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 implant4さんで、アナログモデリングシンセサイザーRoland AIRA SYSTEM-8を試奏させていただきました。中古機ながら、箱から出したばかりの新品としか思えない美品でした。調整する部分が無いと思われるので、次回の在庫リスト更新時にアップされるかもしれません。

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 平成28(2016)年9月のRoland AIRA SYSTEM-8発表時、Roland AIRA SYSTEM-8が出ますという記事を上げています。

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 筐体は1970年代末のローランドをはじめとする国産アナログシンセの廉価機のようなつや消し黒。つまみやスライダーといった操作子群は、AIRAシリーズの伝統ともいうべき緑色にライトアップされています。

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 これらの操作感は、単に音色設定の操作子ではなく、演奏操作子として奏者の表現に組み込めるものだと思いました。

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 ベンダーレバー、ベンドレンジ及びモジュレーションデプス。

 ベンダーレバーのそばにベンドレンジ及びモジュレーションデプスの各々の専用操作子が設けられているモデルは、久方ぶりと思われます。Roland JUNO-6SH-101の頃、演奏中にベンダーレバーを操作しながら頻繁にこれらの設定を変えていた身には、これもありがたい事だと思います。ベンドレンジのダウン/アップ個別の設定はできません。

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 鍵盤。ベロシティが使えます。アフタータッチはありません。

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 裏に錘(おもり)は貼られていないものの、ローランドらしい剛性がある鍵盤です。静粛性についてはわかりませんでした。

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 フロントパネル全景。

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 アルペジエータ、コードメモリー、オクターブトランスポーズ、キートランスポーズ。

 アルペジエータのモードにランダムが無いので、喜多郎さんがRoland JUPITER-4で行っていたフライングジュピターはできません。

 コードメモリーは、1つの鍵盤を押すだけで平行和音演奏できる機能。古くはKORG PolysixMono/Polyの頃からありました。ローランドの場合、αJUNOに搭載されて後、21世紀に入ってからRoland SH-32で復活しました。

 SYSTEM-8のコードメモリーは、Roland Fantom XJUNO-GFAといったローランドワークステーション機と異なり、ベロシティで構成音の発声のタイミングをずらすといった設定はできません。

 コードを押鍵してコードメモリーボタンを押すとコードが記憶されます。ホールドボタンを押して構成音を1音づつ鳴らしてコードを発声させ、その状態でボタンを押して記憶させる事ができるか否かを試し忘れました。先に挙げたコルグのシンセ群のコードメモリーはそれが可能でした。

 キートランスポーズは、アナログシンセ時代に私が使ったJUNO-6、SH-101等は、キートランスポーズボタンを押して目的のキーに該当する鍵盤を押すと移調できたのですが、SYSTEM-8はトランスポーズボタンを押しながらダウン/アップを押して、半音づつ下げ上げして目的の調を設定します。

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 パッチ/パフォーマンスモード、マニュアル、ポルタメント、テンポ。

 パフォーマンスモード時、発声させるパッチ、エディットするパッチを選択します。

 マニュアルボタンは、選択したパッチではなく、操作子群の現状を発声に反映します。

 ポルタメントにはオン/オフボタンは無く、最小値がオフで、0ではなく1からバリューが始まります。オフと0の区別が無いという事です。ポルタメントのカーブのフィーリングは、たいへんありがたい事にアナログシンセ的な非リニア変化です。

 ポルタメントのレガートボタンをオンにすると、レガート時に各ENVやLFOのフェイドタイムがリトリガーされなくなる、つまりトリガーモードがシングルの状態になります。

 テンポつまみでステップシーケンサー及びアルペジエータのテンポを設定します。またこのテンポは、LFOのレイトと同期させる事ができます。

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 キーアサインモード、SYSTEM-8/PLUG-OUT、ユーティリティ、画面、デジタルアクセスコントロール入力操作子。

