平成17(2005)年11月5日の朝、ふと思い立って「まねゑもんの彷徨」を開設してから、まもなく10年が経ちます。

 平成11(1999)年、インターネットを利用し始めてすぐに気付いた事なのですが、自分の興味の対象に関連した記事の悉くが、思い入れをくどくど語るか、○か×かの評価を下すかといったもののみで、そこへ至る思慮が感じられないものばかりでした。

 「まねゑもんの彷徨」開設時から最近まで掲げていた、
何に感じ入ったか、何を感じ想ったか。言葉にならない感動?笑かすな。
は、その事に対する揶揄と、このブログはそうはならない事を宣する意味を込めました。

 以来、彷徨、といいながら、実際はさほど彷徨うこと無く、当初の指向に沿った主題で書き続ける事ができました。したがってこの際、「彷徨」をタイトルから外す事にしました。

 私が好きな江戸時代の絵師、伊藤若冲の「動植綵絵(どうしょくさいえ)」(「動植綵絵」、相国寺に帰る1「動植綵絵」、相国寺に帰る2「動植綵絵」、相国寺に帰る3参照)をもじった「音色綵誌(おんしょくさいし)」等、いくつか候補を思いついたのですが、結局、私のハンドルネーム同様、鈴木春信の春画「風流艶色真似ゑもん(ふうりゅうえんしょくまねえもん)」に依る、
「風流音色まねゑもん(ふりゅうおんしょくまねえもん)」
を採る事にしました。

 「風流」の読みを「ふりゅう」とした理由は、この言葉が、私が好きなデコラティブジャパン感に通ずるからです。我々が日常使う「風流(ふうりゅう)」とは異なります。

 「まねゑもんの彷徨」で採り上げたシンセサイザーの名前で検索をかけると、「まねゑもんの彷徨」の記事が早い段階で出てくる事は珍しい事ではありません。それなりに読まれているブログという事であり、そしてこのブログに関して世間の認知は、つまるところ、シンセサイザーのブログ、なのだと思います。その事に異論は無く、故に「音色(おんしょく)」をつけました。

 しかしながら「風流音色まねゑもん」は、今後も、「風流艶色真似ゑもん」の真似ゑもんのように、様々な所へ意識を持っていって、
何に感じ入ったか、何を感じ想ったか。
を記していきたいと思います。

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 平成27(2015)年8月27日、プラグアウトソフトウェアシンセサイザーRoland SYSTEM-100 PLUG-OUTが出ました。

 このSYSTEM-100 PLUG-OUTの元になったセミシステムシンセサイザーRoland SYSTEM-100は、たしか昭和51(1976)年に発売されました。

 SYSTEM-100がセミシステムシンセである所以は、KORG MS-20同様、一部内部結線されているからです。

 後のRoland SYSTEM-100M、あるいは近々発売されるRoland AIRA SYSTEM-500等ユーロラック準拠のシステムシンセのような、ユーザーがモジュールを任意に組み上げて使うタイプではなく、構成は決まっています。

 SYSTEM-100は、鍵盤を含む基本ユニット101、エクスパンダーモジュール102、ミキサー103、アナログシーケンサー104、モニタースピーカー109を集めると、システムシンセとしての完成形になります。セットではなくバラ売りだったと思うのですが、大阪駅前第2ビルにあったショールームでも楽器店でも、これらを組んで展示していた記憶があります。

 もちろん、Oct/Vに対応した他のアナログシンセと組み合わせて使う事もできます。特にシステムシンセとの併用は有効だと思います。

 フロントパネルや操作子群の形状及びカラーリング等、同時代のRoland SH-5、SH-7と同じと思われます。

 Roland SYSTEM-100 PLUG-OUTは、SYSTEM-100の101と102を、プラグアウトソフトウェアシンセ化したものです。

 プラグアウトソフトウェアシンセは、Roland AIRA SYSTEM-1SYSTEM-1m用として、既にRoland SH-101 PLUG-OUTSH-2 PLUG-OUTPROMARS PLUG-OUTが出ています。

 これまでのRoland PLUG-OUTと異なり、SYSTEM-100 PLUG-OUTは、AIRA SYSTEM-1、SYSTEM-1mへプラグアウトしても、全てのパラメーターをこれらのシンセのフロントパネル上でエディットできるわけではなく、いくつかはアクセスできません。

 列挙すると、SYSTEM-100 PLUG-OUTのサンプル&ホールド、LFO2、リングモジュレータは、SYSTEM-1、SYSTEM-1m側では操作できません。

 同様にパッチケーブルの抜き差しもSYSTEM-1ではできません。SYSTEM-1mの場合、一部がSYSTEM-1mのパッチポイントを共有する形になります。

 また、ソースとディスティネーションをパッチケーブルでつなぐ以外に、

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 EMS SYNTHI AKSのマトリックスピンボード(KYOTO FESTIVAL of MODULAR 2015に行ってきました参照)のような、ソースとディスティネーションの交点にピンを立てるルーティングマトリックスがあります。これも、SYSTEM-1、SYSTEM-1m上で行う事は出来ません。

 これらに関して、パソコンでの設定そのものは、SYSTEM-1、SYSTEM-1m上でも活きます。

 私はもしRoland AIRA SYSTEM-1、SYSTEM-1mを使うとしたら、YAMAHA reface CSのような、非プログラマブルのアナログモデリングシンセとして使いたいと思ってきました。当初、音色の記憶数が、本体シンセエンジン8、プラグアウト8という過少ぶりから、ローランド側も実質そういう使い方を想定しているのではないかと思ってきました。

 しかしながら、システムver1.20で、64に増えました。将来、今回のようなプロエディットできないプラグアウトシンセのリリースを想定しての増強だったのかなとも思えます。

