平成28(2016)年9月10日、ローランドは、アナログモデリングシンセサイザーRoland AIRA SYSTEM-8を発表しました。

 一見して、Roland AIRA SYSTEM-1の姿やパラメーター構成がベースになっていると思うのですが、ここではSYSTEM-8になって変わった点を中心に書きたいと思います。

 鍵盤数が49になっていて、ベロシティがあります。ただし、そのディスティネーションは、カットオフフリケンシーの開き具合と音量だけです。また、ベロシティオフボタンで設定を無効化する事もできます。

 コントローラーがローランドの伝統的なベンダーレバーになっています。ピッチやカットオフのベンドのレンジやモジュレーションの感度をベンダーレバーの近くで設定できます。残念ながらRoland GAIA SH-01JD-XiJD-XAとは異なり、SYSTEM-1と同じくSYSTEM-8もピッチベンドレンジをダウン/アップ個別に設定する事はできません。

 フロントパネル中央近くに画面があり、その左横にシフトキーとメニューボタン、右側にバリューつまみ、カーソルボタン、確定ボタンが配されています。おそらく、音色設定操作子を動かすとバリューの変化が表示されると思います。

 64ステップのシーケンサーがあります。打ち込み方はステップだけでなく、リアルタイムも可能です。SYSTEM-8のこの内蔵シーケンサーの操作子に関して、ふとRoland SH-101のそれを思い出しました。

 アルペジエータ、コードメモリーがあります。

 MIDI IN OUT、USB Type Bに加えて、ミニタイプのCV OUT、GATE OUTがあります。もちろん、OCT/Vです。Roland SYSTEM-500等に使えると思います。

 シンセサイザーエンジン部分のSYSTEM-1からの変更点を見ていきたいと思います。

 LFOは、波形にバリエーション1〜3まであり、1にはSYSTEM-1と同じもの、2と3には各々6タイプがあります。

 オシレータ1、2の波形にもバリエーションが加わっています。バリエーション1でSYSTEM-1と同じ波形、2にはシステムのバージョンアップ時に加わった六つの波形があります。SYSTEM-1、SYSTEM-1mの場合、この六つの波形はレガートボタン+ 波形つまみで選択します。

 ローランドの現行機のSuperNATURALシンセトーン、アナログシンセのPWMのソースが、LFOしかない中にあって、SYSTEM-1はカラーのソースという形で豊富にあります。アナログシンセ時代、私は撥弦系の音にENV変調のPWMを使ったのですが、SYSTEM-8で発声数が8になった事はさらにありがたい。

 話が逸れるのですが、SYSTEM-1、SYSTEM-1m、そしてこのSYSTEM-8のバリエーション1にある三角波2が、GAIA SH-01やSuperNATURALシンセトーンの三角波B、ローランドのPCMのオシレータ波形700トライアングルと同一のものなのかをいつも確認し忘れてしまいます。これらはmini KORG 700、700Sの三角波を模したものと思われるのですが、いずれSYSTEM-8試奏の折に確認したいと思います。

 SYSTEM-8で新たに加わったオシレータ3/サブオシレータは、単に1、2オクターブ下の音を加えるだけでなく、波形をサイン波/三角波から選べます。また、オシレータ1、2同様カラーで波形を変調できます。ただしソースに関するパラメーターが無い事からマニュアル変調のみと思われます。

 オシレータミキサーがオシレータ間の割合では無く各々のレベルを設定する事から、SYSTEM-1同様、フィルターが自己発振するものと思われます。

 フィルターにもバリエーションがあり、1にはこれまでのフィルタータイプが、そして2は新たの6種のタイプが選べます。

 古くはRoland JUPITER-8、その後、SH-201を経て、最近ではBoutique JP-08にまで続くアッパー/ロワーが、パフォーマンスモード時のSYSTEM-8にもあります。エディットや発声をそろってするか否かを選べます。例えばオートベンドの有る無しを設定して、演奏時にオン/オフの代わりに使うといった事ができます。アッパー/ロワーがある事は、次に記すPLUG-OUTにJUPITER-8がある事も関わっていると思います。