 モノボタンを押し送る形でキーアサインモードを設定します。点灯ならモノフォニック、点滅ならユニゾン、消灯でポリフォニックです。

 SYSTEM-8は本来のシンセエンジンであるSYSTEM-8以外に、PLUG-OUT JUPITER-8、PLUG-OUT JUNO-106が付属します。加えてもう一つPLUG-OUTを持つ事ができます。SYSTEM-8、PLUG-OUT1、2、3ボタンで選択します。

 メニューボタンを押して、矢印ボタンを操作する事でユーティリティを選択します。SYSTEM-8の外部記憶装置であるSDカードドライブの操作等があります。

 SYSTEM-8のシステムがver.1.11になってから、目的のパラメーターの専用操作子を動かしてエンターボタンを押すと、その設定が表示され続け、さらにバリューつまみで1づつ増減する形で、細かくエディットできるようになりました。指定したパラメーターは、次に他のパラメーターの操作子が使われてその内容が表示されても、しばらくすると再びエンターボタンで指定したパラメーターが表示され続けます。解除する場合は、EXITボタンを押します。

 Roland JD-XAと異なりこのver.1.11でも、専用操作子を動かす形でしかパラメーターを指定できないので、動かした時点で前回保存値とは異なる表示がされるわけですが、それでも旧ver.のように、あっという間に設定表示が見えなくなるという事は無くなり、つまみやスライダーという至極大雑把にしか入力できない操作子にイライラしてきた身には大いなる前進です。

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 ステップシーケンサー、音色選択ボタン。

 ステップシーケンサーは押鍵時のみ再生し続けるモードはあるのですが、コルグのアナログモデリングシンセのモードシーケンス機能のように1回だけ実行する事はできないようです。パラメーターの周期変化はともかく、径時変化のソースには使えません。

 A〜H、1〜8のボタンの組み合わせで音色を選択します。またこれらのボタンはシーケンサーのどのステップが実行されているか、データのある無しを、ランプの色で表示します。

 Roland AIRA SYSTEM-8が出ますでも書きましたが、この16個のボタン、カチッと硬く入るというよりは、変な表現ですがぬるっと沈み込む、それでいて、ボタンが押し込まれましたという事を手指にはっきり教えてくれる、という感触でした。好感触だと思いました。

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 LFO。

 波形のバリエーションは3まであります。波形にノイズはありません。

 ピッチ、カットオフ、音量のデプスのつまみには、センター位置(0)にクリック感があります。マイナス値もあるので、LFO波形の鋸歯状波を正逆とも設定できます。

 トリガーENVは、LFOの周期でENVがリトリガーされ続けます。

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 オシレータ1、2、サブオシレータ、ミキサー、ピッチENV。

 オシレータ波形のバリエーションは1、2があります。

 波形を変化させるカラーはマニュアル以外の変調のソースが豊富で、その中にはサブオシレータまであります。ENVをソースにしたPWMで撥弦系の音色を即席で作ったのですが、私がかつてSH-101やJUNO-6で作った、はつらつ感のある撥弦音ができました。

 ただ、このカラーのソースに、ベロシティを加えられないものかとも思いました。

 ピッチENVのデプスは、センター位置(0)にクリック感があります。

 恒例の喜多郎miniKORG 700Sリードを真似るヒントは、波形をパルス波にし、カラーを090あたりで探します。ポルタメントのカーブが非リニア変化である事と併せて、けっこう良い線いきます。パフォーマンスモードで、オートベンド(ピッチENV)の有る無しをロワー/アッパーで作り分けて、どちらかのみを選択する形に設定しておくと、ロワー/アッパーボタンがオートベンドのオン/オフボタンになります。

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 フィルター。

 バリエーション1、2に加え、システムver.1.11から、バリエーション3としてRoland AIRA SYSTEM-1のローパスフィルターが加わりました。

 ベロシティでENVデプスをコントロールする事ができます。逆にいうとフィルターにおけるベロシティのディスティネーションはこれだけです。

 キーボードフォローはマイナス値も設定できます。弾く鍵盤の高低によるカットオフの傾斜を、右肩上がりにも下がりにも設定できるという事です。

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 アンプ。

 ベロシティで音量をコントロールできます。

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 内蔵エフェクター。

 ディレイ系、リバーブ系と、空間系エフェクターを2種併せて使う事ができます。デジタルエフェクターの黎明期からローランド/ボス(BOSS)の空間系エフェクターが好きな身には、音声入力ができるローランドのシンセサイザーを、エフェクターとしても見てしまいます。ちなみに私が初めて手にしたエフェクターはBOSS DD-2(デジタルディレイ)でした。