 Roland AIRA SYSTEM-1m上で、SYSTEM-100 PLUG-OUTを使用する場合ユニークなのが、SYSTEM-1mのパッチポイントを介して、ユーロラック準拠のシステムシンセと組み合わせて使える事です。パッチポイントのコンバータでデジタル化されるとはいえ、アナログの電圧実行がプラグアウトシンセサイザー上に反映されるのは面白いと思います。もちろんこれは、コンボタイプのシンセのプラグアウトでも同じ事ですけどね。

 製品とは直接関係が無い事なのですが、現在ローランドは「PW(Pulse Width)」を「パルスワイズ」と表記しています。しかしながらSYSTEM-100 PLUG-OUTのサイトでは、古式に則って ? か「パルスウィズ」となっています。SYSTEM-100 PLUG-OUTの画面のフロントパネルの独特の色と併せて、ノスタルジックな気分になりました。

 ただし、私は今までずっと「パルスウィズ」と言ってきましたし、これからも「パルスウィズ」と言い続ける事になると思います。


Roland SYSTEM-100 PLUG-OUT
http://www.roland.co.jp/products/system-100_plug-out/

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 ハイブリッドシンセサイザーRoland JD-Xiが来ました。

 JD-Xiについて、マン/マシンインターフェイスまわりをRoland JD-Xi試奏記(1)、アナログシンセトーンのパラメーター構成をRoland JD-Xi試奏記(2)で、既に採り上げています。

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 Roland JD-Xi選択の理由は、複数のシンセサイザーエンジンを搭載、各シンセエンジンのパラメーター構成が豪華、そしてそれらの割に低価格、筐体の形状やカラーリングがユニーク、小型軽量、静粛性に優れたミニ鍵盤、です。

 JD-Xiは、ピッチ(オシレータ)、フィルター、アンプが、各々独立してENVを持っています。この価格帯では少ないと思います。microKORG XLは、三つEGを持っていても周期変化の径時変化に関するパラメーター(ディレイタイム、フェイドタイム)が無い故に、そのソースとしてEG一つを充てると、先に挙げた三要素の一つを犠牲にせざるをえません。

 SuperNATURALシンセトーンはもちろんアナログシンセトーンでも、ベンドレンジをアップ/ダウン個別に設定できます。ワークステーション機では当たり前なのですが、アナログモデリングシンセやアナログシンセでは少ない。Roland GAIA SH-01は、アナログモデリング単体機としては希少な例外です。

 Roland JP-8000、8080、SH-32SH-201GAIA SH-01AIRA SYSTEM-1SYSTEM-1mといったローランドのアナログモデリング系単体機には、モジュレーションの径時変化のパラメーターに関して、フェイドタイムはあってもディレイタイムがありません。

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 しかしながらJD-Xiには、プログラムパラメーターのオフセットの所に、ビブラートディレイというパラメーターがあります。しかも、押鍵から効果が実行され始めるまでの時間(+:プラス値)だけでなく、逆に押鍵と同時にかかった効果が止まるまでの時間(−:マイナス値)をも設定できます。

 Roland JUPITER-80JUPITER-50FA06、08といった、SuperNATURALアコースティックトーン/シンセトーンを持つモデルに備わっているパラメーターなのですが、JD-Xiの場合、アナログシンセトーンにも使えるわけです。

 奏者やマニピュレータが、手操作で任意にビブラートをかけるのとは別に、パラメーターで径時変化を設定してシンセサイザーに唄わせたい身には、ありがたい機能です。

 ただし、このオフセットのビブラートディレイ実行中、モジュレーションホイールは効きません。

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 アナログシンセトーンのオシレータ波形の一つ、パルス波の幅の設定について触れておくと、ローランドのおそらく全てのアナログシンセサイザーがパルスウィズを下げ切った状態、すなわち0で矩形波になるのですが、JD-Xiはもう少し上の方まで矩形波と聴こえるポイントが広がっています。Roland JUNO-6試奏記で触れた、青白い矩形波、黄ばんだ矩形波とも設定できます。パルスウィズのデューティー比を緻密に設定できるという事です。

 ただ、Roland JD-Xi試奏記(2)でも触れましたが、パルスウィズのデューティー比0:100または100:0に設定する事は出来ません。発声する範囲です。

 ポルタメントは、アナログシンセトーンは、かかり始めは速く、やがて間延びしていくアナログシンセらしいカーブ、そして、SuperNATURALシンセトーンはリニア変化です。

 喜多郎さんが1オクターブ上へレガートしながらかけるポルタメントは、例えばKORG MS-20 miniの場合、8よりすこし上くらいの所になるのですが、JD-Xiのアナログシンセトーンの場合、50を少し超えるあたりが適当かと思います。

 SuperNATURALシンセトーンのポルタメントの場合、リニア変化故にあの雰囲気は出ません。

 SuperNATURALシンセトーンに関してたいへん残念な点を書くと、喜多郎mini KORG 700Sリードを、パルスウィズ33%使う方法、つまりオシレータ波形をPW-SQRのタイプB、パルスウィズを33にしてシミュレーションした場合、Roland JUPITER-80、JUPITER-50の取扱説明書にあるトラブルシューティングの一つ、
高い鍵域を演奏すると鳴りかたがおかしくなる
の個所で記されている現象が出てしまいます。

 しかし、波形を三角波タイプBだと、mini KORG 700、700Sの、あの全く三角波に聴こえない三角波になります。ローランドはこの三角波Bに関して、明らかにmini KORG 700、700Sを意識したはずです。これを使えば先の現象が現れる事無くシミュレーションできます。