 AIRA SYSTEM-1の特徴として、パソコンを通じて専用のソフトシンセを持ってくるPLUG-OUTがありますが、SYSTEM-8はこれが3種入るようになっています。付属としてJUPITER-8、JUNO-106モデルが用意されます。

 一見、姿もパラメータ構成も似たSYSTEM-1とSYSTEM-8が、奏者やマニピュレータが見えない世界では、かなり異質の存在である可能性があります。あるいはそれは、試奏すればわかる事なのかもしれません。

 かつてRoland AIRA SYSTEM-1が発表された時、特にキーボーディスト諸賢の中に、今回のSYSTEM-8のような姿のシンセを脳裏に描き、その登場を希求した向きも多いのではないでしょうか。キーボーディスト諸賢ではない私もその一人です。弾く人にとってSYSTEM-1は本来かくあれかしと考えたそのままが、SYSTEM-8として具現化した感があります。

 Roland AIRA SYSTEM-8の価格は159,840円(税込)、発売日は平成28(2016)年9月23日です。

 Roland AIRA SYSTEM-8試奏記に続きます。


Roland AIRA SYSTEM-8
https://www.roland.com/jp/products/system-8/

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 平成28(2016)年9月10日、ローランドは、デジタルボコーダーRoland Boutique VP-03を発表しました。

 ボコーダーの名機中の名機ともいべきRoland VP-330 Vocoder Plusを、ACBで再現したモデルです。

 VP-330同様、ボコーダー部、ヒューマンボイス部、ストリングス部で構成されています。

 3セクションともパラメーター構成に関してVP-330を踏襲しているのですが、アッパー/ロワーという考え方は無いようです。

 3セクションで共用するビブラートの周期変化及び周期変化の径時変化のソースとして、レイト、ディレイタイム、デプスがあります。

 径時変化のソースとして、3セクションでリリースタイムを共用し、ヒューマンボイスとストリングスに各々アタックタイムがあります。

 VP-330はたしかパラフォニックだったのですが、VP-03がそれを踏襲しているか否かわかりません。周期変化及び径時変化のソースが発声数分あるとありがたいのですけどね。理由はアナログポリシンセのLFOをつぶやくに書きました。

 ボコーダーとヒューマンボイス用の内蔵エフェクターとして、アンサンブルがあります。

 以上は、概ねVP-330と共通している部分です。

 Roland Boutique VP-03の大まかな姿は、これまでのBoutique(JP-08JX-03JU-06)に連なるものですが、ボコーダーらしく着脱式のグースネックマイクが付属します。

 VP-03の操作子の形状は、メモリーボタンや自照型スライダーは、これまでのBoutiqueのものを踏襲しているのですが、ボコーダー、ヒューマンボイス、ストリングスの各セクションにあるボタンは、VP-330の後期型を模した感じがします。

 16ステップのシーケンサーとコードメモリーがあります。組み合わせると面白いと思います。

 Roland VP-330 Vocoder Plusは、1980年代初頭、後にニューエイジと銘打たれる音楽の演奏家から多用されました。

 私はVP-330が現行機として音が出せる状態で楽器店に展示されていた頃、喜多郎さんの「夜明け」(アルバム「絲綢之路II」)の「ハァーアーアーアー、シャンラァ〜イズッ」や、姫神せんせいしょんの「赤い櫛」アルバム「遠野」より)の「シャーッシャッシャーッ…」のフレーズを弾き唄いました。ボコーダーは発声者の音程は関係無いのですけど、いつも、つい唄ってしまいました。

 喜多郎さんの「天地創造神」アルバム「絲綢之路」より)や「時空間」(「絲綢之路II」より)は、VP-330のヒューマンボイスが曲の肝の部分を担っています。多重録音の方法を一考しているのか、輪郭がぼんやりしているのにアンサンブル感が他の演奏家より増していて、独特の夢幻感を醸し出しています。

 姫神せんせいしょんのアルバム「奥の細道」の収録曲の多くで、フェイズシフターがかけられたVP-330のヒューマンボイスが使われた事を、うねりを帯びた男声風パッド音 Roland VP-330に書きました。