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 SYSTEM-8のPLUG-OUTは、当初からPLUG-OUT JUPITER-8、PLUG-OUT JUNO-106の付属がアナウンスされていたのですが、PLUG-OUT JUNO-106はシステム1.11で入りました。

 今回の試奏でPLUG-OUT JUNO-106を鳴らす事は無く、またPLUG-OUT JUPITER-8もプリセット音を聴くのみで、音色をエディットする事はありませんでした。SYSTEM-8のPLUG-OUTに関して、機会を改めて触れたいと思います。

 PLUG-OUT JUPITER-8のプリセット音の中の、ネーミングに関しておそらくギリシャ神話のサイレンの魔女の唄声にちなんだと思われる「Siren's Chant」は、冨田勲さんがmoog III pで作った女声にそっくりでした。

 また、SYSTEM-8のプリセット音「Whistling Ld」は、同じく冨田勲さんのmoog III pのあの軽快な口笛に似ていました。

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 Roland AIRA SYSTEM-8の独特の機能があるとしたら、経年変化をシミュレーションできるコンディションという機能くらいだと思うのですが、全く意義を感じないので、今回、試す事はありませんでした。

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 各設定に関して、前回保存値を何らかの形で見る事ができれば、エディットの効率は上がるような気がします。ver.1.11で、パラメーターを指定して表示を持続し、バリューつまみで入力できる事になったのと同様、システムのアップデートで何とかできないものでしょうか。

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 AIRA SYSTEM-8は、Roland SHやJUPITERといったローランドアナログシンセの姿やパラメーター構成を軸に、至極堅実にデザインされた印象があります。誰か特定の奏者やマニピュレータの個性を濃厚に反映する事が無い代わりに、使う人がそこはかとなく自分を込める事ができるシンセサイザーのような気がします。

 アナログシンセ時代、Roland SH-101やJUNO-6では届かなかった部分、詰める事ができなかった部分に、それらと同じくつまみやスライダーを動かすという形でマニピュレーションを加えられ、さらに最終的に数値を1づつ増減できる事に、まことに捗々しい操作感を味わう事ができました。

 昔を懐かしむというより、加齢を意識せざるをえない身には、Roland AIRA SYSTEM-8のこのマン/マシンインターフェイスは、その事情に即した実に良い在りようです。

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Roland AIRA SYSTEM-8
https://www.roland.com/jp/products/system-8/

待望のJUNO-106 PLUG OUT、ついに現る!SYSTEM-8 Ver.1.11公開
(ローランドサイトブログより)
http://blog.roland.jp/info/system8_1_11/


平成30年7月2日追記。

 Roland AIRA SYSTEM-8のシステムが、Ver.1.20にアップデートされています。

 オシレータに2種のFM、フィルターに5種のバリエーション、ステップシーケンサーにオーバーダビングモードが追加されました。



平成30年8月8日追記。

 Roland AIRA SYSTEM-8のシステムが、Ver.1.30にアップデートされています。JX-3P PLUG-OUTが加わりました。

 国産初のMIDI対応シンセサイザーJX-3PのACB化は、既にBoutique JX-03で行われましたが、SYSTEM-8のJX-3P PLUG-OUTに関して、SYSTEM-8のユーザーは無料で手にする事ができます。

 JX-3PオリジナルモデルはENVが1系統しかありませんでしたが、JX-3P PLUG-OUTは2系統あります。

https://www.roland.com/jp/support/by_product/system-8/updates_drivers/4cf1372c-d315-4449-ba69-3663bbc00069/