 アナログシンセトーンの場合、パルス波で非常に上手く真似できます。

 SuperNATURALシンセトーンに、フィルター及びアンプのアタックタイムとリリースタイム、そしてポルタメントタイムにかかる、インターバルセンスというパラメーターがあります。押鍵の間隔で各タイムを伸縮させる事が出来ます。吹奏系の音色でこういうパラメーターが欲しかったのですが、ワークステーション機ではもっぱらベロシティ(アタックタイム)でやっていました。

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 昨年暮れあたりから、加齢のせいか、私の中で数十年来のシンセ観が瓦解し始めました。細かいところまで奏者やマニピュレータの意図に沿うようなパラメーター構成のモデルが、必ずしも至上の存在ではなく、脳裏で鳴っている音と実際にシンセから出る音の齟齬の存在は、実は必要条件なのではないかと思えるようになりました。音を考える上で、軛(くびき)が要るのではないかと感じはじめました。

 新たにシンセサイザーを入れるにあたって、かつては絶対に譲れなかったレベル/タイムタイプのENVを持つモデルを排す、ベロシティをソースにした音変化に重きを置かない、小型軽量な所謂ガジェット系ながら、玩具ではなくあくまで楽器としての本分を逸していない、を大まかな条件に据えました。結果、このRoland JD-Xiに行き着きました。まだ数時間弾いただけなのですが、今の私の意図に素直に応えてくれます。

 私は撥弦系の音色に関して、ENVをソースにしたPWMを使いたいのですが、もちろん、SuperNATURALやアナログシンセトーンでは無理です。その点、Roland AIRA SYSTEM-1、SYSTEM-1mは、二つのオシレータ個別にパルスウィズやパルスウィズモジュレーションを設定する事ができます。JDシリーズと互いに補完し合っているような気がします。次はこっち方面かなと思っています。

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 カテゴリーシンセサウンドメイクアップで、既に同カテゴリーで触れた音色を中心に、JD-Xiの音色設定を紹介する事を検討しています。パラメーター数が少ないアナログシンセトーンの設定になると思います。


Roland JD-Xi
http://www.roland.co.jp/products/jd-xi/


平成27(2015)年11月6日追記。

 11月14日、Roland JD-Xiのカラーバリエーション機JD-Xi LIMITED EDITIONが発売されます。色は、赤のJD-Xi-RD、白のJD-Xi-WH。完全な限定生産機です。

Which color do you like ? JD-Xi
http://blog.roland.jp/info/jdxi-color/

【新製品】JD-Xiの限定カラーバリエーション「JD-Xi Limited Edition」が登場!!
http://roland-planet.tumblr.com/post/132656327055/
新製品jd-xiの限定カラーバリエーションjd-xi-limited

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 平成27(2015)年7月8日、YAMAHA reface CS、DX、YC、CPが発表されました。

 ワークステーション機を導入すると、空き領域(イニシャルプログラム)の次に、ピアノやオルガンのプリセット音を全く異なる自前の音色に書き潰すほどこれらの楽器、というか、デジタルシンセと一部アナログシンセ以外の全ての鍵盤楽器が嫌いなので、ここではreface4機種のうち、アナログモデリングシンセreface CS、FM音源シンセreface DXについてのみ触れていきます。

 まず、refaceに共通する部分から。

 サイズは幅530mm、高さ60mm、奥行き175mm、自重1.9kg。小さく、軽いシンセサイザーだと思います。

 フロントパネルの両脇に各々2ワットのスピーカーがあり、ステレオ音場での内蔵エフェクターの効果が活きると思います。また、ステレオミニフォンジャックの音声入力もあります。Apple iPod等のカラオケに、奏者のrefaceの手弾き部分を重ねて音を出す事ができます。

 以上に加え、電池駆動が可能な事と併せて、お花見や慰安旅行、忘年会等、refaceをさまざまな所へ同伴する事が考えられます。発表に先んじて公開された動画の中に、refaceをトートバッグに入れて持ち運んでいるものがありました。

 USB(to HOST)があります。MIDI端子はmini DIN IN/OUTタイプ。

 ミニ鍵盤機には珍しくフットコントローラーの端子があるのですが、役割にフレキシビリティはなく、reface CSはエクスプレッションペダルYAMAHA FC7による音量、reface DXはフットスイッチYAMAHA FC5のよるサスティン効果と決まっています。

 何度も書きますが、ヤマハは操作子の脆弱感がどうこういう話が来ないシンセサイザーメーカーだと思います。refaceも、筐体表面の仕上げや操作子の感触といった、奏者やマニピュレータとの接点の部分を一考しているようです。試作機を作り、ヒアリングを実施し、その結果を反映させたとの事です。

 鍵盤は、YAMAHA MOTIF XS6、7から採られているFSX鍵盤の感触を継承した、HQ Mini鍵盤37鍵。既に公開されている動画で奏者の手指と比較したかぎり、これまでのミニ鍵盤とは大きさや形状が異なるようです。ベロシティがあります。試奏するまで分かりませんが、FSX鍵盤の静粛性も継承してくれていたらと思います。

 フロントパネル左にあるピッチベンダーは、レバータイプ。おそらく勝手にニュートラル位置へ戻ってくれると思われます。YAMAHA CS-5等、1970年代のヤマハのアナログシンセにあったピッチベンドレバーは、奏者やマニピュレータが元に戻す必要がありました。

 ワークステーション機のようなシーケンサーやアルペジエータは無いものの、フレーズルーパーが載っています。音を録音するのではなく、演奏を打ち込むシーケンサータイプです。したがって、音声入力した音を録り込むことはできません。

 YAMAHA reface CSは、CSの名を冠していますが、シンセサイザーエンジンはAN、つまりアナログモデリング音源です。

 デジタルシンセサイザーには珍しく、非プログラマブルです。デジタルアクセスコントロールタイプのシンセが登場する以前のように、シンセサイザーエンジンの全パラメーターが専用操作子を持って露出しています。したがって、非プログラマブルでも問題無く使えるのですが、USBを介してパソコンやApple iPad等と繋がっていると、reface CSをプログラマブルシンセとして使う事もできます。

