを2つ使いたい局面があるのですけどね。

 KORG KROMEKingKORG、KROSSのリアパネル側の「KORG」のロゴに関して、「R」の文字の中の空きの部分が光るようになっていましたが、KROSS 2の場合、「KORG」のロゴ全体が白く光ります。グローバルモードのロゴライトブライトネスの部分で、輝度の増減、あるいは消灯を設定できます。

 足まわりに関して、旧機同様、ダンパーペダル、フットスイッチ、エクスプレッションペダルの端子があります。10万円を切るシンセに関して、フットスイッチかエクスプレッションペダルのどちらかを選択しなければならないものが多い中にあって、コルグワークステーション機は、KROSS、KROSS 2のような廉価機であっても、3つのペダルが使えます。サスティンペダルは全く使わないものの、フットスイッチやエクスプレッションペダルを多用する私としては、大変ありがたいことです。

 USBはこれまでのUSB-MIDIインターフェイスに加え、USB-オーディオインターフェイスの機能も持っています。パソコンだけではなく、iPad、iPhoneといったiOS端末にも対応しています。コルグワークステーション機に関して、上級機はともかく、廉価機でこの機能が載ったのはKROSS 2が初だと思います。

 パソコンベースのライブラリアンが用意されているモデルは今でも珍しくないのですが、KROSS 2はここ数年の間に出たシンセとしては久方ぶりに、エディタ、プラグインエディタも用意されています。エディタに関して、他社機ではすっかり見なくなり、また、コルグでもKingKORGにはありません。

 コルグワークステーション廉価機のヘッドホン端子は奏者側左端にあり、KROSS 2-88もそれを踏襲しているのですが、KROSS 2-61-MB、KROSS 2-61-RMはリアパネル側にあります。

 KORG KROSS発表時、KROSS-61の4.3kgよりも、KROSS-88の12.4kgという本体重量に驚かされたのですが、KROSS 2は逆に、KROSS 2-88の12.3kgよりも、KROSS 2-61の3.8kgに目を見張りました。500グラムも軽量化されています。

 21世紀に入ってコルグは、KORG TRITON Leに始まるワークステーション廉価機を秋に発売する事が多く、TRM50、KROMEと続きました。

 私は、平成24(2012)年のKROMEから4年経った昨年秋に、同機後継機が発売されるものと踏んでいました。しかしながら、実際は今秋、KROSSの後継機KROSS 2が発売されます。あるいはKROME、KROSSとあった廉価機をKROSS 2という形で統合するのかなとも思えます。

 ただし、来るNAMM 2018あたりで、私のその考えが否定されるような事があるのかもしれません。コルグのジョイスティックを、ホイールやベンダーレバーといった他のどのコントローラーよりも気に入っている者としては、KROMEにも続きがあってほしいのですけどね。

 税込価格はKROSS 2-61-MB、限定生産機KROSS 2-61-RMが79,920円、KROSS 2-88が118,800円。発売日は9月24日。


平成30(2019)年5月11日追記。

 日本以外のコルグの各国・地域のサイトで、KORG KROSS 2-61の生産限定カラーバリエーション機、pure white limited edition KROSS 2-61-WHが紹介されています。筐体が白づくめです。どうせなら黒鍵も白色だったらと思うのですけどね。


平成30(2018)年5月18日追記。

 日本以外のコルグのサイトで紹介されているKORG KROSS 2-61のpure white limited edition KORG KROSS 2-61-WHは、日本ではKROSS 2-61-SCとして島村楽器さんから発売されるようです。ソフトケースとSDカード TRITON for KROSS2が付属します。発売日5月26日。

 同じく同店からのみ発売されているRoland FA06-SCに関する記述がローランドのサイトに無いのと同じく、KROSS 2-61-SCの情報は日本のコルグのサイトにありません。

 ちなみに今、KROSS 2-61-SC同様、KROSS 2-61-MBも、ソフトケースが同梱されています。本体はコルグの廉価機の多くで採られている銀色の箱に、さらにその箱とビニールに入ったソフトケースが一つのダンボールに入っています。

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KORG KROSS 2
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/kross2/


KORG KROSS
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/kross/

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 平成29(2017)年8月8日、ローランドはアナログモデリングシンセサイザー、Roland Boutique SH-01Aを発表しました。

 元になったアナログシンセサイザーはもちろん、Roland SH-101です。音色設定の諸要素の構成や筐体の色、操作子の形状やその目印部分のカラーリング、ロゴのレタリング等、かつてのSH-101のそれを継承しています。

 SH-101のアナログモデリング化は、既にRoland AIRA SYSTEM-1SYSTEM-1m用のプラグアウトシンセサイザーSH-101 PLUG-OUTで実現していますが、Boutique SH-01AはあえてSH-101のままにしている部分がいくつかあります。

 Boutiqueとしての仕様は他のモデルと同じで、ピッチベンド用、モジュレーション用の二つのリボンコントローラーや、オプションのK-25mに載せる事ができる等です。