 平成29(2017)年1月12日、ワークステーション機KORG KROME-6173 、88の数量限定カラーバリエーション機、KROME PT、アナログモノフォニックシンセサイザーMS-20 miniのカラーバリエーション機MS-20 mini WMが発表されました。

 KORG KROME PTは、筐体の色が通常色機とは異なる白金色(プラチナカラー)が採られています。筐体のカラーリング以外は通常色機と同じです。この白金色はKORG KROSS-88 PTと同じ色です。

 つまみやボタン、ダイヤル、テンキー、ジョイスティック等の操作子群は黒なのですが、黒鍵も含めて、全て筐体と同じ白金色か、MS-20 mini WMのような白だったらと思います。

 KORG KROME PTの発売日2月11日。税込価格KROME-61 PT 89,640円、KROME-73 PT 109,620円、KROME-88 PT 136,080円。

 KORG MS-20 mini WMは、フロントパネル〜天板〜リアパネルのカラーリングが、ホワイトモノトーン(White Monotone)の限定色機。フロントパネルの操作子群も同系色です。これも仕様は通常色機と同じです。

 KORG MS-20 mini WMの発売日2月11日。税込価格42,800円。


KORG KROME
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/krome/#pt

KORG MS-20 mini WM
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/ms_20mini/#wm

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 平成29(2017)年1月12日、アナログシンセサイザーARP ODYSSEY FSが発表されました。

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 ODYSSEY FSは、Rev1が先の2016楽器フェアで参考出品されていたのですが、Rev1、2、3のカラーリングが揃っています。

 ただ、Rev1、2、3のオリジナル機の復刻ではなく、先のコルグによる復刻機を約116.279%にアップサイジングしたモデルです。したがって、寸法、重量以外の仕様はコルグ復刻機と同じです。

 MIDIを介してピッチベンドを受信できる事を考えれば、ARP ODYSSEY Moduleを約116.279%にアップサイジングして標準サイズの鍵盤を付したモデルともいえると思います。

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 既に取扱説明書がアップされています。

 平成29年3月29日発売。税込159,840円。


平成30(2018)年1月18日追記。

 平成30(2018)年1月18日、ARP ODYSSEY FSQが発表されました。ARP ODYSSEY FSと、ステップシーケンサーKORG SQ-1のアープオレンジのカラーバリエーション機が同梱されています。

 ODYSSEY FSはアメリカで製造されたのですが、ODYSSEY FSQは日本での組み立てだそうです。

 発売日平成30(2018)年3月24日。税込価格172,800円。


平成30(2018)年2月16日追記。

 以下、implant4さんで撮らせていただいたARP ODYSSEY FS Rev.2の画像。
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ARP ODYSSEY FS
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/arpodyssey_fs/index.php


ARP ODYSSEY FSQ


令和5(2023)年2月28日追記。

 令和5年2月27日、コルグはARP ODYSSEY FS Kitを発表しました。KORG MS-20 KitMS-20M Kit同様、組み立てキット形式です。


ARP ODYSSEY FS Kit

 平成28(2016)12月15日、コルグはワークステーション機、KORG KRONOS LSを発表しました。

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 KRONOS LSは、先の2016楽器フェアのおり、ARP ODYSSEY FSとともに参考出品されました。

 KRONOS LSは88鍵機のみで、その鍵盤は新たに設計されたLS鍵盤です。これまでKRONOS 8873で採られてきたハンマーアクションタイプのRH3ではなく、セミウェイトタイプのいわゆるシンセ鍵盤なのですが、KORG M3 KYBDアセンブリやKRONOSの61鍵機で採られてきた鍵盤よりも、ベロシティの制御がし易いようです。ただし、アフタータッチはありません。

 鍵盤がハンマーアクションタイプではない事もあり、KRONOS LSの重量は、17.8kg。KORG TRITON STUDIO 61の17.2kgとあまり変わりがありません。

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 筐体の色は阪急電車の車体のような上品な色をしています。

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 側面の化粧板の模様は、某社電気ギターのボディを彷彿とさせます。この化粧板は木製であるが故に、KRONOS LSの各個体毎の木目等に微妙な違いが出るようです。