 LFOは、ディスティネーションを、オシレータ、ピッチ、カットオフ、音量、オフから、一つを選ぶ形と思われます。例えばビブラートとグロウル効果を同時に出す事はできないようです。

 ディスティネーションにオシレータを選ぶと、各オシレータタイプ毎に異なるパラメーターの周期変化のソースになります。

 効果のデプス、レイトのみがあり、ディレイタイム、フェイドタイムといった周期変化の径時変化に関するパラメーターはありません。波形はおそらくサイン波か三角波固定だと思います。

 また、モジュレーションホイールに類するコントローラーは無く、黎明期から1980年代初頭のアナログシンセの廉価機がそうであったように、音色設定操作子であるモジュレーションデプスがコントローラーの役割も負う事になります(笛、さまざま1参照)。

 カットオフスライダーのキャップが他より大きいのですが、私としてはLFOデプスも同じサイズにしていただけたらと思いました。

 モジュレーション関連の操作子のすぐ右にポルタメントの操作子があります。モジュレーションのリアルタイム操作との絡みで考えると、好位置にあるとおもいます。ポリフォニックポルタメントは使えません。

 オシレータタイプには、Roland J-8000等でいうところのスーパーソーに類するマルチソー、パルス波、シンク、リングモジュレーション、FMがあります。

 選択された波形のランプが灯る事自体は普通にあるのですが、reface CSはオシレータタイプ毎にそのランプの色が異なっています。暗いステージ等で、今どのタイプが選ばれているか視認しやすいと思います。

 オシレータタイプの一つマルチソーは、テクスチャーで1オクターブ下の音を加える事ができます。モジュレーションは0では通常の鋸歯状波ですが、上げていく毎に鋸歯状波が増えそれらにディチューンがかかっていきます。LFOでオシレータが選ばれている場合、鋸歯状波群のピッチをゆらします。

 パルス波はテクスチャーを上げるともう一つパルス波が現れディチューンがかかっていきます。モジュレーションはパルスウィズ、つまりパルスの幅を変えます。LFOはPWMです。PWMのソースはLFOだけです。

 オシレータシンクはオシレータ1のピッチに2を強制的に同期させます。テクスチャーでオシレータ2が変化します。モジュレーションはオシレータ2のピッチの周期変化の深度を設定し、LFOはそのレイトになります。

 リングモジュレーションはオシレータ二つを掛け合わせて音色を作ります。テクスチャーはオシレータ1の、モジュレーションは2のピッチの設定に充てられています。LFOはオシレータ2のピッチに周期変化を加えます。

 FMはオシレータ1を2で変調して音色を作ります。テクスチャーは変調の深度を、モジュレーションはFMのモジュレータ(オシレータ2)のピッチを設定します。LFOはそのモジュレーションに周期変化を加えます。

 reface CSは、おそらく1声あたり1オシレータと思われるのですが、にも関わらず、シンク、リングモジュレーション、FMがあるのはユニークだと思います。

 フィルターはカットオフフリケンシーとレゾナンス。音色設定操作子と演奏操作子を兼ねるという観点からか、カットオフのスライダーのキャップがやや大きくなっています。

 EGはADSRタイプ。フィルターEGとアンプEGで設定を共有しています。EGバランススライダーは、中央位置でフィルター/アンプともEGデプス0、下へ行く毎にアンプEGデプスが、上へ行くとフィルターEGデプスが上がる事になります。

 内蔵エフェクターはディストーション、コーラス/フランジャー、フェイズシフター、ディレイから一つを選ぶようです。デプスとレイトの操作子があります。

 YAMAHA reface DXは、DXの名の通り、FM音源のシンセサイザーです。

 reface DXの本体に、音色を32記憶させる事ができます。SDカードドライブ、あるいはYAMAHA DX7のようなRAMカートリッジといった外部記憶装置はありません。USBを介してパソコンや情報端末がライブラリアンになります。

 ピッチベンド用のレバーの右に、四つのマルチタッチデータエントリーがあります。表面をスライドする、たたく、押さえる、の動作で、パラメーターの入力、項目選択、リスト表示といったことができます。

 四つあるので、同時に四つのパラメーターを変化させる事ができます。DX7はスライダー一つとDEC/INCボタンがあるだけでした。

 モジュレーションホイールに類する演奏操作子は無いのですが、この四つのマルチタッチデータエントリーに、その役割を負わせる事ができると思います。

 DX7の頃よりも、多くの情報を表示できる液晶画面があります。例えば、音色を選択すると、名前とアルゴリズム図が表示されます。

 音色設定や選択に使うボタン類には、DX7を彷彿とさせる色で文字が書かれています。

 reface DXのFM音源は4オペレータ12アルゴリズム。かつての4オペレータFMシンセYAMAHA DX9、DX21等のアルゴリズム数8より増えています。

 また、四つのオペレータ全てにフィードバックがあり、レベル0でサイン波状態、-1〜-127は矩形波系、1〜127で鋸歯状波系に変化します。

 かつてのDXシリーズ等と同様に、キーボードスケーリングがあります。

 FM音源に不案内なのですが、私がFM音源でやろうとしている事、例えば「ブフフフ…」というノイズが混じったフルートや、「ス(th)」というノイズが混じったマリンバといった音は、DX7のような6オペレータ32アルゴリズムでなくとも、おそらく可能だと思います。