 ヴァンゲリスさんの音楽を聴かない人でも、平成26(2014)年11月、高倉健さん逝去のおり、その追悼としてテレビ放映された「南極物語」で、VP-330のヒューマンボイスが多用されていた事を知った人は多いと思います。

 Roland VP-330 Vocoder Plus、というかボコーダーは、マニピュレーションという点において、奏者やマニピュレータの個性を汲むという類の電子楽器ではないと思います。しかしながら、ステレオ音場の両端で、あるいは奥の方で、これが鳴ると、音楽に深遠さが加味されるような気がします。

 数多のシンセサイザーメーカーが、シンセサイザーにその1機能としてボコーダーを搭載する事は珍しくないのですが、結局のところ、多くの人がVP-330を礼賛し、それに対する回答として、ボコーダー単体機としてのVP-03が現れた感があります。

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 Roland Boutique VP-03の価格は45,000円(税別)。発売日は平成28(2016)年9月23日。


平成28(2016)年11月30日追記。

 本文中に、2016楽器フェアで撮った画像を追加しました。


Roland Boutique VP-03
https://www.roland.com/jp/products/vp-03/

Roland Boutique
https://www.roland.com/jp/promos/roland_boutique/

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 平成28(2016)年9月1日、コルグは卓上設置型のアナログシンセサイザーモジュール、ARP ODYSSEY Moduleを発表しました。

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 ARP ODYSSEY Moduleの姿は、鍵盤が無い事以外はARP ODYSSEY復刻機(ARP ODYSSEYが復刻されるそうですARP ODYSSEY、復刻成るARP ODYSSEY試奏記1ARP ODYSSEY試奏記2参照)とほとんど変わらず、三つの白いプロポーショナルピッチコントロールも継承しています。

 ODYSSEY ModuleとODYSSEYの関係は、nord lead 4Rとnord lead 4、nord lead A1Rとnord lead A1に似ているといえるかもしれません。

 ODYSSEY ModuleとODYSSEYの仕様上の相違点は、MIDIに関して、ノートデータ以外にピッチベンドも受信できます。プロポーショナルピッチコントローラーが苦手、あるいは、コルグのジョイスティックやローランドのベンダーレバー、各社のホイールが使いたい向きには、朗報だと思います。ODYSSEY Moduleに関して、私はこの点が最も気に入りました。

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 ARP ODYSSEY復刻機では、rev.3の姿を継承したモデルを通常色機、rev.1、2を限定生産のカラーバリエーション機としました。しかしながら、ODYSSEY Moduleは、rev.1、3のモデルが通常色機として販売されます。rev.2はありません。

 ODYSSEY Module Rev1とRev3は、カラーリングやスライダーの形状は異なっていますが、三つの型のVCF等、復刻機で新たに加えられた機能を継承しています。

 なお、ARP ODYSSEY復刻機のようなセミハードケースの付属はありません。

 ARP ODYSSEY Moduleの発売は来る10月下旬予定、価格は分かりません。既に取扱説明書を読む事ができます。


平成28(2016)年9月8日追記。

 ARP ODYSSEY Module、発売日は平成28(2016)年10月23日、価格は税込59,400円です。


平成28(2016)年11月7日追記。

 11月4日から6日まで東京ビッグサイトで催された2016楽器フェアで撮影した、ARP ODYSSEY Module Rev.1の画像を載せました。


ARP ODYSSEY Module
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/arpodyssey_module/

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 平成28(2016)年9月1日、コルグはアナログモデリングシンセサイザーmicroKORG Sを発表しました。

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 microKORG Sは、基本的なフォルムや仕様を、初代micro KORGから継承しています。

 しかしながら、筐体を優しい白をベースにし、今までなら、例えばKORG RADIASminilogue等がそうであったようにコントラストをつけるべく黒くしたであろうつまみやホイールも、同じ色に統一しています。