 SH-101は非プログラマブルのモノフォニックシンセですが、Boutique SH-01Aは64音色プログラマブル4声ポリフォニックで、ユニゾンも選択できます。SH-101を持っていた頃、KORG 800DVみたいに2声出せたらなと思う局面がありました。

 SH-101の筐体はプラスチックでしたが、Boutique SH-01Aは他のBoutique同様、アルミのようです。しかしながら、公式サイトの画像を見る限り、SH-101のあの灰色が上手く再現されていると思います。

 パラメーター構成を見ていきます。

 LFOの波形は、SH-101から継承した三角波、矩形波、ランダム、ノイズ、そして新たに、正逆の鋸歯状波が加わっています。モジュレーションデプスにマイナス値を設定できないので、鋸歯状波を正逆とも載せたのだと思います。

 LFOの波形にノイズがある事は、私がSH-101で最も気に入っていた要素でした。VCOやVCFのモジュレーションデプスを上げていくとノイズによる変調がかかります。なんとかSEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5のソースミックスを真似したかったのですが、LFOとノイズを混ぜるのと、単に波形がノイズであるという事は根本的な違いがあり、満足のいく効果を生み出す事はできませんでした。

 LFOのレイトに関して、どうやらSH-101同様、内蔵デジタルシーケンサーやアルペジエータのレイトと共用という形になっているようです。SH-101で私が最も残念に思っていた要素です。

 オシレータ部は「VCO」と表記されていますが、もちろん実際はデジタルです。SH-101同様、一つの波形を選ぶのではなく、ソースミキサーで矩形波を含む非対称矩形波、鋸歯状波、サブオシレータの割合を決めます。

 パルスウィズはマニュアル、LFO/ENVのソース選択によるPWMがあります。

 フィルター(VCF)は、SH-101同様、ENVのリバース曲線を設定する事はできません。

 フィルターはおそらく自己発振してくれると思うのですが、私が所有していたSH-101のような自己発振したりしなかったりする接触不良のようなポイント(カットオフ、レゾナンスとも7より上あたりで探す)が存在するか否かわかりません。SH-101 PLUG-OUTにはありません。発振するか沈黙するか、です。

 そもそも私の所有機以外のSH-101ですら、そういうポイントが無い(発見できなかった)ものばかりで、あるいは私が持っていた個体独特のクセだったのかもしれません。件の状態でLFOのランダムをかけると水滴が跳ねるような音、そしてノイズをかけるとマキを火にくべたような「パチッ(チリチリ)パチッ(チリチリ)…」という、いずれも生々しい音になりました。

 将来、「フィルターが自己発振したりしなかったりする接触不良のような状態」をもシミュレーションできるように、アップデートしてもらえたらと思います。

 ENVはSH-101同様フィルターとアンプ(VCA)で共用する形です。SH-101 PLUG-OUTはフィルターとアンプで個別に設定できました。

 Bputique SH-01Aは、Boutiqueシリーズ中、唯一、ベンダーレバーのレンジ(ピッチ、カットオフ)やモジュレーションデプスの操作子が露出しています。演奏しながらの調整ができます。

 ポルタメントに関して、SH-101同様、タイム(おそらく実際はレイトです)を設定するつまみ、そしてオン/オフのトグルスイッチがあります。このスイッチはオン/オフ以外に、レガートの時だけポルタメントがかかるオートモードもあります。私の記憶に間違いが無ければ、YAMAHA DX7以前、レガートの時だけポルタメントがかかるという設定ができたのは、SH-101だけでした。

 SH-101同様、100ステップのデジタルシーケンサーとアルペジエータがあります。アルペジエータはダウン、アップダウン、アップのモードがあり、アップダウンはおそらく「ドレミ」を押すと「ドレミレドレミレ…」と実行されるタイプと思われます。

 MIDI IN/OUT、CV/GATE OUTがあり、これを介して内蔵デジタルシーケンサーの実行を他機へ送る事ができます。

 なお、SH-101には灰色の通常色機の他に、赤、青のカラーバリエーション機があったのですが、Boutique SH-01Aにも通常色機以外に、赤のBoutique SH-01A-RD、青のBoutique SH-01A-BUが用意されます。

 私が昭和57(1982)年11月に買ったRoland SH-101は、私の最初のシンセサイザーでした。その頃は私も世間も、単に安価なシンセという評価しか下していなかったと思います。アナログシンセ時代があの後もずっと続いていたら、あるいは今のような評価は受けていなかったのかもしれません。

 10年後の平成5(1993)年の年明け、SH-101の買取価格が信じられない額になっていました。それに目がくらんで売却しました。

 その後も、このシンセは名機としてもてはやされ、製造元のローランドによってSH-101 PLUG-OUTという形で復刻され、今回、Boutique SH-01Aの発表となりました。

 かつて私が気に入っていたLFOの波形にノイズを充てられるという機能は、SH-101 PLUG-OUTや他のBoutiqueにもあるのですが、やはりBoutique SH-01Aで試してみたいものだと思います。