 また、システムは3.1で、これは今後、これまでのKRONOSシリーズと共用されるものと思われます。つまり、KRONOS LSのシンセサイザーエンジンやシーケンサーといった仕様は、これまでのKRONOSシリーズと同じです。コルグ及びサードパーティ製のサウンドライブラリも使えるはずです。鍵盤の所で記述した通り、KRONOS LSの鍵盤からアフタータッチを採る事はできません。


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 KORG KRONOS LS、発売日平成28(2016)年12月24日、価格278,100円(税込)。


平成28(2016)年12月25日追記。

 数分ですがKORG KRONOS LSに触れることができました。M3 KYBDアセンブリ-61、73やKRONOS 61の鍵盤に比して、鍵盤を押し下げる時に若干のコツコツ当たる感じがある他は、感触そのものにあまり違いが無いような気がしました。

 私はM3 KYBDアセンブリ-61、73やKRONOS 61の鍵盤とならんで結構気に入ったのですが、シンセサイザー使用の第一目的がピアノの真似だという人にとっては、感触の剛性に物足りなさを感じるかもしれません。

 私が試奏させていただいた楽器店さんは、すぐ横にRH3鍵盤のKRONOS 2 73、88が設置されていたのですが、可搬性以外にLSの優位性を見出せませんでした。しかしながら価格はLSの方が上でした。


平成29(2017)10月11日追記。

 平成29年5月2日、NU茶屋町5Fのイシバシ楽器梅田店さんが、同ビル2Fでシンセや電子ドラムの特別展示をされたおり、撮らせていただいた画像を追加しました。

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KORG KRONOS LS
http://www.korg.com/jp/products/synthesizers/kronos2_ls/

 平成28(2016)年11月4日から6日まで東京ビッグサイトで催されている楽器見本市2016楽器フェアに行ってきました。

 私は11月3日から5日まで上京していたのですが、そのうちの4、5日をこの催しの参観に充てました。詳らかな事は書けないのですが、関心を持ったものについて至極簡単に記したいと思います。

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 コルグのブース。

 楽器フェスティバル2008では、池袋サンシャインとは別に、今は亡きトヨタアムラックスホールにブースを置いていたのですが、今回はブースを完全に囲って隔離する形でした。

 2016楽器フェア直前に、モノフォニックアナログシンセサイザーKORG monologueが発表された事もあってか、シンセサイザー関連のブースでは、ここに最も多くの人が来ていた印象があります。

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 KORG monologue-RD(赤)。

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 KORG monologue-GD(金色)。

 KORG monologueは、2016楽器フェア直前に発表されたアナログモノフォニックシンセ。展示会場には他にmonologue-BL(ダークブルー)、monologue-BK(BKカラー)が試奏用に設置され、monologue-SL(銀)はデモンストレーション用としてコルグブースのステージBでも使われていました。

 マイクロチューニング機能はデジタルシンセでは珍しくないのですが、アナログシンセの場合、かつてKORG PS3000シリーズのテンパーメントアジャストを想起させられます。

 押鍵中だけ実行されるモードがあるモーションシーケンサーは、様々なディスティネーションに充てる周期変化のソースたり得ると思います。押鍵中実行し続けるのだけでなく、1回だけ実行するなんてモードがあれば、周期変化だけでなく径時変化のソースとして使えるのですけど、調査し忘れました。

 KORG minilogue同様、ピッチベンドのレンジをダウン/アップ個別に設定する事ができます。

 ポルタメントのカーブはminilogueと異なり、非リニア変化だったような気がします。

 ちなみに語彙としての「monologue」には「独白」の意味があるそうです。

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 上手く撮れなかったのですが、これも2016楽器フェア直前に発表されたアナログモデリングシンセサイザーKingKORG BK。カラーリング以外変更点はなく、この発表に合わせたシステムのアップデートもありません。