 側面の化粧板は、これまでのmicro KORGがローズウッドだったのですが、microKORG Sは明るい色のメープル素材です。

 音色の選択はこれまでのmicro KORGが、プログラムセレクトの八つの項目を選択し、バンクサイドA/Bを指定し、1~8のプログラムボタンを押すという形だったのですが、microKORG SはバンクサイドA、Bに、新規プログラム64種を追加したC、ユーザーエリア、すなわちイニシャル状態64のDが加わりました。バンクサイドDは、特にプリセット音を上書きせず残しておきたい向きには朗報だと思います。もちろんこれまで同様、サイドA、B、Cもユーザーのオリジナル音色を上書きできると思います。

 また、いわゆるお気に入りの音色8種を登録する、フェイバリットセレクト機能も加わっています。登録は目的のプログラムナンバーボタンを長く押し続けるだけです。登録した音色の呼び出しは、バンクサイドボタンを長めに押し続けると、バンクサイドボタンがオレンジ色に点滅し始め、プログラムセレクトボタンが八つとも点灯します。その中から目的の音色を選びます。

 microKORG Sには、ステレオ + ウーハーのスピーカーが内蔵されています。YAMAHA reface CSを内蔵スピーカーで試奏した時、音量を上げていくと筐体が軋みだして感動したのですが、microKORG Sでもその感覚を味わえるかもしれません。

 もう一つ、micro KORGとの相違点があります。ロゴに関して、micro KORGは「micro」と「KORG」の間に小さなブランクがあるのですが、microKORG Sは詰まっています。

 足す所も引く所も無いと思っていたmicro KORGに、コルグさんがそこはかとなく具を加えてくれた事が嬉しい。これまで、micro KORG-BKBK、BKRD、micro KORG GDと来ましたが、誘惑に負けず我慢してきた甲斐がありました。

 microKORG S、来る9月下旬発売予定、価格はわかりません。既に取扱説明書を読む事ができます。


平成28(2016)年9月8日追記。

 microKORG S、発売日は平成28(2016)年9月25日、価格は48,000円(税別)です。


平成28(2016)年9月26日追記。

 わずかな時間ですが、microKORG Sに触れる事ができました。

 micro KORGの真横での展示だったので、両機を見比べる事ができました。若干の性能差や価格差を度外視するにしても、どちらかを選ぶという局面があるならば本当に迷いますね、どちらも素晴らしいので。しかしながら私はmicro KORG GDが良いかな。

 内蔵スピーカーでの試奏だったのですが、静かとはいえない楽器店の店先で十分音を聴く事ができました。また、特に低音を出した時の筐体の軋みは心地よいのですが、日本の住宅事情を考えると、どこでも行って良いという事でもないと思います。しかしながら、初代からの電池駆動に加え、スピーカーを内蔵した事で、忘年会やお花見といった日本的な催しに、micro KORGという素晴らしいシンセサイザーを携えて行けるようになりました。

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 既にフライヤーが頒布されていました。


平成28(2016)年11月27日追記。

 記事冒頭に、2016楽器フェアで撮った画像を載せました。


microKORG S
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/microkorg_s/

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 implant4さんで、アナログモデリングシンセサイザーRoland Boutique JU-06を試奏させていただきました。新品としか思えない美品でした。次回の在庫リスト更新でアップされると思います。

 ちなみに平成28(2016)年8月26日の時点で、implant4さんの店内にはBoutique3機種全てが箱付きの状態でありました。

 JU-06は他のRoland Boutique同様、既に製造終了が伝えられているのですが、平成28年8月26日の時点で、国内の複数軒の楽器店さんで新品購入が可能です。

 Roland Boutiqueシリーズは、Roland Boutique JP-08、JX-03、JU-06が出ますRoland Boutique JP-08試奏記Roland Boutique JX-03試奏記で採り上げています。

 JU-06の元になったアナログシンセサイザーRoland JUNO-106について、Roland Boutique JP-08、JX-03、JU-06が出ますで少し触れています。

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 フロントパネルを見ていきます。

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 横一列に並んだ音色設定操作子のスライダーは、JP-08同様自照式です。JUNO-106と比べると、演奏操作子として使うにはやや小さすぎですが、細かい設定にこだわる、演奏時に鍵盤やコントローラー、アサイナブルボタン以外にはめったに触れないという、要するに私のような人間にとって、必ずしも悪くない形状です。