 Roland Boutique SH-01Aの発売は、通常色機が9月29日、Boutique SH-01A-RD、SH-01A-BUは10月28日。税込価格は3色とも49,680円。

 ちなみに、Boutique SH-01Aの「A」は「本物(Authentic)」の意だそうです。


平成29(2017)年9月11日追記。

 本日、取扱説明書が公開されました。


Roland Boutique SH-01A
https://www.roland.com/jp/products/sh-01a/

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 平成29(2017)年6月20日、ローランドはプログラマブルアナログモノフォニックシンセサイザー、Roland SE-02を発表しました。

 SE-02は、アナログシンセの部分をスタジオエレクトロニクス社が、その他の部分をローランドが設計し、Boutiqueベースの筐体にまとめたものです。フロントパネルの「SE-02」のロゴの横には、「STUDIO ELECTRONICS」の銘が入っています。

 スタジオエレクトロニクス(STUDIO ELECTRONICS)社は、かつてMIDIMOOG、SE-1と、明らかにminimoogを意識したアナログシンセサイザーを製造していたメーカーです。

 ローランドのウェブサイトに、既にSE-02の記事がアップされています。その内容や画像を参考に、今、私が分かる範囲で記したいと思います。誤りがある可能性をお含み下さい。

 取扱説明書の公開、あるいはSE-02が発売され試奏する事ができた場合、ここの記述を大幅に改訂する可能性があります。

 ポルタメントはタイム(おそらくレイト)を設定するつまみと、ポルタメントのカーブのLIN(リニア変化)/EXP(非リニア変化)/オフを選ぶスイッチがあります。

 minimoogの場合、モジュレーションミックスはVCO3(LFO)ないしフィルターEGとノイズないしLFOの混ぜ具合を決めてディスティネーションへ送る機能ですが、SE-02の場合、LFOとクロスモジュレーションの割合を決めます。

 VCOは三つあり、波形はminimoog同様、三角波、ランプ(RAMP:傾斜)波、鋸歯状波、矩形波、デューティー比の異なる二つのパルス波があります。VCO3だけランプ波の代わりに逆向きの鋸歯状波である事もminimoogと同じです。

 VCO2にVCF ENVをかける事ができます。デプスにマイナス値を設定する事もできます。もちろん、VCO2のオートベンドのソースとして使えますが、シンクロやクロスモジュレーションの効果をより複雑なものにする事が主たる目的のパラメーターと思われます。

 クロスモジュレーション→モジュレーションホイールスイッチで、クロスモジュレーションセクションの3種のうち、どれをモジュレーションミックスへ送るかを決めます。

 クロスモジュレーションセクションで、VCO2でVCFのカットオフに変調をかける、VCO3でVCO2の波形に変調をかける、VCO3でVCO1、2のパルス波に変調をかける、の3種のクロスモジュレーションの効果の深さを設定します。

 ミキサーは三つのVCO、ホワイトノイズのレベルを設定します。このノイズジェネレータは、minimoogのようにモジュレータに充てる事はできないようです。

 VCFはローパスフィルターのみ。自己発振するか否かはわかりません。

 VCFのキーボードトラックの設定はminimoogと同じで、1/3をオンの場合は鍵盤の変化に対して1/3、2/3をオンにすると2/3の割合で変化します。したがって、両方をオンにすると1/3 + 2/3 = 1、つまり押された鍵盤に沿って変化するようになり、また両方共オフにすると変化しない、という事になります。

 ちなみに、ローランドのシンセサイザーの場合、キーボードフォローと表記するのが常なのですが、SE-02はコルグが使っているキーボードトラックとなっています。

 コンター(CONTOUR)とはENVの事で、このつまみはVCF ENVデプスです。リバース曲線(INVERT)に設定する事もできます。また、トリガーモードをマルチかシングルか選択できます。minimoogの場合、後者だけでした。

 ENVはアタックタイム、ディケイタイム、サスティンレベルで、リリースタイムはminimoogの場合、ホイール横のディケイスイッチをオンにする事でディケイタイムと共用したのですが、SE-02の場合、オフ/1,2/2のスイッチがあります。

 VCO3をLFOに充てる形だったビンテージminimoogと違い、SE-02には専用のLFOがあります。

 波形はサイン波、三角波、正逆鋸歯状波、矩形波、デューティー比の異なる二つのパルス波、そして、二つのランダム波。

 LFOは、ビブラートデプス、グロウル効果のデプスを個別に設定する事ができます。これらはモジュレーションホイール等のコントローラーの状態とは関係が無い形で設定できます。

 これらはminimoogの場合、モジュレーションホイールの状態が決めていたのですが、それをそのまま継承した場合、SE-20の演奏に使うMIDIマスターキーボードが、ローランドのベンダーレバーやコルグのジョイスティックのような、手指を離すとコントローラーがニュートラル位置に帰るタイプだと、変調のデプスをとどめておく事ができません。