 ちなみにDX7による

「ス(th)」というノイズが混じったマリンバ

は、宮崎駿監督のアニメ映画「天空の城ラピュタ」のエンディングテーマ「君をのせて」で聴く事ができます。

 FM音源のEGは、FMのキャリアのレベルとモジュレータのデプスの径時変化を決める重要な要素です。押鍵してから音が消えるまでの径時変化を、オシレータ→フィルター→アンプのシンセよりも複雑に作り込む事ができます。

 reface DXのEGは、嬉しい事にDXシリーズ同様、レベル/レイトタイプです。四つのレベル、四つのレイトで構成されています。レイト4(リリースレイト)が実行されて、レベル4(リリースレベル)に達した後、0になります。言い換えればスタートレベルは、かつてのDXシリーズ等ではレベル4と同値だったのですが、reface DXでは0固定です。

 ピッチEGも四つのレベル、四つのレイトですが、レベルはマイナス〜0〜プラスに設定できます。

 内蔵エフェクターとして、ディストーション、タッチワウ、コーラス、フランジャー、フェイズシフター、ディレイ、リバーブが載っています。

 キーアサイナー方式のポリシンセが一般的ではなかった頃にYAMAHA CS-50やCS-80を、そして、日本の他社が20万円前半でVCF/VCAでEGを共用する簡便なアナログプログラマブルポリシンセKORG PolysixRoland JUNO-60を作っていた頃に同価格帯でDX7を出した、技術力先行の感のあるヤマハというシンセサイザーメーカーが、今回、YAMAHA refaceでは、発想力を発露させた感があります。

 昨年の師走あたりから、長年好んで来た私の思い通りになるシンセ、つまり膨大なパラメーターがあって痒い所に手が届くワークステーション機に飽きが来ていて、簡便な、そして妥協する事を楽しめそうなシンセはないものかと思っていたのですが、YAMAHA reface CS、DXは、まさにそんなシンセのような気がします。

 また、1980年前後のちょっとしたシンセブームのおり、YAMAHA CS、KORG MS、Roland SHに手を出した、あるいは1983年の登場以来、公演やテレビ出演のキーボーディストの悉くがDX7を弾いているのを見て同機に手を出した、しかし、いずれもその後が続かなかった…。もしかしたら、reface CS、DXは、そんな人にもアピールするシンセサイザーなのかもしれません。

 今後refaceのラインナップに、YAMAHA VL1のようなフィジカルモデリングシンセや、SY22、SY35系ベクターシンセが続けばなと思います。

 YAMAHA reface CS、DXの発売日は、来る平成27(2015)年9月1日、価格は48,600円(税込)。

 YAMAHA reface CS試奏記へ続きます。


平成27(2015)年8月27日追記。

 本日、YAMAHA reface CS、DXが、前倒し発売されました。


YAMAHA reface
http://jp.yamaha.com/products/musical-instruments/
keyboards/synthesizers/reface/?mode=series#tab=feature


YAMAHA reface CS
http://jp.yamaha.com/products/musical-instruments/
keyboards/synthesizers/reface/reface_cs/?mode=model#tab=product_lineup


YAMAHA reface DX
http://jp.yamaha.com/products/musical-instruments/
keyboards/synthesizers/reface/reface_dx/?mode=model#tab=product_lineup


YAMAHA reface capture
http://jp.yamaha.com/products/apps/reface_capture/?mode=model

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 implant4さんで、発売日翌日のSEQUENTIAL prophet-6を試奏させていただきました。

 私がimplant4さんをお訪ねした時点で、まだprophet-6は開封されてなく、試奏をお願いして、梱包を解き、設置していただいた後、最初に音を出したのは、implant4スタッフさんではなくこの私でした。本当にすみません。

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 prophet-6に関して、先のNAMM 2015での発表のおり、SEQUENTIAL prophet-6が出ますとして採り上げています。重複する部分も多々あるのですが、試奏しての雑感を記していきたいと思います。

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 各セクションのレイアウト、側面の化粧版、ロゴの字体に幻惑される面はあるものの、実物を前にしての外観の印象は、やはりシーケンシャルサーキット社(SEQUENTIAL CIRCUITS)とうよりは、デイブスミスインストゥルメント社(Dave Smith INSTRUMENTS)のシンセサイザーであるという事でした。

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 つまみやボタン類の形状は、元々デイブスミスインストゥルメント社のシンセがそうなのですが、prpphet-5、そしてそれに続くprophet-T8等prophetシリーズを意識したものになっていると思います。

 つまみのうち、最低値~0~最大値と変化するものは、0、すなわちセンター位置にクリック感があります。

 また、波形の種別等、選択用のつまみには、DEC(ディクリーメント)/INC(インクリメント)としての使い方を持たせる為にクリック感があります。

 昨今、選択の局面で、ボタンを押し送る形のモデルが多いのですが、prophet-6は選択操作子もつまみなので、選択の行きつ戻りつを発声そのものに反映させる事が可能です。

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 LEDの輝度が高い事も、私がprophet-6を気に入った理由の一つです。

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 ホイール近くの「SEQUEITIAL」(暗く写ってしまいました)及びフロントパネル右端の「prophet-6」のロゴは、ステッカーではなくアルミ製のプレートが接着剤で貼り付けられています。

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 リアパネル側の「SEQUENTIAL」「prophet-6」のロゴ。

 プレートではなくリアパネルに直にあります。

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 演奏や打ち込みに関わる部分を見ていきます。

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 鍵盤。ベロシティおよびアフタータッチが使えます。

 感触や静粛性から、Dave Smith Instruments POLY evolver PE keyboardPRO 2等と同じ鍵盤かもしれません。

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 裏におもりが装着されています。

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 ホイール。

 PRO 2と同じものと思われます。

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 アルペジエータ及びデジタルシーケンサー。

 アルペジエータのモード群のうち、アサインは押鍵順が反映されるようになっています。かつてRoland JUPITER-4、JUPITER-8、SYSTEM-100Mのキーボード184のアルペジエータのアップ、ダウン、アップ/ダウンモード時、同じ事ができるようになっていて、喜多郎さんがフライングジュピターとして使っていました。