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 電源を投入するとマニュアルボタンが点灯し、現在の音色設定操作子の状態の音色が、発声に反映されます。

 バンクボタン1~8とパッチナンバーボタン1~8の組み合わせで、記憶されている音色設定を呼び出すのですが、バンクボタン、パッチナンバーボタンとも、押し込まれたボタンがニュートラル位置に戻った時点、つまり、指がボタンから離れた状態になって初めて選択が確定されます。

 記憶された音色が呼び出された時点で、マニュアルボタンのランプが消えます。

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 Roland Boutiqueシリーズの演奏性やルックスに興趣を添えているリボンコントローラー。

 左側のリボンコントローラーC1がピッチベンドを、C2がモジュレーションをコントロールする事、指が触れる位置に右横のランプが追従する事等、他のBoutiqueと同じです。

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 LFO。

 レイトとディレイタイムのみで、波形の選択はできません。

 ディレイタイムは額面どおり、押鍵からモジュレーションが実行され始めるまで時間を設定します。ただ、ディレイタイム実行後、設定したモジュレーションデプスに達するまでに、若干のフェイドインタイムが既定値として入っていると思われます。唐突感を無くし、モジュレーションを有機的なものにしています。

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 オシレータ。

 波形は矩形波を含むパルス波と鋸歯状波。オン/オフが設定できる、つまりオシレータを無効化できるという事で、フィルターの自己発振が可能という事になります。

 パルスウィズモジュレーションのソースはLFOだけです。私としてはJUNO-106ではなく、Roland JUNO-6、JUNO-60のPWMのようにENVも加えていただきたかったところです。

 ただ、このLFO変調によるPWMと有名なJUNOコーラスの組み合わせが、アナログJUNOシリーズやBoutique JU-06の大きな魅力だと思います。

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 フィルター。

 ハイパスフィルターのカットオフフリケンシーは、JUNO-106、JUNO-60では4段階でしか設定出来なかったのですが、JU-06はJUNO-6同様、0~最大値までをスライダーで連続的に設定できます。

 ローパスフィルターは、自己発振させてサイン波を得る事ができます。キーボードフォローを最大値にすると、スケールが平均律になります。デジタル故か、きっちり平均律になりました。

 フィルターを自己発振させ、鉄琴かオルゴールを柔らかくしたような音にディレイビブラート(この場合、フィルターモジュレーション)がかかった音色を作り、喜多郎さんの「菩提樹」(アルバム「天竺」より)のオスティナートを弾いたのですが、雰囲気がよく出ました。

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 アンプ、ENV。

 ENVは、ローパスフィルター、アンプでのみ共用されています。オートベンドやモジュレーションの径時変化等のソースにはなりません。

 アナログJUNOシリーズは、アナログシンセにしてはENVが素直に変化してくれたのですが、もちろんJU-06はその事を継承しています。

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 内蔵エフェクターは、コーラス1、2、デジタルディレイがあります。

 JUNOコーラスとして知られる二つのコーラスは、JUNO-106の場合、どちらか一つしか使えなかったのですが、JU-06はJUNO-6、JUNO-60同様併用する事ができます。効果の風合いにアナログJUNOとの違和感がなく、音声のステレオ出力が活きます。かつてimplant4さんでJUNO-6を試奏させていただいた時と同様、しばし、あの頃に浸らせていただきました。

 また、マニュアルボタン + 12でコーラスエフェクトに混ざるノイズを選択することができます。1がオフ、2がハーフ、3がオリジナル。

 ディレイはJUNO-106には無かった機能。JX-03同様、マニュアルボタン + 14で元音とディレイ音のバランス、マニュアルボタン + 15でディレイタイム、マニュアルボタン + 16でフィードバック数を選択します。これらパラメーターを選択した後、マニュアルボタンを押したまま1~16ボタンを選択する事でバリューを入力(選択)します。16段階の設定という事です。

 コーラス2ボタンは、リボンコントローラーC1、C2と併用する形で、ポルタメントの設定に使います。コーラスボタンを押しながらC1の上方に触れるとオン、下方はオフ、C2でポルタメントタイムを設定します。