 モジュレーションホイールというかモジュレーションコントローラーによる変化のレンジは、オフ/ハーフ/フルと大雑把な形ですが、ピッチ(VCO)、グロウル効果(VCF)個別に設定できます。

 また、LFOの信号が常に垂れ流されるか、押鍵でリトリガーされるかを選ぶ事ができます。

 SE-02は、minimoogのような、LFOとノイズの混ぜ具合を決めてディスティネーションへ送るという事はできないようです。

 内蔵デジタルディレイがあります。ディレイタイム、フィードバック数、エフェクトレベルを設定します。

 SE-02にはステップシーケンサーが載っています。最大16ステップの一つのシーケンスをパターンと呼び、このパターンを128記憶できます。

 実行中のステップボタン(ステップランプ)が点灯する事は、Roland SYSTEM-700の717A、SYSTEM-100Mの182等多くのアナログシーケンサーやコルグのモッドシーケンス機能と同じです。

 ノートデータやゲートタイムに加え、ステップボタンを押しながら設定操作子を動かす事で、パラメーターの変化のアニメーションを作る事ができます。

 ステップから次のステップへが、文字どおりステップではなくスムースにしたい場合、グライド(ポルタメント)ボタンを押し、ステップボタンを押して指定します。例えば、ステップ1にVCO1の左端の三角波、その次に右端の最も幅の狭いパルス波を指定し、グライドをかけるとVCO1の波形が左から右へ連続したウェーブシーケンス(モーフィングではない)になります。また、幅の異なるパルス波を連結してPWMにする事も考えられます。

 SE-02のステップシーケンサーにはキートリガーモードがあり、押鍵(トリガーオン)離鍵(トリガーオフ)でコントロールできます。

 ステップシーケンサーの実行パターンは、正逆、正逆交互、ランダムがあるのですが、実行回数を指定する事はできません。押鍵中、いわばパターンが繰り返し垂れ流されるわけです。つまり、ステップシーケンサーそのものは周期変化のソースにはなっても径時変化には使えません。

 SE-02にはソングモードがあります。最大16パートで構成され、各々シーケンスを実行する音色、ステップシーケンサーのパターン、そしてその実行回数を設定します。このソングモードを径時変化のソースに使う事ができます。ソングは16記憶できます。

 ソングモードにもキートリガーモードはあるのですが、大変遺憾ながらRoland K-25mにマウントした時のみです。MIDIを介して外部キーボードの押鍵離鍵をトリガーに充てる事ができるようになれば、あるいは、ステップシーケンサーの実行パターンのところで実行回数を指定できるようになればと思います。

 SE-20はプログラマブルシンセであり、384のメーカープリセット音があり、128のユーザー音色を保存できます。

 SE-02は、操作したパラメーターが表示されます。また、前回保存値と見比べる事もできます。コンプボタンで現在値と保存値の表示を切り替えます。この切り替えが、発声にも反映されるのか否かはわかりません。

 Roland SYSTEM-500Boutiqueシリーズ、そしてこのSE-02を見て思うのは、ローランドがこういうものを出せるほどに、SH、SYSTEM、JUPITER、JUNO、VP、TRといった、かつてのローランドのアナログ機が、最早はるか遠い所へ行ってしまったのだ、という事です。

 また、コルグが他社機であるARP ODYSSEYを復刻するにあたって、シンセサイザー黎明期のモデルであるODYSSEYに対する、そして今は無きアープというシンセメーカーに対する敬意を感じたのですが、私はRoland SE-02から、minimoogやモーグに対する敬意は感じられません。

 Roland SE-02、平成29(2017)年7月28日発売。価格税込64,800円。7月28日に取扱説明書が公開されました。


平成30(2018)年5月7日追記。

 Roland SE-02のシステムがVer.1.10にアップデートされました。主な追加点は、バッチバンクのバンクD、LFOソースのPWMです。


Roland SE-02
https://www.roland.com/jp/products/se-02/

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 平成14(2002)年秋の発売以来、15周年を迎えるアナログモデリングシンセサイザーmicro KORGのカラーバリエーション機、micro KORG PTが発表されました。

 筐体の色はプラチナカラー。左右の化粧板はブラックウッド。仕様はmicro KORG量産機に同じです。

 発売日5月27日。価格は税込37,800円で量産機との価格差はありません。数量限定生産です。


micro KORG PT
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/microkorg/#pt

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 implant4さんで、Roland SH-1を試奏させていただきました。

 既にチェックが終わっていて、いずれimplant4さんの中古機の在庫リストにアップされると思います。

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 今回の試奏させていただいたRoland SH-1は、とてもこれが1970年代後半発売のシンセサイザーとは思えないほどの美品です。筐体に錆が無く、大きな傷も見当たりません。元のオーナーさんが非常に大事に使われた事が推察できます。

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 スライダーの谷底が汚れていたり、左右の布かスポンジのようなものにほころびがあったりという事が無く、あるいはここにメンテナンスの手が入っているのかもしれません。