 私は基本的に金色(こんじき)が好きなのですが、KingKORGの筐体の淡いシャンパンゴールドに絢爛さを感じられず、

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 むしろ黒地に金色の文字が描かれているKingKORG BKの姿に、我がデコラティブジャパン(絢爛な日本)感を刺激されてしまいます。デコラティブジャパン感の雄、豊臣秀吉の大坂城(大阪城)の色使いに通ずる気がします。ただ、いっその事micro KORG-BKBKのように白鍵も黒くしてしまった方が面白かったと思うのですけどね。

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 minimoog model D復刻機。

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 私が知っているminimoogとは、少し異なっています。

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 パッチングのソースとディスティネーションを指定するマトリックス。ただただ、壮観。

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 オクターブトランスポーズ、ポルタメント(グライド)のオン/オフ及びレイトの設定、発声の低着/高着/後着優先に関する選択等の操作子が、ホイールのそばに集約されています。私はここも気に入りました。

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 アナログリズムマシンARTURIA DRUMBRUTE。こういうものの使い方が分からないながら適当に触ってみたところ、民族音楽みたいな土俗的なリズムが出来てしまいました。

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 ARP ODYSSEY Module Rev.1

 2016楽器フェア直前に既に販売が開始されているのですが、実機を見るのは今回が初めてです。

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 参考出品機ARP ODYSSEY FS及びKORG KRONOS LS。

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 ARP ODYSSEY FSは、ローパスフィルターをリビジョン1〜3から選べる事やプロポーショナルピッチコントロールがある事等から、Rev.1の復刻ではなく、86%にダウンサイジングして復刻したKORG ARP ODYSSEY Rev.1を、逆に約116.279%にアップサイジングしたアナログシンセサイザーといえると思います。

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 ワークステーション機KORG KRONOS LS

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 88鍵機ながらKORG KRONOS 2 88等のRH3(KORG M3-88試奏記参照)ではなく、軽い感触の鍵盤を採っているようです。

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 筐体は光沢のある小豆色(あずきいろ)。京阪神地区の人なら、阪急電車を思うかもしれません。

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 側面のこの化粧板に、某社電気ギターを想う人もいると思います。

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 VOX Continental。

 REON(レオン)のブース。

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 プログラマブルオーディオ/CVミキサーREON drift box C。

 こういうモデルがKORG volcaシリーズから登場する事を希求する向きがあるかと思います。

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 REON drift box W。

 計5本あるジョイスティックでどんな事ができるのか想像がつかないのですが、なんだかエグい表現ができそう。

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 先般復刻されたmoog system 55や35と雰囲気が似ているシステムシンセサイザー。気のせいか木の部分の仕上げが、私がこれまで見てきたREONのモーグシステムシンセ型システムシンセよりも上手くなっているような気がします。

 なお、今般REONは、クラウドファンディングという形でのREON driftbox X ユーザーカスタマイズ型”ビルトイン”シンセサイザーの開発計画を発表しています。詳しくはこちらREON driftbox X ユーザーカスタマイズ型”ビルトイン”シンセサイザーの開発(https://www.booster-parco.com/project/117)をご覧ください。

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 冨田勲さんのお使いになったシンセサイザーなどの機材を展示したTOMITA MEMORIAL MUSEUM。

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 全景。

 中央のmoog III c(モーグスリーコンソール)のみ冨田さん所蔵のものではなく、モジュールの構成からおそらくKYOTO FESTIVAL of MODULAR 2015に展示されていた個体だと思われます。

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 システムシンセサイザーKORG MS-50とMollotron 400。

 MS-50がどういう使われ方をしたのかはわからないのですが、冨田さんのアルバムのリーフレットの写真に、冨田さんと一緒に映り込んでいる事が多いシンセです。「風の又三郎 ガラスのマント」オリジナルサントラ盤に至っては裏ジャケットに一緒に写っています。

 MS-50の「KORG SYNTHESIZER」のロゴの下に、「TOMITA」というテプラが貼ってあるのですが、冨田勲さん手づから打たれたのではないかとの事でした。

 Mollotron 400は、冨田さんの作品のあの壮大な人声を担った楽器です。単純にMollotron 400の多重録音ではなく、モーグのシステムシンセに通してお使いでした。ある意味、後述するカシオコスモシンセサイザーの使い方に近いと言えるかもしれません。