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 ポルタメントがどういう状態であるかを視認するには、コーラス2ボタンを押しっぱなしにします。リボンコントローラーC1のライトが灯っていればポルタメントがオン状態である事を、C2のライトの長さはポルタメントタイムを示します。

 ポルタメントのカーブは非リニア変化でした。Roland Boutique JX-03試奏記でも触れましたが、Boutique JX-03、JU-06は、非リニア変化のポリフォニックポルタメントがかけられるモデルとしては、シンセサイザーの歴史上、最も安価である可能性があります。

 また、コーラス2ボタンを押しっぱなしにした状態の時、キーアサインモードの、ソロ、ユニゾン、ポリフォニックのうち、選択されているボタンのライトが灯ります。

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 リアパネル側。

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 Micro USB、ヘッドフォン、音声出力、音声入力、の諸端子群及びマスターボリューム。

 USBはMIDIだけでなく音声も扱う事ができます。音声出力はステレオ。音声出力、ヘッドフォン端子ともミニプラグです。音声入力はここから入れた音声信号をJU-06で加工するといったものではなく、音声出力やヘッドフォン端子から出力されます。

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 MIDI OUT、IN端子、「RRoland」のロゴ。

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 他のBoutiqueよりパラメーター構成が簡便であるという事で、アナログJUNOシリーズ同様、マニピュレーション上で誰かの個性を汲んでくれるという可能性は低いシンセサイザーだと思います。しかしながら、ステレオ音場の端で、あるいはMIDIを介して他のシンセと組み合わせて一つの音色を作ったりと、隠し味に使うと映えるモデルのような気がします。

 Boutique3機種全てに思うのですが、サイズも形状も大きく異なる故に、元になったシンセサイザー達との操作感の違いは如何ともし難いのですが、出音に関して、似ているか否かでいえば、かなり良い線をいっているのではないでしょうか。無論、似ている事が全てではありませんけど。

 設定が簡便な音色をわざわざワークステーション機でマニピュレーションするくらいなら、JU-06で行った方が事は速く済む、ポリフォニックポルタメントを非リニア変化でかけられる、筐体が小型であり邪魔にならない、そして、価格が安い事を以って、JX-03と併せて導入を検討してみようかなとふと思いました。


Roland Boutique JU-06
https://www.roland.com/jp/products/ju-06/

Roland Boutique
https://www.roland.com/jp/promos/roland_boutique/

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 implant4さんで、アナログモデリングシンセサイザーRoland Boutique JX-03を試奏させていただきました。

 既にimplant4さんの在庫リストに載っています。発売から日が経っていない事もあり、美品でした。

 Boutiqueシリーズに関して、Roland Boutique JP-08、JX-03、JU-03が出ますRoland Boutique JP-08試奏記Roland Boutique JU-03試奏記で採り上げています。

 新発売時のアナウンスにもあったとおり、Boutiqueシリーズは数量限定生産であり、既に製造は終了しています。しかしながら平成28(2016)年8月22日現在、少なくとも国内のいくつかの楽器店さんで、Boutiqueシリーズ3機種の新品購入が可能です。

 Roland Boutique JX-03をについて記していきます。Boutique JX-03の元になったアナログシンセサイザーRoland JX-3Pに関して、Roland Boutique JP-08、JX-03、JU-03が出ますで少し触れています。

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 JX-03フロントパネル全景。

 二つのリボンコントローラー、JX-3PというよりPG-200を彷彿とさせる音色設定操作子群、横一列に並んだボタン群から成っています。

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 JP-08がENVが二つある等パラメーターが多い事と、元になったアナログシンセRoland JUPITER-8がそうであった事を以って、音色設定操作子にスライダーが採られています。その小ささ故に、演奏中、頻繁に音色設定操作子に触れる向きには、やや操作がしづらいかもしれませんが、JX-06のツマミは比較的その事に耐えうるのではないかと思います。