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 アナログモノフォニックシンセサイザーRoland SH-1は、昭和53(1978)年発売されました。しかしながら、翌54年SH-2と交代する形で製造は終わりました。

 短命だった事に加えて、おそらくオーナーさん達が手放さないためか、SH-1の中古機を見る機会は同年代同価格帯のローランドを含む他の国産シンセサイザーより多いとはいえず、中古機が出るとすぐに消えて無くなってしまい、私は今日までじっくり試奏する機会を得る事ができませんでした。

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 音色設定操作子の合理的なレイアウトといったRoland SHシリーズの魅力に加え、VCOは一つながらサブオシレータがある、片方は簡便なものながらENVが二つある事がSH-1の特長だと思います。この点をもって、私はRoland SHシリーズ中、このSH-1を最も愛しています。

 昭和57(1982)年に音楽之友社で刊行された古山俊一さんの「シンセサイザーここがポイント」では、モノフォニックシンセ、複合キーボードを含むポリフォニックシンセ、そしてシステムシンセという形で、内外各社シンセサイザー現行機を紹介していたのですが、モノフォニックシンセのコーナーの最後に、製造は終わったものの良いシンセとして、mini KORG 700S800DV、Roland SH-5とともに、このSH-1が挙げられていました。

 キーボードマガジン1984年7月号の古今東西のシンセサイザーの特集記事の中でも、このRoland SH-1が採り上げられていたのですが、執筆した方は、SH-1でティンバレス風の音色を作ったりしているとの事でした。ちなみにこの頃、シンセサイザーの中古機にプレミア価格がつくような事は無く、「ビンテージシンセ」等という言葉もありませんでした。

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 リアパネル側。

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 各端子群。

 全く錆びや消耗の類が見られず、あるいは元のオーナーさんが部材の交換をされたのかもしれません。新品同様というか、とにかくピカピカでした。

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 「R Roland」のロゴプレート。

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 フロントパネル側全景。

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 「R Roland SNTHESIZER」のロゴ。

 「SNTHESIZER」の字体は、1980年代初頭のフジテレビ系「オレたちひょうきん族」でYMOの偽者が出演したおり、彼等が演奏(のふりを)した「POLAND」なるメーカーのシンセサイザー(のような姿をした箱)のリアパネルに描かれたロゴと同じです。

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 ベンダーレバー。

 ピッチベンドのレンジが広い。レンジを最大値にして、例えば「ド」を押鍵してベンダーレバーを右/左に倒し切ると、1オクターブ上ないし下の「ド」を超えて「ファ#」になります。

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 鍵盤。

 32鍵。Roland SHシリーズの32鍵機として、SH-09、そしてSH-101が続きます。

 この個体に関して、鍵盤に黄ばみが無く、あるいは元のオーナーさんによって、プラスチックの黄変を解消する処置が施されたのかもしれません。チャタリングも無く、コンディションに問題はありません。

 この時代のシンセサイザーの鍵盤全般にいえるのですが、設計時に静粛性を目指した形跡はありません。かなり「カタカタ」いいます。

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 SH-1のつまみ。

 つまみのトップだけでなく、目盛との接点近くの縁(へり)の部分にも印が入れられています。私のような音色設定に関して神経質な人間にとって、これは大変ありがたい事です。

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 ポルタメントはオン/オフのスイッチは無く、タイム(実際はレイトだと思います)設定つまみのみです。

 PSE騒動の頃、オン/オフが無いつまみのみのシンセの中古機に、つまみを0にしてもポルタメントがかかる個体を幾つか見ました。しかしながら、今回のSH-1のこの個体は、左に振り切った状態できちんとポルタメントをカットできていました。

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 LFO。

 波形はサイン波、矩形波、ランダムで、正逆鋸歯状波はありません。

 ディレイタイムは押鍵してから変調がかかり始めるまでの時間なのですが、アナログなのでディレイタイム実行終了と同時にビブラート(VCO)やグロウル効果(VCF)のデプスの設定値が反映されるのではなく、若干なりとも0から設定値までの時間、つまりフェイドインタイムに類する現象が発生します。

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 VCO。

 ピッチが安定、というか、とにかくきっちりしていました。

 波形は鋸歯状波、矩形波、非対称矩形波(パルス波)。

 パルスウィズはマニュアル及びソースがLFOとENV-1のPWM(パルスウィズモジュレーション)があります。パルス波のパルスウィズを下げ切ると、矩形波を選んだ場合と聴感的に全く同じ矩形波になりました。

 VCOは一つですが、LFO変調のPWM設定時の場合はにじんだ感じ、そして、ENV変調のPWMは弦を撥ねる感じが、各々上手く出ます。

 オートベンド(ピッチENV)は、押鍵したピッチより高い方へベンドする設定のみで、リバース曲線はありません。デプスとはピッチENVのアタックレベルとサスティンレベルの共用値、タイムは押鍵してからピッチが設定したデプスへ達するまでの時間です。