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 アフタータッチはモノフォニック。デプスを最小値~0~最大値、つまり、マイナス側にもプラス側にも設定する事ができます。ディスティネーションは、オシレータ1のピッチ、同2、モジュレーションデプス、音量、そしてローパス/ハイパスフィルターの開き。

 ポリモジュレーションと併用する事で、効果に鍵盤を押し込む事によるリアルタイム変化を加える事が考えられます。

 アフタータッチ、ポリモジュレーション、LFOと、prophet-6はソース側からディスティネーションを指定します。これに対してARP ODYSSEYは、ディスティネーション側からソースを指定します。

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 オクターブトランスポーズボタン。

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 ホールドボタン、グライドレイトつまみ、グライドオン/オフボタン、ユニゾンボタン。

 グライドレイトのカーブが、アナログシンセっぽくないリニア変化のような気がしました。レイトが速い設定ならともかく、遅い場合、正直、私にとって使いづらいポルタメントです。

 グライドオンして、押鍵、あるいはホールドした状態でオクターブトランスポーズボタンを操作しても、1オクターブ上下へのグライドはかからず、オクターブのみが変化します。ARP ODYSSEY復刻機の場合、同じ所作でポルタメントをかけることができます(ARP ODYSSEY試奏記2参照)。

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 音色の選択は、一桁のバンクと二桁のプログラムを0~9ボタンを使って指定するのですが、バンクはバンクボタンを、プログラムの十の位はテンズボタンを押しながら、そして、プログラムの一の位は0~9のみを押します。

 音色選択で一つ気になった事なのですが、ENVがリリースタイム実行中に別の音色を選択すると、音色は瞬時に次の音色に変わり、前音色のリリースタイム実行を継承した形で鳴ってしまいます。これは特段珍しい事ではないのですが、それなりの価格であるprophet-6において、次の押鍵までは前音色を維持する、つまり、コルグの上級ワークステーション機のスムースサウンドトラジションのような機能があればなと思いました。

 アナログシンセサイザーにプログラマブル機能を希求する向きは、多くがライブ演奏を想定しての事ではないでしょうか。

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 フロントパネル上の音色設定に関するセクションを見ていきます。

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 ポリモジュレーション。

 prophet-5同様、ここが最もマニピュレーションで奏者やマニピュレータの発想力を発露させる事ができるセクションかもしれません。

 アニメーション映画「1000年女王」の、雨森始が永久管理人に連れられて1000年女王のマンションから地下大空洞へ、そしてモーターボートでさらにその地下の川を滑走し、ミライの案内で歴代1000年女王の墓所を往く、という場面展開の中で、喜多郎さんはそのBGMのほとんどを、propeht-5のポリモジュレーション機能を駆使した音色群で構成しました。

 prophet-6のプリセット音の中に、エディットすればそれらの音に近づくなと思えるものがいくつもありました。

 今回、墓所の場面で流れた古時計風の音を、prophet-6でかなり似せて作る事ができました。この古時計風のprophet-5の音、喜多郎さんの「ガンガ」(アルバム「天竺」より)で聴く事ができます。ちなみにガンガとはインドのガンジス川の事です。

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 内蔵エフェクター。

 アナログディストーションのデプス、そしてその右横にデジタルエフェクターの操作子群が並んでいます。

 空間系エフェクターの中には、アナログ遅延回路BBDを模したデジタルディレイがあります。

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 LFO。

 レイト、波形(三角波、鋸歯状波正逆、矩形波、ランダム)、デプス(0~最大値)、ディスティネーション(VCO1ピッチ、同2、パルスウィズモジュレーション、カットオフ)のみで、これまでのシーケンシャルサーキットやデイブスミスインストゥルメントのシンセ同様、ディレイタイムやフェイドタイムといった径時変化に関するパラメーターはありません。

 あるいは、prophet-6もLFOを発声数分積んでいないのかもしれません(アナログポリシンセのLFOをつぶやく参照)。

 デプスにマイナス値を設定できない場合、LFOの鋸歯状波は正逆欲しいところでしたが、prophet-5には上昇型しかありませんでした。

 SEQUENTIAL prophet-6が出ますでも書いたのですが、prophet-5のソースミックスに相当するセクションはありません。ノイズジェネレータがモジュレーションソースになる事は無いのですが、波形をランダムにし、レイトを上げ(速め)、デプスを深くするとノイズになっていきます。

 prophet-5のソースミックスのように、LFOとノイズの混ぜ具合を設定し、ホイールを介してディスティネーションに送るという事はできないのですが、波形にノイズを充てるのは可能という事です。ただし、この効果はソースミックスとは根本的に異なるという事を留意する必要があります。

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 VCO1、2。

 波形は単なる選択ではなく、つまみを回す事で、三角波〜鋸歯状波〜パルス波と、連続的に変化させていく事ができます。

 パルス波はLFOのディスティネーションでPWを指定されるとPWMになります。

 波形を右に回し切ってパルス波にし、パルスウィズを左か右に回し切ると、デューティー比0:100または100:0になり、音が聴こえなくなります。

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 パルスウィズがほぼ中央あたりで矩形波になります。

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 恒例の喜多郎mini KORG 700Sリードを真似るヒントは、オシレータ1のみ使い、波形を完全にパルス波にして、パルスウィズを目盛3を若干過ぎるあたりにします。この辺りが3、6、9倍音が抜けるポイント、つまりパルス33%と思われます。音を聴いて慎重に設定してください。