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 リボンコントローラー。

 左のリボンコントローラーC1はピッチベンド、右のC2はモジュレーションの操作子です。

 演奏操作子だけでなく、他のボタンとの組み合わせで音色設定操作子にもなります。

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 二つのオシレータ。

 JX-3Pのものに、サイン波、三角波、そして、オシレータ1にはピンクノイズ、オシレータ2にホワイトノイズが加わっています。JX-03のフィルターは自己発振しないので、サイン波はオシレータのものを使う事になります。

 通常、二つのオシレータのオクターブやチューニング、波形を完全に同一にした場合、干渉し合う現象が出るのですが、JX-03はやや音量が大きくなる以外、単に一つのオシレータが発声しているような状態になります。クロスモジュレーションのシンクロがオフの状態であってもです。

 二つのオシレータ個別に、LFO、ENVをかけるか否かのを設定できます。特にクロスモジュレーションの設定をより複雑にする事ができます。

 クロスモジュレーションの効果の種類が、シンクロ、メタルとも二つに増え、さらにリングモジュレーションが加わっています。JX-3PからJX-03への最大の変更点だと思います。オシレータ波形の増装と併せて、クロスモジュレーションの可能性が広がったと思います。

 JX-3PはDCOのシンセサイザーとしては、初めてクロスモジュレーションを搭載したアナログシンセであり、当時、他機種とは異なる安定感のあるクリアな金属的な音を出せたので、楽器店で触れるおり、それっぽい音ばかり作っていました。今回、試奏しているうちにその頃作った音の事が思い出されたのですが、違和感なく再現できました。そういえば、Roland JX-3Pが現行機だった頃、楽器店の店先にあった展示機には、たいていPG-200が装着されていました。

 JX-3PはDCO2にのみパルスウィズを設定する事ができました。ソースミックスをDCO2側に振り切る、つまりDCO2のみ聴こえるようにし、クロスモジュレーションをシンクロ、チューンつまみでデューティー比を決める、という流れなのですが、JX-03の取扱説明書にはその記述がありません。この方法が使えるか否か試す事を忘れました。

 ビブラート及びENVのデプスは二つのオシレータで共用します。ENVはリバース曲線をかける事もできます。

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 フィルター。

 JX-3Pに倣って「VCF」と表記されていますが、無論フィルターはデジタルです。

 オシレータ1と2のバランスはこのセクションのソースミックスで決めます。双方のレベルを個別で設定できないシンセの常として、JX-03のフィルターは自己発振しません。

 ENVデプスはリバース曲線をかける事ができます。

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 JX-3P(というよりPG-200)、JX-03は、ローランドのアナログ、アナログモデリングシンセでは珍しく、周期変化、径時変化のセクションが隣り合って配されています。 

 LFOの波形に関して、JX-3Pのものに加え、正逆鋸歯状波、ノイズがあります。

 最近のアナログ及びアナログモデリングシンセでは珍しいのですが、フェイドインタイムではなくディレイタイムがあります。しかしながら取扱説明書の記述を読むと、これがフェイドインタイムのように書かれています。今回試したところ、やはり押鍵から効果が始まるまでの時間、ディレイタイムの設定でした。ちなみにJX-3Pの取扱説明書にはそう書かれています。

 私としてはここにあるパラメーターはフェイドインタイムよりディレイタイムの方がありがたい。押鍵から一定時間モジュレーションがかからない期間が必要だからです。ここも、私がRoland Boutique JX-03の仕様を買っている理由の一つです。

 アナログシンセのモジュレーションに関して、ディレイタイム実行終了と同時に設定されたモジュレーションデプスがかかるのではなく、若干のフェイドインタイムに類する効果がありました。理由は、アナログシンセの構成が、仮にソース側がデジタルであってもディスティネーション側が電圧制御故に、効果が必ず0から始まるだからと思われます。もちろんその時間を、奏者やマニピュレータの意図を呈する形で設定する事はできません。ワークステーション機の場合、ディレイタイムのみを設定しフェイドインタイムを0にすると、変調の効果に唐突感が出てしまいます。

 ちなみにBoutique JP-08のLFOのディレイタイムは完全なフェイドインタイムでした。

 LFOが発声数分、つまり4つあるか否かの調査を忘れました。ディレイタイムを設定して、1声づつ全4声押鍵していった時、押鍵の都度リトリガーされるのであれば一つしか載っていないという事になります。多くのアナログポリフォニックシンセがこれにあたるという事を、アナログポリシンセのLFOをつぶやくで記しました。