 サブオシレータは、1オクターブ下及び2オクターブ下の矩形波、2オクターブ下のパルス波。これは同い年のRoland SH-09をはじめ、その後のSH-2、SH-101、MC-202、AMDEK改めRoland DG CMU-810に継承されます。

 ノイズジェネレータはホワイト、ピンクを切り替える事ができます。

 VCO、サブオシレータ、ノイズジェネレータ、外部入力のレベルを、各々オーディオミキサーで設定します。

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 恒例の喜多郎mini KORG 700Sリードをシミュレーションするヒントは、パルスウィズを4より下あたりで探す、です。これは、他のアナログRoland SHシリーズ、JUPITER-8、JUPITER-6JP-8000Boutique JP-08と共通しています。

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 VCF。

 ローパスフィルターとハイパスフィルターがあります。

 ハイパスフィルターのカットオフフリケンシーは、例えばRoland JUNO-60、JUNO-106のような4段階設定ではなく、0から最大値を連続的に変化させる事ができます。

 ENV-1は基本的にVCFと接続されています。VCAは、VCFとEMV-1を共用するか、簡便なENV-2かを選びます。

 ENVのアタックタイムやディケイタイムをVCF/VCAで分ける事ができるのは、金管系や撥弦系の音色で威力を発揮します。今回、喜多郎prophet-5ホルンのシミュレーションをしてみたのですが、VCOの波形が鋸歯状波であれPWMであれ、けっこう雰囲気が出ました。

 ENV-1のトリガーモードは、マルチ(キーボードゲート+トリガー)、シングル(キーボードゲート)、LFOです。

 VCFは自己発振する事ができます。キーボードフォローを最大値にすると、きちんとした平均律になりました。

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 VCA。

 ENV-1をVCFと共用するかENV-2を充てるかを選択できます。

 ホールドレベルは、通常0固定のVCA ENVのアタックレベルを設定する事ができます。つまり、ARP ODYSSEYのVCAゲイン、YAMAHA CS-15のVCAイニシャルレベルと同じです。

 ENV-2はアタックタイムとリリースタイムのみ。ディケイタイムは無く、故にアタックレベルとサスティンレベルで最大値を共有しています。

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 Roland SH-1用ハードケース。

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 「R Roland」のロゴが浮き彫りになったプレートがはめ込まれています。凝っています。

 アナログモデリングシンセサイザーRoland AIRA SYSTEM-1SYSTEM-1mSYSTEM-8用に、PLUG-OUT SH-1をとも思ったのですが、SH-101 PLUG-OUTSH-2 PLUG-OUTが、ともにフィルターとアンプでENVを個別に持っている事が判明したので、今はその必要は感じません。

 いっその事、このアナログシンセサイザーRoland SH-1そのものを復刻するというのはいかがでしょうか。

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 implant4さんで、アナログモデリングシンセサイザーRoland AIRA SYSTEM-8を試奏させていただきました。中古機ながら、箱から出したばかりの新品としか思えない美品でした。調整する部分が無いと思われるので、次回の在庫リスト更新時にアップされるかもしれません。

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 平成28(2016)年9月のRoland AIRA SYSTEM-8発表時、Roland AIRA SYSTEM-8が出ますという記事を上げています。

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 筐体は1970年代末のローランドをはじめとする国産アナログシンセの廉価機のようなつや消し黒。つまみやスライダーといった操作子群は、AIRAシリーズの伝統ともいうべき緑色にライトアップされています。

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 これらの操作感は、単に音色設定の操作子ではなく、演奏操作子として奏者の表現に組み込めるものだと思いました。

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 ベンダーレバー、ベンドレンジ及びモジュレーションデプス。

 ベンダーレバーのそばにベンドレンジ及びモジュレーションデプスの各々の専用操作子が設けられているモデルは、久方ぶりと思われます。Roland JUNO-6SH-101の頃、演奏中にベンダーレバーを操作しながら頻繁にこれらの設定を変えていた身には、これもありがたい事だと思います。ベンドレンジのダウン/アップ個別の設定はできません。

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 鍵盤。ベロシティが使えます。アフタータッチはありません。

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 裏に錘(おもり)は貼られていないものの、ローランドらしい剛性がある鍵盤です。Roland FA06と同じもののような気がしました。静粛性についてはわかりませんでした。

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 フロントパネル全景。

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 アルペジエータ、コードメモリー、オクターブトランスポーズ、キートランスポーズ。

 アルペジエータのモードにランダムが無い事、また、押鍵順が反映される機能が無いので、喜多郎さんがRoland JUPITER-4で行っていたフライングジュピターはできません。

 コードメモリーは、1つの鍵盤を押すだけで平行和音演奏できる機能。古くはKORG PolysixMono/Polyの頃からありました。ローランドの場合、αJUNOに搭載されて後、21世紀に入ってからRoland SH-32で復活しました。