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 VCF。ハイパスフィルター及びローパスフィルター。

 ENVデプスにベロシティをかけることができます。キーボードトラックは、オフ、中間値、最大値を、キーボードボタンを押し送る形で選択します。

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 VCF ENV及びVCA ENV。

 両者ともADSRタイプ。VCA ENVデプスのベロシティの可否及び感度はここで設定します。

 SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5試奏記で、同機の性質で特に気に入った事の一つとして、アタックタイムを緻密に設定できる、を挙げました。時計の短針10時、つまり目盛4あたりでも打/撥弦系のアタック感だったのですが、prophet-6は、

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 0はもちろん、

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 1を過ぎるあたりでも打/撥弦系のアタック感であるものの、

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 それを過ぎると吹奏系になっていきます。

 他社のアナログシンセよりはかなり細かいのですが、それでもprophet-5、あるいはそのENVカーブを模したと思われるアナログモデリングシンセstudiologic sledgeほど緻密には設定できないという事です。

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 SEQUENTIAL prophet-6は、「SEQUENTIAL」「prophet」が冠され、仕様やプリセット音に明らかにprophet-5に対する意識が濃厚に働いているているものの、昨今続いているアナログシンセ旧機の復刻機とは、異なる位置にあるシンセサイザーのような気がしました。

 試奏中、喜多郎さんがprophet-5で出していた音を真似てひとしきり悦に入った後、「これ使って、またYAMAHA DX7やMIDIが出てくる前にやってたのと同じ事を始めるのかい?」という、prophet-6のこの個体の声を聞いたような気がしました。

 現行機においてARP ODYSSEY復刻機とならんでこのprophet-6は、私がいつも言っている
あのシンセサイザー奏者が出しているあのシンセサイザー音はあのシンセサイザーで出してんのか!いっちょあのシンセサイザー買いにいくか!
の誘惑をしてくるモデルだと思います。

 故に、将来幸運に恵まれてprophet-6を手にする事があっても、私自身の、今、ここでに、こだわった使い方をしたいと思います。

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 私としては、prophet-6からベロシティ、アフタータッチ、プログラマブル機能を省き、内蔵エフェクターを簡便な操作子に限ったモデルが出てくればなと思います。

 SEQUENTIAL prophet-6は、平成27(2015)年7月1日発売されました。価格は429,800円(税込)です。


SEQUENTIAL prophet-6
http://www.fukusan.com/products/DSI/prophet6.html

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 平成27(2015)年5月23、24日、京都リサーチパーク西地区4号館地下1階バズホールで、内外のシステムシンセサイザーの見本市、KYOTO FESTIVAL of MODULAR 2015が催されました。

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 福産起業さんのブース。各社のユーロラック準拠のシステムシンセサイザーのモジュールが集まっていて、やはりこのブースが最も壮観でした。

 モジュールによっては、モジュールそのものはデジタルのものもあって、全てが電圧で為されているという、私のカビが生えたようなシステムシンセ観は20世紀の残滓でしかないようです。

 また、つまみ等にポップカラーを配しているものもあり、重厚というシステムシンセのイメージも過去のもののようです。

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 REONのブース。

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 REON DRIFTBOX MODULAR SYNTHESIZER RE-1000 mark III

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 おなじみ、巨大なシステムシンセサイザー。

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 REONの新しいシステムシンセ、REON M-System C1 modular synthesizer。

 商品化されるのか否かお聞きするのを忘れました。雰囲気が先般復刻されたmoog model 15に似ているような気がします。

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 長大なリボンコントローラー。先の黒いシステムシンセと繋がっていて、色々遊ばせていただきました。

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 新製品、REON drift box J。

 2本のジョイスティックの動きを内蔵シーケンサーに記録し、CV出力できるコントローラー。右のランプが緑色の方が試作機、左のみかん色の方が間もなく発売される製品版です。

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 私にはdrift box Jが、ダッコちゃんの顔に見えて仕方がありません。

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 ローランドのブース。

 いずれも先のmusikmesse 2015で発表されたモデルです。

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 Roland AIRA SYSTEM-1m

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Roland AIRA SYSTEM-500

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 SYSTEM-500はローランドだけでなく、SYSTEM-500の製造元であるMALEKKOのブースにもありました。どちらもモックアップ品ではなく、音が出ます。AIRA SYSTEM-500の開発は既に終わっているのかもしれません。

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 KORG MS-20M Kit。製造台数限定の為か楽器店で見かける事が無く、今回初めて多少なりとも触れる事ができました。しかしながら、かねてから興味を持っていたPWMは、試し忘れてしまいました。

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 moog WERKSTATT-01 MOOGFEST 2014 Kit

 オプションのmoog WERKSTATT CV EXPANDERが装着され、アナログシーケンサーKORG SQ-1と繋がっていました。

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 KORG SQ-1

 KYOTO FESTIVAL of MODULAR 2015会場で、コルグのブース以外でもSQ-1を何台も見ました。おそらく相当ヒットしているのではないでしょうか。

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 moog III p(モーグスリーポータブル)とRoland SYSTEM-100Mのキーボード184。

 冨田勲さんが最初に手にした事や、その輸入時のすったもんだは有名です。ただ今回展示された個体は、いわば前期型といえるもので、冨田さんが所蔵した個体はmoog III cの構成をmoog III pに持って来た型だそうです。

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 moog III pの裏面。

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 184のコントローラー部。184にはキーアサイナーがあり、4セットのシステムシンセを4声ポリフォニックとして使う事ができます。

 また、Roland JUPITER-4、JUPITER-8のような押鍵順を反映してくれるアルペジエータがあり、フライングジュピターに使えます。

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 SEQUENTIAL CIRCUITS prophet-5