 ENVは一つ。オシレータ、フィルター、アンプで、この一つのENVを共用しています。


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 音色設定操作子群の下に、A~Cのバンクボタンと、1~16のパッチボタン、コーラスボタン、マニュアルボタンが、横1列に並んでいます。音色のの呼び出し以外に、これらのボタン群の組み合わせで様々な設定をします。

 JX-3Pのフロントパネル奏者寄りの部分に、これらに相当する金属製のボタン群が並んでいたのですが、それらが錆びた中古機を割と早い段階(20世紀末)でよく見かけました。

 ポルタメントのオン/オフを、コーラスボタン + リボンコントローラーC1で行います。JX-03のトグルスイッチのことごとくが、上げるとオン、下げるとオフなのと同様、C1の上の方を触れるとオン、下の方だとオフになります。

 ポルタメントタイムはコーラスボタン + リボンコントローラーC2で入力します。C2の上の方を突くほど長くなります。スライダーを上げ下げする要領でC2を上下にドラッグする事で、ポルタメントタイムをリアルタイムに変更する事ができます。

 JX-03のポルタメントのカーブは非リニア変化です。昨今はアナログシンセKORG minilogueSEQUENTIAL prophet-6等ですらリニア変化。VCOでのリニア変化はそれはそれで画期的な事なのかもしれませんが、ワークステーション機をはじめ多くのデジタルシンセがリニア変化である以上、非リニア変化を、できればポリフォニックで欲しいところでした。

 YAMAHA reface CSのポルタメントのカーブは、 かつてのYAMAHA CS-5CS-15等を彷彿とさせる素晴らしいものなのですが、あくまでモノフォニックのポルタメントです。

 Roland Botique JX-03、JU-06は、非リニア変化のポリフォニックポルタメントがかけられるシンセサイザーの歴史上、最も安価な製品である可能性があります。

 内蔵エフェクターには、コーラス、そして、JX-3Pには無かったデジタルディレイがあります。

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 コーラスはコーラスボタンでオン/オフするのみですが、マニュアルボタン + 12でコーラスエフェクトに混ざるノイズを選択することができます。1がオフ、2がハーフ、3がオリジナル。

 ディレイは、マニュアルボタン + 14で元音とディレイ音のバランス、マニュアルボタン + 15でディレイタイム、マニュアルボタン + 16でフィードバック数を選択します。これらパラメーターを選択した後、マニュアルボタンを押したまま1~16ボタンを選択する事でバリューを入力します。16段階の設定という事です。

 16ステップシーケンサーは、試し忘れました。


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 リアパネル側。

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 Micro USB、ヘッドフォン、音声出力、音声入力、の諸端子群及びマスターボリューム。

 USBはMIDIだけでなく音声も扱う事ができます。音声出力はステレオ。音声出力、ヘッドフォン端子ともミニプラグです。音声入力はここから入れた音声信号をJX-03で加工するといったものではなく、音声出力やヘッドフォン端子から出力されます。

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 MIDI OUT、IN端子、「RRoland」のロゴ。

 国産MIDIシンセサイザーの歴史が、Roland JX-3PとJUPITER-6から始まった事を考えると、今、こういう形でJX-3Pが復刻された事に感慨深いものがあります。

 発声数が4である事等、Roland AIRA SYSTEM-1に準拠している感があるので、あるいは、Rolnad Boutiqueに関してPLUG-OUT化があるのではないかと思っています。しかしながら、二つのリボンコントローラーや、何より各シンセのパラメーター構成に則った姿をしているBoutiqueは、今、製造を終えるのは惜しい気がするシンセサイザーです。

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 製造が終わった後に、世間から絶大な評価が下されるという体験を、ローランドさんほど味わい続けているシンセサイザーメーカーはないと思うのですけどね。


Roland Boutique JX-03
https://www.roland.com/jp/products/jx-03/

Roland Boutique
https://www.roland.com/jp/promos/roland_boutique/

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