 SYSTEM-8のコードメモリーは、Roland Fantom XJUNO-GFAといったローランドワークステーション機と異なり、ベロシティで構成音の発声のタイミングをずらすといった設定はできません。

 コードを押鍵してコードメモリーボタンを押すとコードが記憶されます。ホールドボタンを押して構成音を1音づつ鳴らしてコードを発声させ、その状態でボタンを押して記憶させる事ができるか否かを試し忘れました。先に挙げたコルグのシンセ群のコードメモリーはそれが可能でした。

 キートランスポーズは、アナログシンセ時代に私が使ったJUNO-6、SH-101等は、キートランスポーズボタンを押して目的のキーに該当する鍵盤を押すと移調できたのですが、SYSTEM-8はトランスポーズボタンを押しながらダウン/アップを押して、半音づつ下げ上げして目的の調を設定します。

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 パッチ/パフォーマンスモード、マニュアル、ポルタメント、テンポ。

 パフォーマンスモード時、発声させるパッチ、エディットするパッチを選択します。

 マニュアルボタンは、選択したパッチではなく、操作子群の現状を発声に反映します。

 ポルタメントにはオン/オフボタンは無く、最小値がオフで、0ではなく1からバリューが始まります。オフと0の区別が無いという事です。ポルタメントのカーブのフィーリングは、たいへんありがたい事にアナログシンセ的な非リニア変化です。

 テンポつまみでステップシーケンサー及びアルペジエータのテンポを設定します。またこのテンポは、LFOのレイトと同期させる事ができます。

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 キーアサインモード、SYSTEM-8/PLUG-OUT、ユーティリティ、画面、デジタルアクセスコントロール入力操作子。

 モノボタンを押し送る形でキーアサインモードを設定します。点灯ならモノフォニック、点滅ならユニゾン、消灯でポリフォニックです。モノフォニック時のトリガーモードのシングル/マルチをどこで設定するのか、あるいはどちらかしか無いのかを調べ忘れました。

 SYSTEM-8は本来のシンセエンジンであるSYSTEM-8以外に、PLUG-OUT JUPITER-8、PLUG-OUT JUNO-106が付属します。加えてもう一つPLUG-OUTを持つ事ができます。SYSTEM-8、PLUG-OUT1、2、3ボタンで選択します。

 メニューボタンを押して、矢印ボタンを操作する事でユーティリティを選択します。SYSTEM-8の外部記憶装置であるSDカードドライブの操作等があります。

 SYSTEM-8のシステムがver.1.11になってから、目的のパラメーターの専用操作子を動かしてエンターボタンを押すと、その設定が表示され続け、さらにバリューつまみで1づつ増減する形で、細かくエディットできるようになりました。指定したパラメーターは、次に他のパラメーターの操作子が使われてその内容が表示されても、しばらくすると再びエンターボタンで指定したパラメーターが表示され続けます。解除する場合は、EXITボタンを押します。

 Roland JD-XAと異なりこのver.1.11でも、専用操作子を動かす形でしかパラメーターを指定できないので、動かした時点で前回保存値とは異なる表示がされるわけですが、それでも旧ver.のように、あっという間に設定表示が見えなくなるという事は無くなり、つまみやスライダーという至極大雑把にしか入力できない操作子にイライラしてきた身には大いなる前進です。

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 ステップシーケンサー、音色選択ボタン。

 ステップシーケンサーは押鍵時のみ再生し続けるモードはあるのですが、コルグのアナログモデリングシンセのモードシーケンス機能のように1回だけ実行する事はできないようです。パラメーターの周期変化はともかく、径時変化のソースには使えません。

 A〜H、1〜8のボタンの組み合わせで音色を選択します。またこれらのボタンはシーケンサーのどのステップが実行されているか、データのある無しを、ランプの色で表示します。

 Roland AIRA SYSTEM-8が出ますでも書きましたが、この16個のボタン、カチッと硬く入るというよりは、変な表現ですがぬるっと沈み込む、それでいて、ボタンが押し込まれましたという事を手指にはっきり教えてくれる、という感触でした。好感触だと思いました。

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 LFO。

 波形のバリエーションは3まであります。波形にノイズはありません。

 ピッチ、カットオフ、音量のデプスのつまみには、センター位置(0)にクリック感があります。マイナス値もあるので、LFO波形の鋸歯状波を正逆とも設定できます。

 トリガーENVは、LFOの周期でENVがリトリガーされ続けます。

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 オシレータ1、2、サブオシレータ、ミキサー、ピッチENV。

 オシレータ波形のバリエーションは1、2があります。

 波形を変化させるカラーはマニュアル以外の変調のソースが豊富で、その中にはサブオシレータまであります。ENVをソースにしたPWMで撥弦系の音色を即席で作ったのですが、私がかつてSH-101やJUNO-6で作った、はつらつ感のある撥弦音ができました。