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 ポリフォニックアナログシンセサイザーYAMAHA CS-80のリアパネル側。

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 このCS-80は、デジタルシーケンサーRoland MC-8の音源として使う事ができるように改造されています。

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 SEQUENTIAL CIRCUTS prophet-5。アルバム「大峡谷」では、オーボエやクラリネット、チェレスタでクレジットされています。ヒートシンクが付いたリビジョンなのですが、たしかMIDIはありませんでした。

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 ヒートシンクと「prophet-5」のロゴプレート。

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 prophet-5の下に設置されていたRoland JUPITER-8。冨田さんの作品にクレジットされているのを見た事は無いのですが、昭和57(1982)年のいくつかの雑誌グラビアで、高輪の冨田さんのスタジオにあるのを見ました。

 JUPITER-8は昨年、Roland Boutique JP-08という形で蘇りました。またRoland AIRA SYSTEM-8に、PLUG-OUT JUPITER-8が用意されています。

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 CASIO COSMO SYNTHESIZER。

 カシオが作ったデジタルシンセサイザー試作機。

 冨田勲さんのアルバム「ドーンコーラス」で、獅子座AD星等変光星の明滅のグラフを、デジタイザータブレットを使ってこのコスモシンセサイザーへ読みこんでオシレータ波形の1セグメントとし、モーグやローランドのシステムシンセサイザーへ送り、そのシステムシンセをRoland MC-8、MC-4で演奏するという形が採られました。デジタルのコスモシンセサイザーとアナログのシステムシンセ群で、一つのハイブリッドシンセを形成したという見方もできると思います。

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 コスモシンセサイザーを構成するユニットの一つ、サンプラーZZ-1。

 フロントパネルの透明部分に、TOMITA MEMORIAL MUSEUMの近くにあったカシオのブースの「CASIO」が逆さまに「OISAC」となって映り込んでしまいました。

 このCASIO COSMO SYNTHESIZER開発で得た技術が、デジタルシンセCASIO CZシリーズ、サンプラーFZシリーズとして製品化されたのだと思います。

 4日12時に催されたTOMITA MEMORIAL MUSEUMステージでの第1回のトークライブ終了後、私の横に、晩年の冨田勲さん以上にアルバム「ダフニスとクロエ」「大峡谷」等のリーフレットの冨田さんによく似た方が立っておられました。多分、以前ビールのTVCMに出演されていたあの方だと思うのですが…。

 2016楽器フェアで、私は結局シンセサイザー関連のブースしか体験できなかったのですが、それにしても、シンセサイザーという楽器に淫した人が、地球上にまだかくも数多いるという事をあらためて実感いたしました。

 21世紀に入ってシンセは終わったという声を聞かなくもないのですが、アナログシンセ廉価機や黎明期のモデルの復刻機からワークステーション機、ソフトシンセと、今ほど使う側の我々にとって広大な選択肢が用意された華やかな時代は過去に無かったと思います。あとは使う側の我々次第だと思います。

 一つシンセとは関係がない事を付記すると、特に2016楽器フェア2日目の5日土曜日、アコースティック/電子を問わずドラムメーカー各社の試奏コーナーで、幾人ものちびっ子ドラマーを見ました。とにかくバチさばきやキックが上手い事と、表情の真剣さに感じ入りました。


2016楽器フェア
http://musicfair.jp/2016/

「2016楽器フェア」コルグ/KID出展のお知らせ
http://www.korg.com/jp/news/2016/1013/

KORG monologue

KingKORG BK

minimoog model D復刻機

ARTURIA MATRIXBRUTE

ARTURIA DRUMBRUTE

ARP ODYSSEY Module

TOMITA MEMORIAL MUSEUM
http://musicfair.jp/2016/synth-fest16/#tomita

REON
http://www.minet.jp/brand/reon/

REON driftbox X ユーザーカスタマイズ型”ビルトイン”シンセサイザーの開発
https://www.booster-parco.com/project/117