 リアパネルにヒートシンクがあり、「prophet-5」のロゴプレートが小さいリビジョン。素晴らしい美品でした。

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 Roland SYSTEM-700とデジタルシーケンサーRoland MC-8。

 喜多郎さんの昭和55(1980)年9月16~18日の渋谷パルコ公演(ライブアルバム「喜多郎インパースン」収録)のおり、Roland SYSTEM-700とRoland MC-8に、ローランドのスタッフがマニピュレータとして就きました。

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 ARP 2500とEMS SYNTHI AKS。

 この両機には、パッチングに関してケーブルを使わないという共通点があります。ARP 2500はソースとディスティネーションのマトリックスの交点位置へスライダーを合わすマトリックススイッチ、EMS SYNTHI AKSは、マトリックスの交点位置にピンを立てるマトリックスピンボードです。

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 ARP 2500はたしか1970年のデビューだったと思うのですが、この時点でアナログシンセの仕様が完成していたといえるようなモデルです。

 映画「未知との遭遇」に出演した事でも知られています。

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 EMS SYNTHI AKS。

 安部公房が愛用した事でも有名です。

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 マトリックスピンボード。

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 ANALOGUE SYSTEMS 8500。

 美品だなと思ったら、ユーロラックのシステムシンセ現行機でした。なぜ、ビンテージシステムシンセのコーナーにあったのでしょうか。

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 moog III c(モーグスリーコンソール)。

 このシンセの前にいた人達にうかがったのですが、システムシンセのパッチケーブルは音色に影響を与えるそうで、システムシンセ本体以上にこだわりを持つ方々がいるそうです。

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 moog III cの裏面。蓋をする事ができるのか否かお聞きするのを忘れました。

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 KORG PS-3100。

 独立発振方式のポリフォニックシンセ。鍵盤の数だけオシレータがあるが故に、テンパーメントアジャストという、チューニングを純正調や民族音階にできる機能があります。フロントパネル左端の縦に12個並んだつまみ群が、その操作子です。

 KORG PSシリーズは、PS-3100にプログラマブル機能を付けたPS-3200、そして、PS-3100を3台分内包したPS-3300が続きます。PS-3200、PS-3300はキーボードがPS-3010として独立しています。

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 PS-3100のコントローラー、ホイール及びモーメンタリースイッチ。この二つはKORG MS-20に継承されました。

 PS3200/3300用のPS-3010のコントローラーはジョイスティックです。

 PS-3100に乗っているMS-20、ビンテージシンセコーナーにあるので、てっきり旧機だと思ったのですが、リアパネルにUSBとMIDI INがありました。KORG MS-20 Kitでした。

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 KORG MS-50。

 小型ながら完全なシステムシンセサイザー。古山俊一さんの「シンセサイザーここがポイント」(音楽之友社刊)に、MS-50を使った健康診断の方法が載っていました。

 MS-50も86%にダウンサイジングして、MS-50 miniとして復刻していただけたらと思います。

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 松前公高(まつまえ・きみたか)さん所蔵のKORG MS-20

 側板が透明のアクリル。中身が見えています。フジテレビのスタッフさんの手に依るものだそうです。

 松前さんがこのMS-20を使ってデモンストレーションを披露してくださったのですが、奏者が楽器に愛されるというのはこういう事なのだろうなと思える、素晴らしい演奏でした。

 有名なハイパスフィルター、ローパスフィルターのカットオフのつまみ二つを同時にまわす技も観察する事ができました。帰途、丹波口駅ホームで指使いを真似していたら、そばにいた人から変な目で見られました。私が一体何をしていると思ったのでしょうね…。

 パッチングは画像にある通り、ホイールによるピッチベンドに関する1本のみでした。このホイールによるピッチベンドか、ポルタメントタイムを8より若干上に上げて1オクターブ上へレガートした時だったか忘れたのですが、mini KORG 700S800DVの1オクターブ上へかかるオートベンドと酷似した風合いの瞬間が何度かあり、当たり前の話ですが、700S、800DV、MS-20がコルグというメーカーの血肉を分けたシンセである事を感じました。

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 4MSのシステムシンセサイザー。

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 Alyseumのシステムシンセサイザー。

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 赤いつまみがトレードマークのTHE HARVESTMANのシステムシンセサイザー。

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 一部キリル文字が書かれたモジュールが組み込まれていたのですが、ロシアというかソ連のメーカーの古いアナログシンセモジュールの復刻機のようです。

 ユーロラック準拠とは、モジュールの姿そのものには軛(くびき)がかかった状態でもあるわけですが、その中で各社が自分のカラーを製品に込めている事が分かります。

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 上の方でEMS SYNTHI AKSに関して、パッチングにケーブルを使わないとしたのですが、これは改造機なのでしょうか。マトリックスピンボードにパッチケーブルが差し込まれています。

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 不思議な楽器がありました。

 おそらくKYOTO FESTIVAL of MODULAR 2015で、唯一、アンプやスピーカーが要らない楽器。

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 発声のメカニズムそのものは、横に貼られた弦を白い機具が自動的にはじく撥弦楽器なのですが、これがロボットのようにマニピュレータが意図した旋律が打ち込まれているのか、あるいは、何らかのアナログ回路によって偶発的に動作する白い機具が決められるのか等、何もかも不明です。

 欧米系の方が持ち込んだもののようなのですが、オルゴールや水琴窟を愛でる日本人の感性に訴求する楽器です。

 私がKYOTO FESTIVAL of MODULAR 2015で最も感じ入った事は、演奏する側であれ、製造販売する側であれ、シンセサイザーに淫する人が、未だこの世にかくも数多いらっしゃるという事実でした。


KYOTO FESTIVAL of MODULAR 2015
http://jfom.info/KFoM2015.html

REON
http://www.implant4.com/REON.html

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