 ただ、このカラーのソースに、ベロシティを加えられないものかとも思いました。

 ピッチENVのデプスは、センター位置(0)にクリック感があります。

 恒例の喜多郎mini KORG 700Sリードを真似るヒントは、波形をパルス波にし、カラーを090あたりで探します。ポルタメントのカーブが非リニア変化である事と併せて、けっこう良い線いきます。パフォーマンスモードで、オートベンド(ピッチENV)の有る無しをロワー/アッパーで作り分けて、どちらかのみを選択する形に設定しておくと、ロワー/アッパーボタンがオートベンドのオン/オフボタンになります。

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 フィルター。

 バリエーション1、2に加え、システムver.1.11から、バリエーション3としてRoland AIRA SYSTEM-1のローパスフィルターが加わりました。

 ベロシティでENVデプスをコントロールする事ができます。逆にいうとフィルターにおけるベロシティのディスティネーションはこれだけです。

 キーボードフォローはマイナス値も設定できます。弾く鍵盤の高低によるカットオフの傾斜を、右肩上がりにも下がりにも設定できるという事です。

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 アンプ。

 ベロシティで音量をコントロールできます。

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 内蔵エフェクター。

 ディレイ系、リバーブ系と、空間系エフェクターを2種併せて使う事ができます。デジタルエフェクターの黎明期からローランド/ボス(BOSS)の空間系エフェクターが好きな身には、音声入力ができるローランドのシンセサイザーを、エフェクターとしても見てしまいます。ちなみに私が初めて手にしたエフェクターはBOSS DD-2(デジタルディレイ)でした。

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 SYSTEM-8のPLUG-OUTは、当初からPLUG-OUT JUPITER-8、PLUG-OUT JUNO-106の付属がアナウンスされていたのですが、PLUG-OUT JUNO-106はシステム1.11で入りました。

 今回の試奏でPLUG-OUT JUNO-106を鳴らす事は無く、またPLUG-OUT JUPITER-8もプリセット音を聴くのみで、音色をエディットする事はありませんでした。SYSTEM-8のPLUG-OUTに関して、機会を改めて触れたいと思います。

 PLUG-OUT JUPITER-8のプリセット音の中の、ネーミングに関しておそらくギリシャ神話のサイレンの魔女の唄声にちなんだと思われる「Siren's Chant」は、冨田勲さんがmoog III pで作った女声にそっくりでした。

 また、SYSTEM-8のプリセット音「Whistling Ld」は、同じく冨田勲さんのmoog III pのあの軽快な口笛に似ていました。

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 Roland AIRA SYSTEM-8の独特の機能があるとしたら、経年変化をシミュレーションできるコンディションという機能くらいだと思うのですが、全く意義を感じないので、今回、試す事はありませんでした。

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 各設定に関して、前回保存値を何らかの形で見る事ができれば、エディットの効率は上がるような気がします。ver.1.11で、パラメーターを指定して表示を持続し、バリューつまみで入力できる事になったのと同様、システムのアップデートで何とかできないものでしょうか。

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 AIRA SYSTEM-8は、Roland SHやJUPITERといったローランドアナログシンセの姿やパラメーター構成を軸に、至極堅実にデザインされた印象があります。誰か特定の奏者やマニピュレータの個性を濃厚に反映する事が無い代わりに、使う人がそこはかとなく自分を込める事ができるシンセサイザーのような気がします。

 アナログシンセ時代、Roland SH-101やJUNO-6では届かなかった部分、詰める事ができなかった部分に、それらと同じくつまみやスライダーを動かすという形でマニピュレーションを加えられ、さらに最終的に数値を1づつ増減できる事に、まことに捗々しい操作感を味わう事ができました。

 昔を懐かしむというより、加齢を意識せざるをえない身には、Roland AIRA SYSTEM-8のこのマン/マシンインターフェイスは、その事情に即した実に良い在りようです。

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Roland AIRA SYSTEM-8
https://www.roland.com/jp/products/system-8/

待望のJUNO-106 PLUG OUT、ついに現る!SYSTEM-8 Ver.1.11公開
(ローランドサイトブログより)
http://blog.roland.jp/info/system8_1_11/


平成30年7月2日追記。

 Roland AIRA SYSTEM-8のシステムが、Ver.1.20にアップデートされています。

 オシレータに2種のFM、フィルターに5種のバリエーション、ステップシーケンサーにオーバーダビングモードが追加されました。



平成30年8月8日追記。

 Roland AIRA SYSTEM-8のシステムが、Ver.1.30にアップデートされています。JX-3P PLUG-OUTが加わりました。

 国産初のMIDI対応シンセサイザーJX-3PのACB化は、既にBoutique JX-03で行われましたが、SYSTEM-8のJX-3P PLUG-OUTに関して、SYSTEM-8のユーザーは無料で手にする事ができます。

 JX-3PオリジナルモデルはENVが1系統しかありませんでしたが、JX-3P PLUG-OUTは2系統あります。

https://www.roland.com/jp/support/by_product/system-8/updates_drivers/4cf1372c-d315-4449-ba69-3663bbc00069/

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